箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

 「先回り」よりも「任せる」

2020年01月27日 07時26分00秒 | 教育・子育てあれこれ


私が学級担任をしていた頃にはこんなことがありました。

生徒同士のトラブルがあり、生徒たちを指導したあとで、親御さんに学校に来てもらったときのことでした。

「うちの子にもよくない点はあります。両方の子どもの話を聞いてもらい、ありがとうございました。
このようなもめごとが起こりましたが、これも二人にとってのなにかの縁だと思います。だから、お互いに歩み寄るところは歩み寄り、今回のトラブルはこれからの二人の友だち関係がよくなるように役立てたいと思います。
お互いの子にとっての学校生活がよくなるように、今後も指導をお願いします・・・」。



この親御さんは、当時の私よりも年上の人でした。まだ私にはわが子がいない頃で、その親御さんのお話を聞かせてもらい、その度量の大きさに感心しました。

同時に、親御さんのほうから逆に人が生きる上での知恵のようなものを学ばせていただいたと思ったものでした。


中学生にかかわる問題は、基本的には子どもに任せて自分たちで解決させることができる。親の過度な口出しは必要ない、と構えている親御さんの態度に私は、感心したのでした。


時代も変わりましたが、今でもこのような親御さんがおられます。

しかし、一方で、子どもの先回りをして口を出す親御さんもいます。

その時には感情が表に出ることも多く、それを受けた相手の親御さんの方も平静心ではいられなくなり、混乱することもあります。


しかし、時代は変わっても、思春期の中学生の内面や心情は大きくは変わっていないと思います。

学校での人間関係がうまくいかない、トラブルが起きる。それは昔も今も変わっていません。

なので、トラブルやもめごとに直面して、子どもが傷つくことは避けることができないのです。

それは、中学生の心はつねに柔らかく、繊細で、柔軟だからです。

柔らかい果実のような心が傷つきやすいのは当然なのです。

というか、むしろ、その傷ついたという体験から学びがあり、人間関係を結ぶ粘り強さを身につけていくのではないでしょうか。

生きていく上での力と知恵を身につけていくのではないでしょうか。

ときとして、その傷つきは本人にとって、つらく、苦しい場合もあるのですが、その経験を通らせて、折れそうになる子どもの心をしっかりと支えてやるのが、せつないですが、大人の役割だと思います。

子どもが傷つくとかわいそうだからと、先回りをして、人と人がぶつかるのを避けさせる。

たしかに、子どもだけに任せておけない問題がある場合もありますが、多くの問題は、子どもに任せ、親は支え役にまわることが、本当の意味で子どもの成長につながると、私は考えています。






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