箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

高校生への大人のかかわり

2020年01月28日 06時30分00秒 | 教育・子育てあれこれ


昨日のブログに書いたように、中学生には、大人の「見守り」が必要です。

これは言い換えれば、「いつでも話を聞くよ」という、親・教員の態度です。

中学生は、基本的には自分たちで問題を解決しようとします。

ですが、子ども本人に任せて横で見守ってくれている大人がいるという安心感があることで、自分が出会った問題(学習上の課題、友だち関係のもめごとなど)を、自分の力で解決しようとします。

では、高校生はどうでしょうか。

中学生より、さらに大人に近づいています。

だから大人は見守ってくれているというより、ふだんは子どもに背を向けているが、「いつでも振り向いてくれる」という関係でないかと思います。

「私は高校生活での問題を解決できる」と信頼してくれているという大人(親・教師)の期待に応えようとします。

こんなとき「あの、お母さん(先生)」と声をかけられた段階で、親(教師)は振り向いて、子どもの話を聴くのです。

「どうしたらいい」とか解決策は述べる必要はなく、ただ聴くだけでいいのだと思います。解決策は子どもがきめていきます。

わかってくれている、信じてくれているという感覚が力になって、自分自身で解決していきます。

でも、子どもの成長を信じられない大人ほど、相手がもう高校生なのに、「こうしたら」と、子どもをコントロールしようとします。

思春期の頃から、ずっとこのように育ってきた子は、高校生になっても子どもは自分の力や自分自身も信頼できなくて、自信をもてないのです。

自分は無力で何もできないという思いでティーンエイジを過ごし、成人します。

または、大人の支配に徹底的に反抗して大人になるのかもしれません。

だから、子どもは「もう大丈夫、守ってくれなくても自分でできるから」「自分でやってみるから、ちょっと行きづまったときに聞いてくれるだけで十分」という気持ちで、子どもは何とかやっている。

こんなふうに大人は理解しておけばいいのでしょう。

しかし、この親の態度は、これに徹するのはたいへんなことだと思います。

でも、「聴くだけ」は、親にとっては寂しいかもしれません。教師にとっても苦行であるかもしれません。

でも、大人が大人として成熟する大切な役割であるのです。


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