Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

25日迄【涼風献上ー大団扇展】 柴田悦子画廊

2023年06月23日 09時23分17秒 | EXHIBITION

展覧会、【涼風献上ー大団扇展】 柴田悦子画廊 は残り3日間となりました。

初日ギャラリートークでは
泉屋博古館東京の野地先生を交えて各作家、団扇の意図を披露。
本来、団扇の表には木島櫻谷(このしまおうこく)の作品の一部を入れ裏は自由、というお題でした。
私は何故かその意図を取り違え、全く別物に。


櫻谷は生涯日本各地を歩き写生をした、その写生帖の数たるや!
その写生をもとに描いた山水画の数々は酔うほどに美しい。
私は山水を描いてみたいと思いました。

ですが私は写生をしてこなかった。描いてきたのは解剖体ばかりでした。
身体に興味があり、身体のことを考えたくて絵を描いてきました。
身体はこの自然界と繋がる一続きのもの、という考えから、
私は美しい山水の風景が身体内部に広がるイメージを描いてみようと思いました。
マクロコスモスとミクロコスモスが繋がる「身体山水」です。

これは例えるなら、内視鏡で身体内部に入っていくような、360度ぐるっと山水。
このアイデアに夢中になり、描いているうちに櫻谷から離れてしまいました。

画廊オーナーから「片面は模写よ」と言われたときは立ってられないほどの衝撃。
また、展覧会前に泉屋博古館東京の学芸員さんに偶然会ってしまったときは
団扇の絵の出典を聞かれてしどろもどろに。
一応、あります。

木島櫻谷《渓山奇趣二》第9図(1909)櫻谷文庫5078、 
図録『木島櫻谷――山水夢中』泉屋博古館東京 、p.38-39、写生帖より

まあ、私の団扇とは全く違いますね(笑)。
団扇の裏は鹿曼荼羅。


これも出典はあります。

木島櫻谷《細雨・落葉》より(1905)福田美術館、 
図録『木島櫻谷――山水夢中』泉屋博古館東京 、p.46

櫻谷は動物を多く描き、その一つに鹿の絵があります。
この鹿をピックアップして「鹿曼荼羅図」を描こうと思いました。
春日大社の鹿曼荼羅図は以前より興味のあった図像。
鹿が背負った神木を血管に置き換えました。

などなど、思い入れの強いこの団扇展。
12名の作家の団扇それぞれにアイデアと技術が表・裏に展開しています。
是非お手に取ってご覧ください。

私は本日23日は16時頃より、24日、25日は昼過ぎより在廊予定です。
お待ちしております!
柴田悦子画廊







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