昨日、頭を洗って髪を乾かした後、すぐ輪ゴム(勿論髪留め用の)で留めたら、蒸れたらしく頭が痒くてたまらない。それで、一日しか経ってないけど、また洗う。洗ってしっかり乾かし、「出るときだけ髪留めをする」のが正解、と学習する。
二ヶ月弱の間隔で散髪に行き、いつも「耳にかからない程度に」と言って切ってもらうのが、ここ十数年の普通だった。
が、今回のコロナ禍で、同じ場所(散髪用の椅子)に長時間居るのは良くない(どうしても喋ってしまう)、ということで、何となく理髪店から足が遠のいてしまった。
当然のことながら「行きにくくなったなぁ」とグズグズしているうちに段々に髪は伸びてくる。そして、ヘルメットをかぶると耳の中に髪の毛先が入るようになった。痛くはないが、チクチクして、うっとうしくてしょうがない。それが二ヶ月を過ぎたころだった。
いつもならこうなる少し前に散髪に行くのだが。
でも、さらに長くなって、何とか耳に掛けられるようになれば毛先が耳に入ってチクチク、なんてことは減ってくる。
そう思って辛抱しているうちに、予想通り、耳の中でチクチク、は減ってきた。
しかし代わりに、今度は後頭部の髪の毛が襟足を直撃する。中学生が掃除当番を、怠けるのが当たり前みたいな顔をして箒を振りまわしているみたいな感じ。これまたうっとうしい。
何しろ常に毛先が首筋に在り、頭を左右に少しでも回そうものなら、棕櫚の箒で首筋を撫で回されて居る、みたいな気分になる。本当に棕櫚の箒だったら痛くてたまらないだろうけど、少なくとも自分の髪の毛だって耳の時の何十倍かの量で攻め立ててくるんだ、こういうのは初体験。耳よりも不快だ、質量共に、だ。
それで、いっそのこと髪の毛を後ろで留めてしまえば?と思いついた。
二月の末に散髪に行ってから、今まで散髪してもらってないのだから、もう五ヶ月以上になる。
「耳の中がチクチク」は三か月ごろ。襟足、首筋が鬱陶しくなったのは四か月過ぎてから。
普通の輪ゴムで留める、なんてことは髪の毛を巻き込んで大変なことになりそうだし、どうしたらよいものか。
ホームセンターに行った時、そういうものがあるかも、と「美容」の棚を見たら、いかにもそれらしい太い輪ゴムを売っていた。
「そうそう!これだ」と 喜んで買ったのだけれど、どうやって使ったらいいのか分からない。
通常の「輪ゴム」より少し小さいようだけど、太い分、張力も強い。そのまま髪の毛を通しても、ストンと落ちてしまう。だからと言って二重にして髪の毛を通そうとすると指先の力で輪っかを広げることができない。第一、二重にしたって髪の毛は留められない。自慢じゃないが髪の毛は少ない。三重か四重にしなければならない。
テレビドラマなんかで髪を留める場面を思い出してみた。確か手首に輪ゴムをしていて、それから・・・?
色々やってみて、何度か髪の毛を巻き込んで痛い思いをしながら、今、やっと四重にして留められるようになった。けど、後頭部に向けて降りている髪はともかく、耳の上から伸びてくるのは、後ろでまとめるにはまだまだ長さが足りない。
それを無理やりにまとめようとしたって頭皮が引っ張られて痛いだけ。
というわけで、何とかまとめて輪ゴムで留めた髪を、前後二枚の鏡で映し出してみた。
後ろ髪はきっちりひかれているのに、鬢の周辺は括れないものだから、鏡に映った姿は、まるで亀の甲羅、いや、亀甲模様はないから、スッポンの甲羅。輪ゴムで留めた髪の毛が、小さなしっぽに見えるから、余計におかしい。
でも、そんなの関係ない。輪ゴムで髪を留めることで、無駄にいらいらしなくて済む。第一、この亀の甲羅頭、普段は本人の目に入らない。
つまり「人をして言うに任せよ」。何しろ六十五を過ぎた爺さんがやってるんだ。
意外に、ここ、重要なところかもしれない。