「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)12月5日(土曜日)
通巻第6722号
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ヒューストン中国領事館閉鎖後、1000名のスパイが帰国していた
FBI、さらに二千名を内偵中。バイデン陣営に多数が潜り込んだ模様
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トランプ政権の中国政策によって高関税の貿易戦争、ハイテク企業の買収禁止、ハイテク製品の輸出禁止、中国の軍事企業のリスト作成、中国企業のウォール街上場基準の厳密化、金融制裁の検討、中国共産党員の米国移住禁止、孔子学院閉鎖、学生ビザの取り消し等々。
FBIは中国人スパイの内偵ならびに摘発を続けており、レイFBI長官は捜査中のスパイ案件五千件のうち半分以上が中国関連と語った。
また「千人計画」という優秀な頭脳を中国へ呼び込む戦略の存在が浮き彫りとなって、ハーバード大学教授などが中国の代理人的な役を担い、多額の報酬を得ていた事実も暴露された。大学の報酬以外に中国から巨額を得ていながらも申告しなかったとしてハーバード大学のリーバー教授は起訴された。
ヒューストンにあった中国領事館はスパイの巣窟だったが、閉鎖後、およそ千名の中国人が帰国したとFBIは報告した。それ以前に、トランプの政策変更によるスパイ摘発をおそれた数千名の中国人学生、研究生、ラボ研修生、交換教授らが、急遽帰国した。
一方で、次期大統領になりかけているバイデンの陣営に、中国系アメリカ人、在米華僑らが献金し、潜り込んでいるが、政権中枢につながる民主党関係者などへのアプローチが見られるとFBIは見ている。
カナダのトルドー政権は拘束しているファーウェイ副社長(孟晩舟) を近く、中国で拘束されている二人のカナダ人人質と引き換えに解放するのではないかという情報が流れている。
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「千人計画」の名称を知ったのは今年に入ってからだったかな?
別におかしいことではないし、「由々しき問題!」と、目に角たてるようなことでもない。自国の国力を増すためにできる限りの手立てを考え、実行する。それ自体はごく当たり前のことだ。いや、大方の国はそれをやってきた。
日本の場合だって明治初期の「お雇い外国人」みたいに、高い金払って優秀な人材を「招聘」する、なんてことは早くから当然のこととしてやってきている。アメリカだって世界各国から優秀な人材を国も企業も関係なしに集める。科学だろうがスポーツだろうが関係なし。
それと同じことをchinaがやる。間違ってる?
だけど、絶対にやっちゃいけないことがある。それは「建て前」で成る「社会」、そして「国際社会」の「建前」を無視する、或いは否定する、ということだ。
自国の建前を大事にすると同じく、他国の建前も尊重しなけりゃ国際社会は成り立たない。つまり、優秀な人材を他国からでも集めてくるのは良いけど、結果としてその人材が祖国を裏切るようなことはさせちゃいけない。
日本にも千人計画の対象になっている人物が多くあるらしい。けれど、日本の政府には協力しないけど、大金積んで招いてくれるから、また、軍事技術には転用しないと言っているからchinaに行く、というのはおかしな話だろう。