CubとSRと

ただの日記

TV界の優れた記者はいつまでも現場にはいられなくなる

2020年12月11日 | 重箱の隅
「TV界の優れた記者はいつまでも現場にはいられなくなる」
 これ、感覚としては分かる。TV界に限らないだろう。
 昔から言われている「出る杭は打たれる」も同じ理屈だが、「出る杭」の中の全てが「優れた杭」とは限らない。それどころか「出る杭」ってのは中身のないただの役立たず・跳ね返り、という場合が多い(少なくとも上部はそう判断している)。少なくとも「杭」は一度打ち込んだら出てきちゃいけないんだから。
 ところが、その「杭」の中から、「杭ではなく大黒柱」にするものを選ばなきゃならない。
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 中共崩壊へのシナリオ(114:“シーチン”修一 2.0

      (略) 
 ポリコレ、Political Correctness(PC)、政治的正義・・・支那では PC は中共の専売特許で、それ以外は絶対許さない。
 
 小林史憲・テレビ東京プロデューサー著「テレビに映る中国の97%は嘘で ある」は、「被写体はほとんど中共流 PC のシナリオで語り演技する、バイアスのかかっていない『素』の画像は非常に少ない、裏を知らないと騙されるぞ」という生々しい話である。

 小生が担当編集者ならタイトルは「テレビ屋が裏から見た中共の真実」、 サブタイトルは「テレビ映像はほとんどヤラセ 騙されるな!」にするがなあ。小林史憲氏とは?

 <1972年、東京に生まれる。テレビ東京「ガイアの夜明け」プロデューサー。1998年、立教大学法学部卒。大学在学中に北京第二外国語学院に1年間の語学留学。その際、中国全土を訪問し、外国人未開放地区だった西チベットで拘束される。
 1998年、テレビ東京入社。3年間、警視庁記者クラブで、暴力団・暴走族・殺人事件などの取材を担当。その後、「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」などの番組ディレクターを経て、2008年より北京支局特派員。
日々の中国のニュースを報道する傍ら、より深く取材した内容を、主に「ワールドビジネスサテライト」の特集コーナーで報道。中国すべての省と自治区を訪れ、当局に合計21回、拘束される>。以下はアマゾンのサイトから引用。

<村上龍氏が絶賛──「中国は一筋縄ではいかない。一筋縄ではいかない男、小林史憲がそれを暴く!」
 中国すべての省と自治区を取材し、当局に21回拘束された記者が、見て、 感じて、触れて、そのなかで泳いだ中国の「内臓」! 共産党政権の厳格な監視は国中隅々まで行き渡り、真実はまるで伝わらない。われわれがテレビで観ている中国は、まったくのニセモノなのだ!!>

 小林氏は「騒乱、混乱、波乱! ありえない中国 」も上梓しており、小生は未読だが、こう紹介されている。
<これまで多くのメディアが中国問題を様々に取り上げてきた。しかし中国という国のリアルを客観的かつ正確に捉えたものはほとんどない。本書では当局に21回拘束されたテレビ東京の名物記者が、中国の現状を徹底的に明らかにする。
 初の民主選挙を勝ち取った小さな村の闘い、一人っ子政策というジレンマ、弾圧を受け続けるウイグル族の現状など──中国全土、事件の最前線を取材してきたジャーナリストならではの視点で描くルポルタージュ。そこには“日本人の知らない中国の姿”が描き出される>

「拘束」というのは警察から「取り調べを受け、『あんたの安全のため現場から出ていけ』と命令される」こと。まあ一流の記者はそんな脅しに殊勝に従うはずはなく、あの手この手で取材するわけだが、TV番組は事件の表面の刺激的な映像、現場レポートを、せいぜい中2坊主が分かるレベルでちょろっと流すぐらい(3分が限界とか)だから、その後に記者が分析した「事件の裏、真実」が表に出ることは少ないだろう。だから小林氏は「テレビに映る中国の97%は嘘である」と言うわけだ。

 TVは面白ければいい、視聴者が見てくれればTV屋は儲かるから「良貨は駆 逐される」、ひたすら娯楽道、TVは女子供が見るもので、まともな大人は仕事、酒、女、遊び、勉強、人脈作りで忙しいからまず見ない。TV屋は番組を創るが、まずTVは見ない。そんな暇はない。
 TV界の優れた記者はいつまでも現場にはいられなくなる。小生は業界紙の 記者だったが、一般的に報道界(マスコミ)では優秀な現場記者ほど早くに管理職に“されてしまう”のではないか。企業としては「現場は卒業して後進を育てろ」ということなのだろうが、「次代の経営者を育てたい」という思いもあるからだろう。
 一方で、取材先やスポンサーに嫌われるとか、相性が悪い記者というのもいる。マスコミ媒体にとって取材先(広報部)は財産(大体がお友達)なのだが、記者の中には融通が利かない、忖度しない、しつこい、キモイとか、記者仲間からも「変な奴」と敬遠される記者がいる。この手の問題児的な記者は一般的には異動で静かに排除されるのが常だろう。

 小林氏のテレビ東京は日本経済新聞社系列だ。日経はトウ小平の改革開放 政策が1980年代に本格化すると「それ行け!」と日中ビジネスを盛んに煽っていたという記憶が小生にはある。日本の経済界はイケイケドンド ン、小生まで「中国旅行を売りまくれ!」とはしゃいで、現地取材に出掛けたものだ。
 1978年に日中平和友好条約調印のために園田直外相が水垢離(みずごり)までして訪中した折、トウ小平は、日本における中国脅威論について、「この条約は第三国に向けたものではない。覇権を唱えるもの、戦争を進めるものは絶対に反対であり、もしもそれが中国であれば、世界は中国に 反対すべきだ」と強調したという(通訳を務めた劉徳有・元中国文化次官の話、出典:日中友好協会)。
 
小林氏の「テレビに映る中国の97%は嘘である」「騒乱、混乱、波乱! ありえない中国 」はいずれも2014年発行。中共は「8964天安門」の危機を日本に救われ、2010年にはGDPで5兆8000億ドルを超え、日本を抜いて世界第2位の経済大国となった。
 力を付けてきた中共は鄧小平の「韜光養晦」どころか、後継の江沢民、胡錦涛政権は隠していた牙と爪を剥き出しにし始め、露骨な「侮日」を煽っていた時期である。表では「古い友人」とおだてながら、やがて「序列好き」の本性が表れたこと、また外敵を創らないと国内の結束を保てないことから、大人しい「小日本」をサンドバッグ、仮想的にし始めたのだ。

 こういう時期に「中国に気を付けろ! 嘘八百のゴロツキ国家だ」と小林 氏は叫んだわけだが、これだけの優秀な人材なのにその後の報道界での消息も著作もない。銭ゲバ WinWin 教のパンデミック時代のテレビ東京&日経にとって、小林氏は獅子身中の虫になったのかもしれない。

 2016年の 「クリエイターズステーション」による小林氏へのインタビューから。
      (略)

 胡錦涛政権下、2012年の「反日官製暴動」は当時、副主席だった習近平と影響力拡大を図る江沢民派が火をつけた派閥抗争といった諸説あり、実態は分からない。しかし「中共の意に沿わない国には暴動、暴力をお見舞いするぞ」という威嚇、脅迫の手段になったことは確かで、現在の尖閣諸島や南シナ海での中共の戦狼外交はそのひとつなのだろう。
 今日、靴下を買ったらカンボジア製だった。ベトナム製はずいぶん増えて慣れっこになったが、中国が「世界の工場」という時代は確実に終わり始めた。習近平・中共は世界のルール、例えば「国際条約は国内法より上位にある」といった規範を「ただの紙切れ」と平然と無視している。自由民主人権法治なども屁の河童、「ガタガタぬかすと叩きのめすぞ、この野 郎!」、まるでヤクザだ。

 反世界的狂惨党暴力集団の資金源であるシノギを締め上げて自壊させる「中共包囲戦」をじわじわと進めていくべし。トウ小平同志の「覇権を唱えるもの、戦争を進めるものは絶対に反対であり、もしもそれが中国であれば、世界は中国に反対すべきだ」、まことに然り。やらなければ我らはやがて言葉も奪われる「少数民族」、絶滅危惧種になる。


 ~わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 5620号から~
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