今日、また徹夜をしてしまった。最近だけでもこれで三度目だ。
いつものことながら睡眠不足というのは平衡感覚を怪しくする。
朝食を摂って横になればすぐ眠ってしまうだろう。一眠りすれば平常に戻る。
しかし、暑くて目が覚めるのが昼過ぎ。そのままぼんやりとした頭で何となくテレビを見ていれば、気が付けば夕方。
・・・となってしまうだろうことは、想像に難くない。
そうすれば、また明日も同じく少なくとも午前中は潰してしまう。
悩んだけれど、ここはひとつ、カブ散歩に、と思ってスポーツ飲料を入れた水筒とミニクロワッサンがいくつか入った袋をバッグに入れ、出発。
午前5時半くらいだったか。
もう二年以上になるか。小説「スーパーカブ」や日記用のノートを持って毎朝のように衝原(つくはら)湖に行ってたのは。
駐車場に着く。当然のこと、まだ誰もいない。車だけだ。とは言え、車の中には確実に乗員が一人いておそらく仮眠をとっているんだろうけど。
早速水筒を出し、藤棚の下でミニクロワッサンを食べ始める。この時期、藤棚は藤の葉が生い茂って格好の休憩場所になっている。コンクリート製のベンチが四つもあるのが嬉しい。
「これはしまったな。本かノートを持ってくるんだった」
と思い始めたところにカブがやってきて、同じく藤棚の近くに停める。
目が会えば会釈をする。会釈をすれば会話が始まる。
・・・ものだが、彼は目をあわせようとしない。
よそ見をしてどこかにバイクをぶつけたらいけない。停車してエンジンを切るまでは転倒の恐れがある。だから目を合わせようとしない。目を合わせ、会釈をするのはそれからだ。
そう思っているのかもしれない。いや、誰だって安全のためにそう考えるべきなのかもしれない。
気を削がれたけれど、改めて一声かけておくのは礼儀。
そう思って「それは125ですか」と声を掛けた。
スマホを耳に当てかけていた相手は、チラッとこちらを一瞥したような、してないような。認定の意味で頭を動かしたような、動かしてないような。
ともかく終始無言。そのままスマホを耳に当てていた。
よく分からない。声を掛けられるのが嫌だったのかもしれない。
ただ、こっちとしては気分は良くない。
ミニクロワッサンを二つほど食べ、しばらく水筒を口に当てたりしていたが、何しろ本もノートも持ってきていない。することがない。気分を変えるきっかけもない。
で、早々に引き揚げることにした。
あちらはあちらで「毎日来ている気に入りの場所を、今朝は先客に占領されている。退けと言うこともできない。折角の楽しみを。気分が悪い」、「返答をしてそんな理由を説明するより、無視している方が気持ちが伝わるだろう」と思っているのかもしれない。
いずれにせよ、これでまた久し振りに早起き(徹夜はしないで)して衝原湖まで行き、日記を書くことにしようか、と思い始めた。
ノートは玄関に置きっぱなしだ。カブ、SRどっちで行っても良い。
いや、車というのもあり、かもしれない。