CubとSRと

ただの日記

謎の民族

2021年08月02日 | 重箱の隅
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)7月30日(金曜日)
通巻第7001号  

  書評 
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

 北朝鮮と拉致問題を理解するために初歩的な知識が必要だ
  面妖な思想をなぜ、人々は崇拝するのだろう?

  ♪
 篠原常一郎『北朝鮮と拉致問題を理解するためのチュチェ思想入門』(育鵬社)
 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 主体思想を面妖で狂信的と決めつけるのは容易である。しかし、それでは何故、北の人々ばかりか、民主主義国家であるはずの韓国の人々があれほど熱狂的に崇拝するのだろうか?という謎を解明できない。
 ましてや、この妖しげな思想が日本で拡がっている。在日朝鮮人の間だけならまだしも、沖縄で、そして近年はアイヌ団体に浸透しているから危険なのである。
 なぜ金三代の独裁政権は転覆しないのか、なぜ外国人を拉致するのか、そして何故日本人や韓国人がチュチェ思想の魔力にコロリとはまるのか、著者は元日本共産党の理論家兼活動家だったがゆえに、よく分かるらしい。
 本書はまず冒頭のページで、『チュチェ思想関連機関と日本における諸団体の相関図』のチャートがあって、理解しやすい。その中心人物に野上健一という人物が四つの団体の幹部として顔を出している。
 また政治学者の武者小路公秀が名誉理事とか顧問になっている団体が二つあるうえ、多くで人脈が重なっている。こうした実態が、おおまかに把握できる。驚きは「北海道アイヌ協会」とチュチェ思想団体との強い繋がりである。
 アイヌは先住民族ではない。十二、十三世紀にオホーツク海のどこかから北海道へ流れ込んできた人々で、しかも部族どうしがいがみ合い、殺し合った。アイヌは民族として団結していないうえ、「複数の部族に別れていて、それぞれ言葉が違い、単一言語ではありません。そのためアイヌという民族の定義が定まっていません。では誰が決めているのかというと「北海道アイヌ協会」です」(195−196p)。
 この人たちが国の優遇を承けている。いや、江戸時代からアイヌは優遇されてきたのだが、2018年度の日本政府のアイヌ政策関連予算は、なんと40億円強もあるのだ。
 そして現代日本のミステリーだ。
 このアイヌ団体が、チュチェ思想を研究する団体や、その別働隊に密接な関係があり、とどのつまり『アイヌ利権』を狙っているのである(201p)。
 話が飛ぶかも知れないが、評者(宮崎)、この話に及んだとき、ふと『日本書紀』に出てくる「粛清(みしはせ)」を思い出したのだ。なぞの民族で、ツングース系とされるのだが、六世紀ごろから佐渡や北日本に漂着した。
 『日本書紀』には三個所、この粛清人が記述されている。
 まず欽明天皇の御代に佐渡島へ粛慎が漂着し、斉明天皇の御代に阿倍比羅夫が遠征し、討伐したこと。翻って天武天皇・持統天皇の御代には粛慎が来訪したので、大和朝廷は官位を与えたとある。
 手塚治虫『火の鳥』のモデル、阿部比羅夫は三回蝦夷退治に出向いたが、佐渡の北辺に盤踞した彼らを制圧し、さらに北海道へ進み、どうやら奥利尻島あたりにいた粛清人を平定したという記録がある。
 閑話休題。この粛清人が沿海州から来たのか、樺太あたりからの狩猟民族だったか、諸説あって侃々諤々であるが、結論はでていない。
それにしても、アイヌ利権に振り回され、チュチェ思想が跋扈する日本って、どうなっているのか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする