CubとSRと

ただの日記

『歪められた昭和史』

2021年10月07日 | 心の持ち様
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月29日(水曜日)
通巻第7068号  

  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 東京裁判と朝日新聞によって捏造された「昭和時代は『暗黒史観』」の嘘
     大東亜戦争がなければアジアはいまだに白人の植民地だったのだ

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渡部昇一『歪められた昭和史』(ワック)
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 前にベストセラーとなった本の復刻だが、WILL編集部によって新編が加わり、編成替えがなされている。前に読んだ人も改めて紐解いても鮮度は濃い。
 本書の特色の第一は、暗黒と言われた日本近代史の真実であり、朝日新聞が捏造してきた嘘を白日の下にさらすことにある。
 戦後保守系知識人といわれた猪木政道も林健太郎も『満州国は日本が中国を侵略して建国した』と転向後も、旧態依然の発言をしていた。なぜなら、彼らは戦前のマルクスボーイで、青年時代にそう刷り込まれたことが染みついていたからだ。
 「満州は明らかに清朝政府(満州民族の帝国)の復活です。満州人の満州人による満州人のための満州国を作りたかったのだけれども、それをやる能力が
ないから日本が内面指導したのです。大臣はすべて満州人か、清朝の遺臣でした。首相だった張景惠は、戦後もずっと日本にたいして友好的な態度をとっていました(中略)。シナ事変(日華事変)は日本が仕掛けたと思わされたことです。シナ事変の発端となった廬講橋事件は、冷静に考えれば日本から発砲するわけはない。当時大本営の参謀本部第一部長は石原莞爾でした。彼はシナと戦うことには終始絶対反対だった。陸軍の敵はソ連以外には考えられない。」(32−34p)。
 東京裁判は日本を蝕む梅毒だとどぎつい比喩を言うが、東京裁判史観は、戦後の知識人を未だに洗脳したままで、北岡伸一に代表される「保守」のインテリの脳幹を犯している、と渡部氏は、はっきりと人の名をあげて批判するから分かりやすい。
 韓国についても、「日本に対する劣等感というのは強いのです」、なぜなら「プライドがないからピリピリするのであって、要するに『傷つきやすいエゴをもっている国』と表現したい」。
 それが日本への剥き出しの敵意となる。
渡部氏はこうも言われる。
 「イギリス人というのは悪口を言われても、あまり怒らない国です。というのは、イギリスを莫迦にする国が莫迦だという意識が彼らにあるからです」。
 日本人も同様かなぁ。
 次の事実を日本人歴史家は意図的にか、記述を避けてきた。
 「創氏改名は朝鮮人から要求されて、許可したのです。朝鮮人は喜んで日本名を名乗りたかった。先の戦争では日本の兵隊になりたい韓国人が多かったのも
事実です。昭和十三年に定員四百人募集したところへ二千九百四十六人の応募、また昭和十六年には三千人募集したところ十四万四千七百人の応募、昭和十八年シンガポールが陥落したころの募集では、定員三千人のところへ何と二十万一千九百八十五人の応募、じつに六十八倍の倍率です。それが全部志願兵です。それなのに、戦争が終わってからわが韓国は戦勝国なりと言っているのは、いったいどういう神経なのでしょう」(69−70p)
 戦前の知識人や青年たちは左翼に一度かぶれ、やがて日本の悠久の歴史に目ざめて転向するのだが、理想とする思想が社会主義だから、戦前の右翼と左翼は共通していた。
 井上日照は一人一殺を唱えた。「五一五事件、二二六事件を見ても解るように、彼らの運動は天皇と彼らとの間にある社会の階層を一気になくしてしまおうという思想に基づいています。彼らのプログラム(行動計画)から言えば、天皇や皇室を除けば、左翼の思想とほぼ同じなのです。北一輝の『日本改造法案大綱』や、大川周明の有存社のプログラムなどを見ても共産党の発想ではないかと見紛うばかりで、その違いは天皇を認めるか認めないかという点」だけ。
そういえば三島由紀夫は東大全共闘との激突討論で、「君たちが天皇と言えば、一緒に戦える」と比喩的に呼びかけたことを思い出した。

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 最近はあまり聞かれなくなったけど「転向右翼」という言葉がある。
 大まかに言えば「元々は『左翼(社会主義思想の持ち主)』だったけど、今は『右翼』になった人」くらいの意味で使われる。

 忘れてはならないのは、「転向」というのは「『考え』が変わった」、というだけのことであって「考え『方』が変わった」、ということではない。
 『方』、つまり論理もその展開も変わらないけれど、「真実」とする物事の感じ方(捉え方、把握)が新たに生まれたということだ。
 新たに生まれた「感じ」を深めるにはそれなりの「習練」の期間が必要になるし、その先の「修練」が終わることも、また、ない。
コメント
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