こんにちは、就職指導室の遠藤です。今日は、あの美味しいプリンの話です。
プリンをお皿に盛り付けるのは、至難の技です。蓋をはがしてからひっくり返しても、毛管現象による吸着力がしっかりと働き、プリンは容器に密着し微動だにしません。しかし、江崎グリコの代名詞になっているプッチンプリンは違います。容器を逆さまにすると、底に可倒式の突起が現れます。この突起を”プッチン”と倒すと、底に穴を開けることができます。あれほど堅固だった毛管現象による吸着力も、あえなく力を失い、プリンがお皿に見事に滑り落ちて盛り付けが完了します。この画期的な容器のおかげで、プリンの軟度を極限にまで低下させ、口当たりの良いプリンを提供できます。
この画期的な仕組みを持つプッチンプリンも、現在は、生産を停止しています。
江崎グリコは、既存のシステムを刷新し、今年の4月3日から新しい基幹システムに乗り換えました。しかし、乗り換えて直ぐに、システム上の在庫と実際の在庫に食い違いがあることが分かりました。在庫の管理は、生産管理システムの要です。特に生鮮食料品の場合、食の安全に関わる重要な機能でもあります。この重要な機能が信頼できないとすると、安心して安全な生産ができないことを意味します。
江崎グリコによると、チルド品以外は「データを修正しながら出荷を継続することが可能」とし、生産を継続することを決めました。しかし、チルド品は賞味期限が短いため、「データ修正作業が間に合わない」として生産を停止し、システムを改修してから生産を再開する方法を選択しました。このため、プッチンプリンを含むチルド品は、4月14日から生産を停止しています。当初、2週間程度で復旧する予定でありました。しかし、システム不具合は予想以上に根深く、改修に時間が掛かっています。
先日、7月4日、江崎グリコは、一部のチルド品について7月16日から生産が再開できることを発表しました。そして、全面的な再開のメドはたっているものの、プッチンプリンについては、出荷日を明言するには至っていません。生産が停止してから、3ヶ月も経過しようとしているにも関わらず。
江崎グリコが発表した資料によると、今回のシステムトラブルで150億円の売上が減少するとされています。事業の存続に発展しかねない大変なプレッシャーの中、在庫データを細心の注意をしながら修正し、システムの問題点を探って改修し、再開にこぎつけようとしているエンジニアに賛辞を送らざるを得ません。
最後に、先日、NHKで放映された番組の[新プロジェクトX:スーパーコンピュータ「京」]から、苦難のプロジェクトを成功裏に導いたリーダの言葉を記しておきたい。
「エンジニアの責任の取り方は、辞めることではない、最後までやりぬくことだ。それがエンジニアの責任だ」。
写真は先週の木曜日(7月4日)に行われた体育祭の一コマです。35度近くまで上昇した猛暑の中、大多数の学生が参加し、楽しいイベントになりました。改めて、若者のエネルギーに感服した次第です。