MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『まぬけなこよみ』

2024年12月15日 | BOOKS

『まぬけなこよみ』 - 平凡社

 

朝日新聞出版:文庫『まぬけなこよみ』

津村記久子さんの作品が好きだ。
「この作品、好きだなぁ」と思った本が「あれ、これも津村記久子さんだった」と、後から気がついて驚いたことが度々ある。
図書館で何気なく借りた本だったり新聞連載だったり、自分で意識して購入していないときに発生するので、作者にしてみれば失礼な読者である。
ファンタジーものは作家で借りることが多いのだけれど、それ以外は新刊コーナーや返されたばかりの図書を置いてあるブックトラックから選ぶことも多いので作者を気にせず読んで、後から「あ、これ」となったり……。

『まぬけなこよみ』もタイトルに惹かれて何気なく手に取ったような気がする。
平凡社では「芥川賞作家による脱力系歳時記エッセイ」、朝日新聞出版の文庫の帯では「超庶民派芥川賞作家のとほほで可笑しな四季エッセイ」と紹介されているのだけれど、たしかに ゆる〜く読めて ちょっと楽しいエッセイ集なのだ。
タイトルの中に「こよみ」とあるように、季節を感じる言葉についての想いやエピソードがつづられるのだけれども、「芥川賞作家」という堅苦しさは全く感じさせない、きっと何度読んでもクスッと笑ってしまう気がする1冊である。

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『レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」』

2024年11月15日 | BOOKS

『レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」』(毬矢 まりえ,森山 恵) 製品詳細 講談社BOOK倶楽部

NHK‐Eテレ「100分de名著」2024年9月放送「ウェイリー版・源氏物語」、NHKラジオ第一「高橋源一郎の飛ぶ教室」に著者出演で話題! 源氏物語はなぜ「世界文学」になったのか?...

講談社BOOK倶楽部

 

 源氏物語が苦手な人にこそ読んでいただきたい1冊です。
 私もこの本を高校生までに読んでいたら、古典の授業での光源氏への印象が大きく違っていただろうと思いますし、これから古典の授業を受ける若い人たちにも知らせたい気持ちでいっぱいです。とりあえず、本好きの中学生の姪っ子には要点だけでも伝えなければと思いました。

 まず「英訳された源氏物語を日本語に再翻訳する」という意義が全く理解できていなかった私ですが、この本を読んでいて本当に興奮さえ感じました。
 ウェイリーの「翻訳」は、ただ日本語の物語を英語にするというだけではなくて、英語版が作成された当時の文化・宗教だけでなく、彼の持つ膨大な多言語の知識と文学や詩への深い造詣を総動員した結晶といえる「発展的翻訳」であること。
そして、ウェイリーが『源氏物語』込めたものを再発見していく著者姉妹(毬矢・森山姉妹)のやり取りのワクワクとドキドキ。なんて、知的で高尚で……楽しそう!
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 千年前の古典語、百年前の英語、現代日本語の三つの世界。加えて、白居易「長恨歌」や『史記』などの中国の古典も現れれば、旧約聖書の世界も、シェイクスピアやイギリスロマン派の詩も、プルーストも現れる。
(『レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」』p.278から引用)
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 病弱ゆえの膨大な読書量と家庭がバックグラウンドにある宗教知識を共有していたとしても、こんな素敵な交換日記をできる姉妹は他にはいないんじゃないかしら。(うらやましい!!)毬矢さんは俳人でもあり、森山さんは詩人でもあるとのこと。ウェイリーの『源氏物語』を日本語に訳し戻す際に、彼女たちの文化・宗教・言語・芸術の知識が総動員されて、新しい「発展的翻訳」が作り出されたことも素晴らしいですが、その経緯をこうやって本にしてくれたことが素晴らしいと思います。
 私としては、とくに第3章の光源氏と第6章の末摘花についての考察は、まさに目から鱗でした。
 巻末の「主な参考・引用文献」も壮観です。(p.301〜317)
 全部を読むのは無理でも、一つ一つの資料を読むごとに、誰でもレディ・ムラサキのティーパーティに近づけるかもしれません。

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室外換気口(吸気口・給気口)の掃除

2024年10月15日 | 家事のおはなし
 マンションなどの換気口は、室外から室内に空気を取り込む「吸気口・給気口」と室内の空気を室外へ排出する「排気口」がありますが、換気口の掃除というと「排気口」のフィルター掃除ばかり取り上げられている気がします。
 我が家も「排気口」(キッチン・脱衣所・トイレ・浴室の換気扇)のフィルター掃除は毎月しているのですが、室外の「吸気口・給気口」の掃除は年に1〜2回ほど。

 汚れがひどくないときはカバーがついたまま歯ブラシでホコリや汚れを落とすのですが、今回はカバーを外して掃除することにしました。
 小さなネジをプラスドライバーで外します。※このネジをなくさないように注意が必要です。

 カバーを外すと、金属製の網にびっしりとホコリと汚れがついています。汚れがついていない部分は歯ブラシでこすったところです。(カバーがついたままで掃除した部分が縞模様になっていますね)
 この家に住み始めた時は、全面に汚れがこびりついていて網の穴が見えないようになっていました。私たちの前に住んでいた方は掃除の必要があることをご存知なかったのかもしれませんね。

 網を外した部分にもホコリと汚れがあるので、小さいブラシや雑巾などで掃除します。

 せっかくの「24時間換気システム」も綺麗な空気を取り込む「吸気口・給気口」が詰まっていたら もったいないです。年末の大掃除まで待たず、暑過ぎず寒過ぎない春&秋のお掃除をオススメします!
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『おいしい旅』と「天守石垣サブレ」

2024年09月15日 | BOOKS
 たまたま本を読んでいたら知っているお店が出てきて嬉しくなりました。

『おいしい旅 しあわせ編』(角川文庫)

心ときめく風景や絶品料理がここに。「しあわせ」溢れる旅×グルメ小説集!
<もくじ>
「もしも神様に会えたなら」大崎梢
「失われた甘い時を求めて」新津きよみ
「夕日と奥さんのお話」柴田よしき
「夢よりも甘く」篠田真由美
「旅の理由」松村比呂美
「美味しいということは」三上延
「オーロラが見られなくても」近藤史恵

KADOKAWAオフィシャルサイト

 

 第2話「失われた甘い時を求めて」に長野県松本市のお菓子屋さん「マサムラ」が登場します。
 松本に住む親戚からのお土産の定番が「マサムラ」の「天守石垣サブレ」。
 私はこれが本当に大好きで、今年の夏も実家への帰省の時に親戚からいただいて子どものように大喜びしてしまいました。

 何年ぶりでしょう。敷紙が金色から黄色に変更になったかな?やっぱり美味しいサブレです。
 冷やして食べることが推奨されていて、私も冷やして食べた方が美味しいと思います。

 お話の中に登場していたのはサブレではなくてシュークリーム。
 なかなか松本に行く機会がありませんが、いつかお店に行ってシュークリームを買いたくなりました。

 ほかのお話も、さすが「しあわせ編」。読後感が良いものばかりです。
 ぜひ旅のお供に持って行ってはいかがでしょう。


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『水曜日のクルト』

2024年08月13日 | BOOKS

『新版 水曜日のクルト』大井 三重子 - 偕成社

ミステリー作家仁木悦子として知られる著者による童話集。

偕成社 | 児童書出版社 -

 


大井 三重子さんがミステリー小説の仁木 悦子さんだと知って驚きました。
ミステリーとは違う趣きの児童書ですが、今の時代に読んでいただきたい一冊です。

とくに「血の色の雲」という1編は、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルのガザ侵攻が起きている今、子どもたちにも大人にも胸に迫るお話になっています。
解説によると、著者は二人の兄を戦争にとられ、上のお兄さまは戦死されたのだそうです。

「血の色の雲」では主人公の友人と二人の兄が戦地へ向かいます。
「戦争に行くのは家族や友人を守るため」という友人に「向こうの国にも、私がいる。いく百人も、いく千人も」という主人公の叫びは、戦争を経験した著者自身の真の言葉でしょう。

武器を持たない一般市民、何の罪もない子どもがいる場所を攻撃する国を止められないのは本当に歯痒いことです。
人々の生活の場を破壊し尽くす行動も「自分の国の人を守るため」という大義で行われています。
国際的な紛争を武力行使ではなく平和的手段によって解決できる世界になるよう、祈るばかりです。
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『 20歳のときに知っておきたかったこと―スタンフォード大学集中講義』

2024年07月13日 | BOOKS
『 20歳のときに知っておきたかったこと―スタンフォード大学集中講義』
ティナ・シーリグ 著
(CCCメディアハウス・旧 阪急コミュニケーションズ)


もう「20歳」どころか、倍以上生きているのですけれど、読む価値のある1冊だと感じました。
メモをとりたくなるような名言が豊富で、「スタンフォード大学集中講義」というタイトルから感じた「難しそう」という印象を良い意味で裏切って、語りかけるような文体で書かれていて読みやすいのもありがたいです。

たくさんの成功者の失敗と成功のエピソードが紹介されていて、生まれながらの成功者はいないことに気付かされます。
幸運にめぐりあうためには常日頃の努力が大切なことも分かります。

私が気に入った箇所は、第7章にある
「よき観察者であり、開かれた心を持ち、人あたりがよく、楽観的な人は、幸運を呼び込みます。」
「運のいい人たちは、(中略)自分の知識と経験を活用し、組み合わせるユニークな方法を見つけています。」
というところ。
私も、運の良さは待っていても得られないもので、幸運を呼び込むための考え方や生き方があるように思います。

第6章の
「キャリア・プランニングは、外国旅行に似ています。どれほど綿密な計画を立てて、日程や泊まる場所を決めても、予定になかったことが一番面白いものです。」
この箇所も、子育てをしている身にとっては響く言葉でした。

20歳のときにこの本を知っていたら私の人生が大きく変わっていたかというと、それほどではないかもしれませんが、「人生にはいろいろなチャンスがある。何度失敗しても世界は可能性に満ちている。」ということを若い人に伝える素晴らしい1冊だと思います。
まずは娘に薦めてみようかな。

<追記>
こちらの本には新版が出ています。
『新版 20歳のときに知っておきたかったこと』 (CCCメディアハウス)
目次を見てみると2つの章が増えているようですし、解説も新しくなっているようです。
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読書するときに照明のモードを選ぶ

2024年06月13日 | いろいろ
最近、読書の時に本のページの紙の白さをまぶしく感じるようになってきました。
「読んでる時に文字を追うのが以前よりも辛く感じるなぁ」と思っていたのですが、家族にそう話したら、
「じゃあ、これでどう?」と照明のリモコンを操作してくれました。
本当にびっくり。文字がくっきり、すっきり読めるようになりました。

我が家のリビングルームの照明のリモコンには「あかりセレクト」という機能があって、
「Aさわやか 蛍光灯」
「Bよみかき 図書館」
「Cだんらん 食卓」
「Dくつろぎ 電球」
の4つと「全灯」「保安灯」の6種類のモードを選べて、さらに「明るさアップ」というボタンもあります。

今回選んだのは「Bよみかき 図書館」モード。
こんなにも違うなんて!
この照明を使って3年もたつのに、試すこともなく毎日「全灯」で生活していました。

ほかの部屋の照明のリモコンを見てみたら、「全灯」「常夜灯」「明るい<>暗い」「白い色<>暖かい色」というボタンがありました。
メーカーや照明器具によってさまざまな機能があるようですが、我が家のリビングルームの照明は「明るさと光の色を組み合わせたおすすめのあかり」を選べるようになっているようです。
さすが「おすすめ」!
本を読むときに読みやすい明るさと光の色があるなんて考えていませんでした。
もちろん、人によって読みやすいと感じる照明は違うのだと思うのですが、私にはぴったりでした。

この「調光機能」「調色機能」「減光機能」は、LED照明になったからこその機能のようです。
「蛍光灯」モードを選んでも、以前の蛍光灯照明に比べると消費電力は半分以下になっているということなのでありがたいですね。
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「海獣」の別の意味(海獣葡萄鏡)

2024年05月13日 | いろいろ
「海獣」といえば、
『デジタル大辞泉』によると、
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かい‐じゅう〔‐ジウ〕【海獣】
海にすむ哺乳類の総称。最も海中生活に適応した鯨のほか、カイギュウ・オットセイ・アザラシ・ラッコなど。
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なのですが、別の意味があることを先日初めて知りました!

「世界遺産 大シルクロード展」に唐の時代の鏡「海獣葡萄鏡」が展示されていたのですが、
こちらの「海獣」は、
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中国から見て海・砂漠を越えた"海外"に住む獣、ライオンなど
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というようなことが解説に書かれていました。

実際の鏡は葡萄唐草文の中にいろいろな動物や鳥がいるデザインでしたが、はっきり何の動物かは判別できませんでした。
鏡の真ん中の紐を通す部分(鈕)が獅子(または狻猊)ということでした。
瑞獣である狻猊(さんげい)や龍が描かれているものも「海獣」としているようなので、国内で「見たことのない獣」を「海獣」と呼んだのかもしれませんね。

「海獣葡萄鏡」に鯨やトドのような海の生き物がいると思って見ていたので、反省しました。

<参考>

海獣葡萄鏡 - Wikipedia

 
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『1(ONE)』(駒子シリーズ4)

2024年04月13日 | BOOKS
駒子シリーズに新刊が出ました。

シリーズの4作目となる新作は、
『1(ONE)』
著者:加納朋子
出版社:東京創元社


『スペース』が2004年の作品で、あれから20年近く。
読者である私たちと同じように駒子さんも大人になって、物語は次の世代に受け継がれていきます。

『ななつのこ』は1992年(平成4年)の第3回鮎川哲也賞受賞作で、主人公の駒子さんは短大生。
気になる本の作者に手紙を書いて不思議な文通による謎解きが始まるというストーリーです。
昭和生まれには懐かしい「短大生」「文通」は今では激減しているものだと思います。

時代はちゃんと平成から動いて『1(ONE)』では、スマホやSNSも登場します。
人の悪意と善意、残忍さと優しさ。弱さと強さ。
時代を超えても変わらない人の心の動きが描かれています。
私にとっては、久しぶりに田舎の同窓会に参加したような、「駒子さん、久しぶり!ご家族は?」とおしゃべりしているような、そんな読書時間でした。

駒子シリーズを読んでいた方は懐かしい登場人物との再会を楽しんで、久しぶりにシリーズ全部を読み返すのがおすすめです。
新しい読者の方は『1(ONE)』から始めて『ななつのこ』に戻ってもいいですし第1作から読んでもいいと思います。
高校生や大学生はお父さんお母さんの若い頃を知るような感覚で読めるんじゃないでしょうか。

<駒子シリーズ一覧>(2024年4月現在)
シリーズ1作目『ななつのこ』
シリーズ2作目『魔法飛行』
シリーズ3作目『スペース』
シリーズ4作目『1(ONE)』
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東から西日

2024年03月13日 | いろいろ
家から職場までの通り道で、夕方、東から西日を受ける場所があります。
交差点にあるガラス張りのビルに当たった西日が反射して、西側を明るく照らしていてビックリ。
きっと建物の配置や角度的なものもあるのだと思いますが「東から西日」に驚いてしまいました。

むかし手鏡で光を反射させて壁を明るくしてみたことがありますが、ビル全体だと大きな光になるものですね。
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