MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『八月の御所グラウンド』

2023年11月13日 | BOOKS
『八月の御所グラウンド』
著者:万城目 学
出版:文藝春秋


この1冊に「十二月の都大路上下ル」と「八月の御所グラウンド」の2篇が収められています。
「上下ル」は「カケル」と読むのだとルビがふってあります。

今回はクセの強すぎない、あっさりとしたお吸い物のよな味付けで、でもしみじみと美味しい1冊だと思います。
じんわりと優しくて、心に小さな種火がつく2篇です。

冬の都大路の底冷えも、夏の御所グラウンドの陽炎立つような暑さも、
そこで起こるちょっとした不思議と「ここ、京都だし」「じゃあ、ここが京都だから」という感覚も、
「そうだよね」「わかるわかる」と思いながら読みました。
そろそろ師走の都大路を走る学校も出揃った頃。御所グラウンドの周りはドングリが落ちてるはずです。

『鴨川ホルモー』シリーズ以来の京都を舞台にした万城目作品ということで、ちゃんとあちこちに匂いが付けられています。
これを読むと、また『鴨川ホルモー』シリーズを読みたくなるんじゃないでしょうか。
(私はさっき本棚から出してきました)
年末にかけて、ゆっくり読むのもいいかもしれませんね。
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どうして濁った?「リラクゼーション」

2023年10月13日 | お稽古&お勉強
「reraxation」という単語、日本では「リラクゼーション」と表記されることが多かった単語ですが、英語&米語では「リラクセイション」と「セ」が濁らない発音に近いため、最近の書籍では「リラクセーション」と表記されているようです。とくに心理学用語では「リラクセーション」と書いてあるようですね。
日本標準産業分類(令和5年6月改定、令和6年4月1日施行予定)では「7893 リラクゼーション業(手技を用いるもので医業類似行為を除く)」とありました。心身の緊張をほぐすサービスとしては「リラクゼーション」と濁る方が採用されているんですね。

辞書では「リラクセーション」をひくと「→リラクゼーション」となっているものもあるのですが、『広辞苑 第七版』は「リラクセーション」しかありませんでした。

それにしても、イギリスでもアメリカでも濁らない「セ」の音が、なんで濁ってしまったんでしょう。
ちなみにドイツ語では「リラクサツィオーン」みたいな発音です。

高校生の時、どんな言葉にも濁点が付いているような話し方をする先生がいました。
もしかして、そういう先生がいたのかなぁ…なんて想像してしまいます。
(でも、そうだったら「リラグゼージョン」になっちゃう?)
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「頁」「ページ」は新しい訓読み?

2023年09月13日 | BOOKS
『遊遊漢字学 中国語には「鰯」がない』
著者:阿辻哲次
発行:日本経済新聞出版


「頁」の字を漢字変換するとき、みなさんはどう入力しますか?
音読みだと「ケツ」で変換されますが、「ページ」でもちゃんと変換されますね。
(部首名の通称「おおがい」では変換されないんですね…)
でも「ケツ」って音読みを知ってる人の方が少ないような気もします。
前から「『ページ』って音読みでも訓読みでもないよなぁ」と思っていたのです。

今回の本『遊遊漢字学』に「『頁』がページになったわけ」というコラムが入っています。
紙の枚数を数えるときに画数の多い「葉(ヨウ)」を使う代わりに、音が同じ「頁」を「当て字」として使うようになったということだそうです。西洋式の製本技術が使われるようになって、紙の枚数ではなく1枚の表も裏もそれぞれ数えるときにも「頁」の字を使うようになったんだとか。(和綴では「第○葉の表」「第○葉の裏」と言っていたわけですね…)
つまり「ヨウ」という音読みを「ページ」という意味で使っているんですね。

『遊遊漢字学』には「ちょっと大きな漢字辞典には」と書いてありましたが、我が家の辞書(小学館『新選漢和辞典 第六版』1996年第3刷、小学館『現代漢語例解辞典』1999年第4刷)にも、音読み「ケツ」と「ヨウ(エフ)」がありました。
※「エフ」は「ヨウ」の歴史的仮名遣い。

私の住む街の大きめの図書館で、大きな漢字辞書をチェックしてみました。
音読み「ヨウ」が載っていたのは、下記の4冊。
大修館書店『大漢語林』(1992年初版)
講談社『新大字典』(1993年第1刷)
旺文社『漢字典(大活字版)』(2000年発行)
三省堂『全訳 漢辞海 第三版』(2011年第1刷)

とくに「大漢語林」には「1.漢:ケツ・呉:ゲチ 2.ヨウ(エフ) 慣.コウ」と4つの音があって、「ケツ」「ゲチ」のときは、「かしら。こうべ。頭。」「首筋。うなじ。」の意味で、「ヨウ」と読むときは「ページ。書物の紙面で、その片面。またそれを数える語。北方の近代音で葉と同音であることから借り用いた(ただし、葉は枚の意味)。=葉」と詳しく記載されています。「ヨウ」は北方の近代音なんですね。
※「漢」は「漢音」、「呉」は「呉音」、「慣」は「慣用音」。

「訓読み」を「漢字を『和語』で読んだもの」とすると、外来語である「ページ」を「訓読み」と分類できないのでしょうけれど、すでに日本で日常に使われている言葉なので「新しい訓読み」と言えるんじゃないかなぁと思います。
「外来訓」という言葉はないのかもしれませんが、「米=メートル」「麦酒=ビール」も「外来訓」といえるんじゃないでしょうか。
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片仮名のペンネーム?

2023年08月13日 | BOOKS
 つい先日、図書館で見かけた本の作者名が欧米人の名前にありそうな片仮名の名前だったので、勝手に外国人作者だと思って借りて読んでみたら、1ページ目から「ん?日本人?」という感触。
 よく見たら、本の図書分類記号も「913」、つまり「日本語で書かれた物語」です。
(「9」は「文学」、「1」は「日本語」、「3」は「物語」)

 「あれ?日本人作者だった?」と思いましたが、よく考えたら外国人でも日本語で物語を書いていたら「913」になるわけです。
そして、洋風のカタカナの名前でも国籍は日本、つまり「日本人」の人もたくさんいるわけで、「片仮名の名前=外国人が書いている=外国文学」という考え方は偏見だったと反省しました。
 「外国ルーツでも日本生まれ日本育ち、育っていく中で吸収したのも日本文化で、話せるのは日本語だけ」という方もいるんですよね。

 世界では国籍とルーツの国が同じではない人も多いので、図書分類が「日本語」「英語」のように「原著がどの言語で書かれているか」を基準にすることに納得しました。

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トマトスープに「みりん」

2023年07月13日 | 料理&美味しいもの
トマトスープを作るとき、少し酸味が強いなぁと感じたら「みりん」を入れるのがオススメです。
本みりんを ひとさじ加えるだけで驚くほど酸味が落ち着きます。
私は3人分のスープで大さじ1ぐらい入れてます。

ほかのトマトを使った煮込み料理でも使えます。
ラタトゥイユやポークビーンズ、ミートソースにもお試しあれ。
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「1時間弱」と「震度5弱」

2023年06月13日 | 一考察
『変わる日本語、それでも変わらない日本語』(塩田雄大(著)世界文化社グループ)を読んで、「最近の若い人は『1時間弱』という言葉を『1時間と少し』という意味だと思っている」ということを知って、高校生の娘に確認。

娘:「『1時間弱』は『1時間プラスアルファ』で『1時間10分ぐらい?』かな」
私:「そうなんだ・・・」(驚き!)
娘:「え、だって『震度5弱』は『震度5』の中で弱い方だよね?」

つまり、
「震度5弱=震度5を超えている+震度6には近くはない」
「1時間弱=1時間を超えている+2時間に近くはない」
「震度5強=震度5を超えている+『弱』よりも震度6に近い」
「1時間強=1時間を超えている+『弱』よりも2時間に近い」
という考え方だったみたい。

「1時間弱」が「1時間よりも少し少ない」という意味で、「私の感覚では50〜55分くらい」と伝えたらビックリしてました。
私が子どもの頃、震度ってそんなに身近じゃなかったけれど、今はニュースでも頻繁に見聞きする言葉になっていて、「1時間弱」という言葉よりも使う言葉なのかもしれないですね。

<参考リンク>
「1時間弱」は、1時間よりも長い?短い?|NHK放送文化研究所
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未完結なのに「全○巻」?

2023年05月13日 | BOOKS
ネットの本屋さんで本を見ているとき、違和感を感じるのが「全1〜N巻セット」。
(この場合、「N」は自然数です)

私の中では「全N巻セット」は完結しているときに書いてあるもので、未完結の時は「既刊1〜N巻セット」や「以下続刊」のように表示されるものだと思ってました。

私の持っている古いコミックスなどは、本のカバーの袖に著者の既刊本リストがあって、
「〇〇」全5巻
「△△」①〜④
などと書かれているわけです。
この場合、作品「〇〇」は完結していて、作品「△△」はまだ作品が続いていることが分かったんだけど…。

大人買いができるようになってみると「完結しているかどうか」が気になります。
最初から最後まで一気読みしたい!
我がままかもしれないけれど、最終巻には「最終巻」とか「完結」って分かるように表示していただきたいし、「全○巻セット(完結)」と「既刊セット(以下続刊)」は区別していただきたいなぁ。
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「コウテンが続きます」

2023年04月13日 | 一考察
テレビに背を向けて天気予報を聞いていた時、
「週末にかけてコウテンが続きます」と、気象予報士さん。

今日はいいお天気だったので「好天」だと思ったら、別の地域の予報で「荒天」でした。

夫が「『コウテンがコウテンしてコウテンに』というのもあるもんなぁ」と一言。
この場合、言葉のつながりを考えたら「荒天が好転して好天に」と分かるけれど、天気予報では「コウテンが続きます」は「荒れた天気が続きます」か「良いお天気が続きます」のほうが分かりやすいですね。
でも、パソコンも「荒天が好転して好天に」と一発変換できるのには驚きました。
同じように打ち込んでみる人が多いのかもしれないなぁ。
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『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』

2023年03月13日 | BOOKS
『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』
著者:T.キングフィッシャー
ハヤカワ文庫

パンの発酵を促したり、ジンジャークッキーにダンスさせたり、そんな ささやかな魔法が使える女の子 モーナ。
ある朝、いつも通りにパンを焼きに厨房に降りていくと、そこには女の子の死体が…。
容疑者として捕まってしまったモーナに、次々と厄介ごとが襲いかかります。
街を守れる魔法使いは次々といなくなり、残った魔法使いはモーナだけ。
モーナは仲間と一緒に勇気と知恵を振り絞って、街を攻撃する敵や内部の敵と向かい合います。

敵を攻撃できるような強い魔法が使えるわけでもない、人を傷つけるような魔法を使ったことも、武器を持ったこともない女の子が戦争に巻き込まれていくストーリーは、とても主人公を身近に感じられると同時に不安感さえ共有してしまいます。
容赦無く近づいてくる敵との戦いがどうなるか。
虚しさはありつつも、モーナや仲間の健闘に励まされる一冊です。

この物語を読んでいるとき、頭の片隅ではずっとウクライナへの侵攻のことがありました。
今回の戦争を見ていて思うのは、英雄が必要となるような戦争なんて起きてはいけないということ。
戦争の中で「君たちは英雄だ」と大統領や国民が讃えてくれることよりも、本当は戦争に行く必要もなく家族と穏やかに暮らしている方がずっとずっと幸せなはずで、自分たちの国と家族を守るためでも誰かが犠牲になることは、どうしても悲しくて悔しい。

考えて、考えて、少しでも より良い方へ。
モーナの物語は「自分で考えること」の大切さを教えてくれます。



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『十二国記』原画展に行ってきました

2023年02月13日 | BOOKS
大好きな『十二国記』シリーズのイラスト、山田章博さんの原画展に行ってきました。

石巻市にある「石ノ森萬画館」での開催で、JR石巻駅から「石巻マンガロード」を歩いて萬画館まで。
2階の展示室で展示されています。
文庫の印刷で見ていた絵が、大きいサイズの原画で目の前に。筆の流れも、色のぼかし具合も分かる距離。
ラフ画も、描き下ろしイラストも見ることができて、なんとも贅沢。
開催期間前半の週真ん中の午前中だったからか、本当に貸し切りのようでした。

初めから最後までゆっくりじっくり見て、スタンプラリーのために石巻の街なかへ。
スタンプ設置場所は一番遠いところでも歩いて15分以内。
初めての街をお散歩するのも楽しい!
散歩して、スタンプを集めて、お昼は「いしのまき元気いちば」で「石巻元気御膳」をいただいて、「石ノ森萬画館」に戻ります。
ちびキャラのスタンプがどれも綺麗に押せて大満足!
3階で「ちびキャラクリアファイル」をもらって、もう一度 原画展を見に2階の展示室へ。

最後に3階の展望喫茶「BLUE ZONE」で、原画展コラボメニューの「函養山パフェ」をいただきました。
パフェについてきたのは泰麒と驍宗さまのコースターでした。

朝9時ごろ石巻に着いて、石巻を出たのが午後4時ごろ。
帰りのJR仙石東北ラインでは『白銀の墟 玄の月』の4巻を再読して、泰麒と驍宗さまの再会シーンで涙。
朝から夕方まで しっかり『十二国記』を楽しんだ1日になりました。

<おまけ>
これから行く方にアドバイス。
『十二国記』の空気感に浸りたい方は耳栓か、イメージに合う曲を聴けるイヤフォンを持っていくことをオススメします。
萬画館の館内は石ノ森章太郎先生のマンガのキャラクターの声、音楽が流れているので、私は少し気になってしまいました。
夢中になると気にならなくなるんですけどね。
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