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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

そんなに見つめないで。オオムラサキの偽瞳孔 (妻女山里山通信)

2011-07-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
 オオムラサキをマクロ撮影すると、大きな目の中に黒い点があって、いつもこちらを見ているような気がします。これは複眼の偽瞳孔(擬瞳孔)というもので、名の通り瞳孔ではありません。偽瞳孔は、カマキリのものが有名で、いつもこちらを睨んでいるような気がします。オオムラサキの場合は、濃い偽瞳孔の周囲に薄い色の偽瞳孔がいくつもある構造になっています。

 瞳ではないとはいえ、いつもこちらを向いているので、なんだか見つめられているような気分になります。実際は複数の個眼が光をすべて吸収してしまうので黒く見え、オレンジ色の光を反射する部分がその他の部分という光学現象ということです。しかし、上から二枚目の写真のように右目(向かって左)の目には濃い色の偽瞳孔が見られないといったことがあったり、目の縁で半分欠けてしまうことがあったりと、不思議なことがままあります。

 複眼といっても実際は、ひとつに統合された画像を見ているようで、画素数はそんなに高くないようですが、紫外線が見えたり、動体視力はいいようです。なので蝶に近づくには、なるべくゆっくりと動くことが逃げられないコツです。

 チョウの頭部は小さいので、相当に拡大しないとどういう構造になっているのか分かりません。特に小さなシジミチョウなどはマクロで撮影して拡大してもなかなか細部までは。それに比べるとオオムラサキは、頭部が大きいので分かり易いといえるでしょう。チョウの口は口吻といって樋がふたつ合わさったようなストローですが、花の蜜や樹液を吸うのに特化した構造となっています。使わないときは内側に巻き込んでおきます。口吻は顎が変化したもので、羽化した直後は二つに分かれていますが、次第にファスナーでつなぐようにひとつになります。中には筋肉、神経、気管が通っています。

 口吻を挟んで上に突き出した二本の角のようなものは、下唇鬚(かしんしゅ)といって触覚と同じく匂いを感じ取ったり、複眼や口吻を掃除したりするのだそうですが、オオムラサキに関しては、まだそのシーンを目撃したことはありません。口吻の先では匂いを感じないので、樹液が吸える穴を探して口吻を突き刺してみては、樹液がないとウロウロしているところをよく目撃します。

 スズメバチを追い払ったり、ツバメを追いかけたりと気の強いオオムラサキですが、団体でくるカナブンやアオカナブンは苦手のようで、アオカナブンが真っ逆さまになって吸っている穴に、おこぼれ頂戴の形で吸っている姿も目にします。アオカナブンを次々とひっくり返して落としてしまうのはカブトムシの親分です。

「オオムラサキの一生」

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*訂正;右上から三番目にブドウドクガとあるのは誤りで、正しくはナチキシタドクガです。

★ネイチャーフォトのスライドショーやムービーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌や森のあんずのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
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