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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

新潟県十日町市の越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]と道の駅クロステン。充実の日(妻女山里山通信)

2020-09-24 | 展覧会・イベント・コンサート
 4連休の日曜日に、新潟県の十日町市と松代町(まつだいまち)へ、美術館と博物館への鑑賞の旅にでかけました。松代(まつしろ)の長野インターから上信越自動車道に乗り、豊田飯山で下り国道117号を千曲川沿いに北上します。県境を超えると信濃川になり、2時間ほどで十日町に着きました。織物で栄えた十日町の歴史と文化レベルの高さに驚かされました。来年行く予定の清津峡トンネルの情報収集もしました。
大地の芸術祭:公式サイト

 美術館は、京都駅や札幌ドームで知られる建築家・原広司氏の設計で2階建てで□型。一階には入り口やカフェ、明石の湯があります。中庭にはなんだこれの不思議な絵。レアンドロ・エルリッヒ(アルゼンチン)の《Palimpsest: 空の池》:ある地点から見ると完全に鏡像が一致します。探してみてください。
越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]

 一階の入り口から。中庭は浅いプールになっています。

 幼子が二人、お兄ちゃんの後を恐る恐る歩いていく妹。たまらなく可愛い。素敵で不思議な体験をしています。記憶に残るでしょうね。

 山本浩二《フロギストン》越後妻有地域の多様な植物相をサンプリングし、地域内の各所から様々な樹木を入手し、彫刻を施した後に炭化させた彫刻群。:オリジナルの樹木と炭化した作品の対比が面白い。炭焼きは大切な文化であると同時に、里山の豊かさと里山保全の大切さも教えてくれます。

 レアンドロ・エルリッヒ《トンネル》越後に多いトンネルを題材とした作品。:右の写真で分かる様に、実際は先へ行くほど小さくなっているのです。その向こうのトンネルは写真。錯視を上手く利用しています。単なるアイデア一発のトリックアートではありません。

(左)エルムグリーン&ドラッグセット《POWERLESS STRUCTURES, FIG.429》鑑賞者がこの不安定さに積み上がった「架空のギャラリー」内部で何が起こって居るのか想像して欲しい。:想像力が試されます。(右)カルロス・ガライコア《浮遊》都市に見られる無名の建物の形と越後妻有に見られる家屋の形をリサーチし、幾つかの類型を導き、小さな銀色の紙に切り抜いたものが大量に巨大なガラスケースの中でキラキラと粉雪のように乱舞する作品。:儚さと美しさ。

 クワクボリョウタ《LOST #6》ゆっくりと動く光源が床に置かれた様々なモノの影を大きく壁に投影しながら移ろい、まるでこの地域を旅する車窓からの風景をみるようなあるいは映画をみているような魅力的な世界がうつしだされる。床に展開するのは十日町を特徴する織物器具など、この地域を使用されてきた用具など。人々の営みを支えた繊細な道具に地域の風景が重ねあわせられている。:ずっと観ていたい作品。心が落ち着く。畏れと郷愁と孤独と懐かしさ。失われていくもの。サウダージ。

 時間によって水の色やきらめきが変わります。周囲のベンチで和む家族やカップルがたくさん。

 映る揺らめく景色は变化し同じものはないのです。泡沫(うたかた)の現(うつつ)。無常なり。

 カールステン・ヘラー《Rolling Cylinder, 2012》赤白青の螺旋模様が回転するトンネルを通り抜け、平衡感覚が揺さぶられる作品。:床屋の赤と青のアイコンは動脈と静脈の比喩。血液に紛れ込んだウィルスの気分? 前後には永遠に続く合わせ鏡が。楽しい反面、底なし沼の不安も。存在はヴィトゲンシュタインが言った様にスパイラル、回転することで安定しています。回る回る。回って上昇し下降する。宇宙も銀河も太陽系も。そして我々も回って回って回る。それが人生。

 Rolling Cylinder,2012/カールステン・ヘラー:越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]

タイトルをクリックすると、YouTubeでハイビジョンでご覧いただけます。
 これら以外にもいい作品があります。場外にも。機会があったらぜひ訪れてみてください。


 隣の道の駅「クロス10」へ。ギネスに収録の大きなつるし雛。

 ひとつひとつに、人々の喜びや願いや祈りや夢が込められています。

(左)昼はクロス10のつまり食堂で天ぷらへぎ蕎麦を。喉越しと腰があります。ただ布海苔入なので、蕎麦粉本来の風味や味はありません。天ぷらが美味でした。(右)「クロス10」で買い求めたエチゴビールと魚沼酒造の純米大吟醸酒・天神囃子。ふくよかで甘み酸味苦味のバランスが良く美味です。つまみには道の駅あらいで買った幻魚の干物とホタルイカの干物を軽く炙って。そして、ピスタチオの入った猪肉のハム。これは翌晩にコノスールのフルボディと共にマリンドリーム能生でいただきました。さて、午後は、縄文の展示が充実している6月に開館したばかりの十日町市博物館へと向かいました。素晴らしい展示でした。次の記事で。そして、旅はマリンドリーム能生のやれやれでしたのカニ三昧へと続きます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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