モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の貝母の開花状況。数輪咲き始めました。満開は15日前後と予想(妻女山里山通信)

2020-04-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市南部の川中島の戦いの際に上杉謙信が布陣したと伝わる陣場平。そこに私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトが保護活動をしている貝母(編笠百合)の群生地があります。奈良時代に薬草として入ってきて全国に広まったそうですが、現在これだけの群生地はここだけと思われます。信濃毎日新聞で紹介されたり、拙書や当ブログで知られて遠くは北陸や首都圏からも観に来てくださいます、本当に嬉しいことです。昔は全国各地にこの薬草畑があったようですが、現在これだけの群生地はここだけの様です。保護活動は大変ですが、それだけの価値はあると思いメンバーは活動をしています。4日(土)の状況です。 開花状況は、このブログに載せていきます。

 出発しようとしたら、数人のおばさまと小さい女の子が。斎場山と貝母を観に行くというので案内することにしました。現在の生育状況はこんなです。まだつぼみですが、10〜20日頃には見頃になると思います。拙書の読者や、以前にガイドしてもらいましたという方にも出会います。鞍骨山トレッキングの人には、ぜひ寄っていってくださいと案内もします。

 陣馬平入り口の西向きの斜面は、日当たりが良いので最初に開花します。うつむいた花のアップを見ると、編笠百合という和名の理由が分かりますね。数輪が咲き始めていました。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 自然に増えた落葉松林の貝母は、24、29日の降雪で潰されてしまいました。でも必ず復活します。枯れることはありません。

(左)群生地の全貌です。最初に私が発見した時は、ひどい藪で、それを切り払って仲間も加わって非常に厳しい保全活動をしたことなどをお話しました。毎年、種を蒔いたり球根を植えたりしています。昔ここは畑だったので周囲とは土質が異なるので無制限に広がることはないということも説明。(右)貝母を発見するきっかけとなったこの菱形基線測点についても説明しました。興味のある方は、右上で菱形基線測点でブログ内検索をしてください。

(左)貝母を食べた野生動物がいますね。おそらくニホンカモシカではないかと思われます。毒草ですが少量なら大丈夫なのでしょう。全草を持って帰ってもいいですかという方もいますが、毒草であることを説明して納得してもらっています。外れの方にある花を切り花として持ち帰るのは、大丈夫です。(右)おそらくオオズキンカブリタケ。食べないほうがいいでしょう。これも以前詳しく記事にしています。

(左)この山系で真っ先に咲くアオイスミレ。鞍骨山に行ってきた方に聞いたら、尾根筋では咲いていたとか。(右)我々が栽培している原木シイタケ。油断していたら大きくなり過ぎました。採取して干し椎茸にします。

 妻女山松代招魂社の桜が咲いています。ソメイヨシノやヤマザクラは、まだつぼみです。なんでしょう。

 花が皆下を向いています。マメザクラとなにかの交配種でしょうか。これからソメイヨシノが咲き、妻女山に多いカスミザクラが咲き、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、ウワミズザクラと咲いていきます。信州の春は猛スピードで駆け抜けて行くのです。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から北の眺め。左に戸隠連峰と戸隠富士と呼ばれる高妻山。右に飯縄山。

 西方には仁科三山。左に爺ヶ岳、右に五竜岳、中央に鹿島槍ヶ岳。手前のソメイヨシノはまだつぼみですが、長野市の平地では開花宣言が出ました。森のあんずは満開です。レンギョウやユキヤナギ、モクレンもあちこちで咲いています。下山中に上越市からと拙書の読者の男性に邂逅。これから里山は賑わいます。新型コロナウィルスで世間は大騒ぎですが、静かな里山は感染の危険はほとんどないでしょう。山歩きをおすすめします。

 翌日5日(日)の開花状況です。駐車場から登り始めると、あれだけあった倒木がありません。全部切られて処理されています。まずは陣馬平へ。松代からのご夫婦に発見から開墾、保護活動の経緯をお話しました。みなさん驚かれます。花冷えの日でしたが、かなり咲き始めました。11日(土)から19日(日)ぐらいが見頃になると思います。落枝を片付ける作業をしました。

 倒木の処理は、ログハウスのKさんだろうと向かいました。やはりそうでした。ログハウスへ入るところには、コナラやクヌギ、落葉松などの倒木が散乱していましたが、ある程度片付けられていました。ログハウスでお礼を言って歓談。19日の「妻女山 花と歴史のハイキング」でこちらにお邪魔する旨を伝えました。12日の妻女山里山デザイン・プロジェクトの活動では、昼餉にこちらを使わせていただきます。先に来ていたご夫婦も素敵な場所だと感激していました。私有地立入禁止の看板がありますが、マナーを守って古墳を見学する分にはかまいません。持ち主がいた場合は見学させてくださいと言ってください。晴れていれば仁科三山と眼下に千曲川の美しい流れが見られます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 信州千曲市森のあんずが満開... | トップ | 春爛漫の上越市の鮫ヶ尾城跡... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事