千曲市のサイトで倉科と戸倉の節分草が咲き初めとでたので、まず毎年通っている倉科の杉山の群生地へと向かいました。ところが道路工事で通行止め。大勢見に来るので倉科の入り口に節分草群生地に車では行けませんの表示が欲しいですね。戻って宮坂峠から戸倉に越えようと思ったらここも工事で通行止め。仕方なく一重山をまわって戸倉へ。ところが途中でも通行止めが。年度末なので工事だらけなのは知っていましたが。やっと戸倉駅裏手のキティパークの駐車場へ。ここから20分山道を登ります。
セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限だそうですが、ということは日本の北限ということでいいのでしょうか。実はもう少し北にもあるのではと探しているのですが、見つかりません(笑)。
可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。
節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。右にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。
アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。たとえばカタクリの胡麻より小さな種にはエライオソームというアリの餌となる物質がついていて、アリは種ごと巣に運びます。そして、エライオソームを取った後、種を巣の外に捨てるのですが、それが種蒔きになるのです。自然界は弱肉強食といいますがそれは間違いです。非常に複雑に絡み合った共生関係にあるのです。
石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。
節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。花言葉は、気品・ほほえみ・光輝・人間嫌いだとか。高貴な花なんですね。やはり野に置け節分草。栽培ではなく山野で楽しみたいものです。
今年は発見できませんでしたが、稀に八重のものがあります。また、もっと稀ですが、一つの茎から二輪の花が咲くものがあります。2018年3月の記事では紹介しています。
赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じがなんとも魅力があります。
「天狗の里 節分草まっぷ」と群生地の説明。駐車場は左の図の向かいにも10台ほど。左の道を少し登って10台ほどあります。それぞれにトイレもあります。
遊歩道やベンチがあります。
途中のあんずの里のスケッチパークでは蝋梅が咲いていました。
紅梅も満開です。奥の杏の花はまだ固いつぼみですが、今年は開花が早そうです。
紅梅のアップ。午後1時を過ぎました。妻女山の陣場平へ貝母を見に行きます。
妻女山陣場平の貝母(ばいも:編笠百合)。2月28日に比べるとずいぶんと成長しました。西向きの一番早く芽吹き咲き出すエリアです。今年も見頃は、4月10日〜20日頃になると思います。昨年の満開の様子は、4月の記事を御覧ください。里山でのこれほど大きな群生地は日本でここだけです。
陣場平中心部もほとんどが芽吹いています。昨年仲間と移植した球根も芽吹いていました。咳止めの薬草ですが、かなり強い毒草なので持ち帰りは厳禁です。
川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした陣場平。かなり開けたギャップです。ひどい藪だった状態からここまでするのにはかなりの労力と時間が必要でした。倒木や落枝、帰化植物(オオブタクサやハルジオンなど)との戦いは毎年続きます。
●川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした斎場山と陣場平へ(妻女山里山通信):『甲陽軍鑑』の編者と言われる小幡景憲彩色の川中島合戦絵図。陣場平に陣小屋が七棟建てられた図が描かれています。(東北大学狩野文庫の許可を得て掲載)
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は1から2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。千曲市が長野県の北限だそうですが、ということは日本の北限ということでいいのでしょうか。実はもう少し北にもあるのではと探しているのですが、見つかりません(笑)。
可憐な節分草。早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春の儚い命)と呼ばれます。セツブンソウの種は、アリが巣に運んで発芽する虫媒花。アリ散布植物です。
節分草は、発芽して1年目のものは葉が丸いのです。探すと必ず見つかります。右にひとつ写っているのですが。分かるでしょうか。
アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。たとえばカタクリの胡麻より小さな種にはエライオソームというアリの餌となる物質がついていて、アリは種ごと巣に運びます。そして、エライオソームを取った後、種を巣の外に捨てるのですが、それが種蒔きになるのです。自然界は弱肉強食といいますがそれは間違いです。非常に複雑に絡み合った共生関係にあるのです。
石灰質の土壌を好み、晩秋から冬の間に、地中深くにある黒褐色の塊茎から発芽します。種子から開花まで3年以上かかるわけですから、林床の環境が良い状態で続かないと生育できません。昔は雑木林に入って草刈りや灌木の除伐や薪拾いをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリと同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、盗掘や自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です(絶滅危惧植物II類)。
節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。花言葉は、気品・ほほえみ・光輝・人間嫌いだとか。高貴な花なんですね。やはり野に置け節分草。栽培ではなく山野で楽しみたいものです。
今年は発見できませんでしたが、稀に八重のものがあります。また、もっと稀ですが、一つの茎から二輪の花が咲くものがあります。2018年3月の記事では紹介しています。
赤紫、青、白、黄色の組み合わせは、なんとなく北欧とかアルプスの高山ぽいですね。清楚で可憐な感じがなんとも魅力があります。
「天狗の里 節分草まっぷ」と群生地の説明。駐車場は左の図の向かいにも10台ほど。左の道を少し登って10台ほどあります。それぞれにトイレもあります。
遊歩道やベンチがあります。
途中のあんずの里のスケッチパークでは蝋梅が咲いていました。
紅梅も満開です。奥の杏の花はまだ固いつぼみですが、今年は開花が早そうです。
紅梅のアップ。午後1時を過ぎました。妻女山の陣場平へ貝母を見に行きます。
妻女山陣場平の貝母(ばいも:編笠百合)。2月28日に比べるとずいぶんと成長しました。西向きの一番早く芽吹き咲き出すエリアです。今年も見頃は、4月10日〜20日頃になると思います。昨年の満開の様子は、4月の記事を御覧ください。里山でのこれほど大きな群生地は日本でここだけです。
陣場平中心部もほとんどが芽吹いています。昨年仲間と移植した球根も芽吹いていました。咳止めの薬草ですが、かなり強い毒草なので持ち帰りは厳禁です。
川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした陣場平。かなり開けたギャップです。ひどい藪だった状態からここまでするのにはかなりの労力と時間が必要でした。倒木や落枝、帰化植物(オオブタクサやハルジオンなど)との戦いは毎年続きます。
●川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした斎場山と陣場平へ(妻女山里山通信):『甲陽軍鑑』の編者と言われる小幡景憲彩色の川中島合戦絵図。陣場平に陣小屋が七棟建てられた図が描かれています。(東北大学狩野文庫の許可を得て掲載)
◆『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。
★本の概要は、こちらの記事を御覧ください。
★お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
今ブログを拝見して更に勉強になりました。陣馬平のバイモは是非行きたいと思っています。
私は「信州の里山を歩く」1999版は以前購入して読んだことがあります。
私はFBにつたない写真を載せています。
陣場平の貝母もぜひ見にきてください。
私も時々間違えるのですが、陣馬平ではなく陣場平です。謙信が布陣した場所という意味ですね。
「信州の里山を歩く」は私も持っています。何人かの共著ですね。拙書は「信州の里山トレッキング」です。Amazonや松代夢空間案内所、平安堂などでお求めできます。よろしくおねがいします。