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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

新潟県松代町の大地の芸術祭へ。草間彌生の《花咲ける妻有》。蒲生泥火山。マリンドリーム能生でカニ三昧。夕映え(妻女山里山通信)

2020-09-27 | 展覧会・イベント・コンサート
 キナーレ現代美術館の建物内にある明石の湯に入って長いトンネルを抜けて、松代町(まつだいまち)へ。最初は十日町の道の駅クロス10で車中泊するつもりでしたが、狭いのとあまりにも街の中なので、もっと静かでひなびた所が良いなと。まつだいふるさと会館が道の駅で、ほくほく線の松代駅が併設されています。24時間営業のコンビニもあり便利です。
大地の芸術祭:公式サイト 作品は、十日町市と松代町のあちこちにあって、とても観きれません。公式サイトで観たい作品を選んで回るのがいいでしょう。

 《花咲ける妻有》草間彌生。世界的な前衛芸術家、草間彌生の作品です。これを観るために訪れたといっても過言ではありません。彼女自身も最も好きな作品だそうです。明け方にかなり激しい雨が降りました。連休で人影もほとんどない朝7時半から鑑賞の散歩にでかけました。左奥に見える農舞台もまだ開いていません。雨後の真夏のそれとは異なる草いきれ。

 どこから撮影しても電線とか建物や街の風景が入ってしまいます。このカットは、電線をフォトショップで消してあります。90歳を過ぎてなお制作の情熱を失わず創り続ける彼女には感服します。

 あえて電線や街の風景を入れてみました。真後ろに見えるビルがまつだいふるさと会館。芸術と俗のコントラスト。芸術は分かりやすい必要はありません。マスメディアや大量消費、大衆文化の隆盛で、分かりやすいものが溢れています。しかし、芸術はそうでなくていいのです。大衆に迎合したらレベルは堕ちます。政治もテレビも、本も入門書ばかりで、日本の文化レベルは地に落ちています。分かりやすいものは必要ですが、それだけではいけない。高度なものは絶対に必要です。分からなくても可能性を信じて、それに投資する金持ちや政府があったから芸術も科学も伸びたのです。すぐに役に立つものだけでは、人類の進歩はありません。

 《棚田》イリヤ&エミリア・カバコフ(ロシア/アメリカ)。

 《リバース・シティー》パスカル・マルティン・タイユー(カメルーン/ベルギー):一本一本には世界の国々の名前が書かれています。

 見上げると山城が。松代城跡。行きましょう。しかし、なかなか辿り着けませんでした。最後は舗装路ですが、かなりの急登。

 《人生のアーチ》イリヤ&エミリア・カバコフ(ロシア/アメリカ)。:かなりペシミスティックな人生観。松代城跡へ行く途中にあります。

 日本三大薬湯の松之山温泉へ行く途中から山を下って美しいブナ林の「美人林」へ。解説には樹齢100年ほどと書かれていましたが、それにしては随分と細いですね。豪雪地帯だからでしょうか。ブナ林では、息子たちとよく登った山梨県の牛ノ寝通り、鶴寝山のブナの巨木を思い出します。
牛ノ寝通り(山沢)・大トチと鶴寝山・大ブナ:私のサイトです。樹高30mを超える巨木は、神々しく感動します。クリックすると大きなカットがご覧いただけます。
 
(左)再び長いトンネルを抜けて蒲生泥火山へと向かいましたが、通り過ぎてしまいました。理由は、蒲生の信号が三ヶ月前に撤去されてしまったからです。でも地元のおじいさんに聞いてやっと辿り着けました。(右)この藪の向こうにあるのですが、これではとても行けません。泥火山て何!?と思われた方は、下のリンクをクリックしてください。
蒲生泥火山

 その足元の小さな流れに石油みたいなものが。これは拙書でも「みすずかる信濃の国の鉄バクテリアがずくを出す」というエッセイで紹介している鉄バクテリアです。古代日本では、この死骸を集めて製鉄をしていました。

(左)山間部を抜けて、国道253号を上越市へと向かいます。左右にはコシヒカリの広大な水田地帯。(右)上越市で大渋滞にはまり、首都圏ナンバーの車が多いことに気づき、マリンドリーム能生も大渋滞大混雑と予想し、高速に乗り親不知ピアパークへ。しかし、ここも満車。やっと入れましたが、人が多すぎて何もできず。下路をすごすごとマリンドリーム能生へ戻ったのは2時過ぎでした。

(左)いつもの海富丸へ。7回目のスタンプを押してもらいました。回転が早すぎて解凍が間に合わないのよ。ゆっくり食べてねと。(右)三密を避けて裏の海岸べりの芝生へ。ここも満員でしたが空いてる場所をなんとか確保。大おまけしてもらってズワイガニ三杯。お腹いっぱいになりました。

 いつもの長者温泉に入り5時過ぎにマリンドリーム能生に戻りました。観光客はもういませんが、車中泊の車やキャンピングカーが30台以上います。こんなことは初めてです。夕日。防波堤の上には、夜釣りをする人々。狙いはキジハタかチヌでしょうか。雲の濃淡のグラデーションが、ため息が出るほど美しい。

 太陽が落ちて。夕映えの空。鴇色(ときいろ)の空。濃い雲は、紺青(こんじょう)やら紅掛空色(べにかけそらいろ)とか藤色とか。やや黄色がかった部分は鳥の子色か。和色名には灰色の色名が非常に多いのです。紺色も多い。カシミールで絨毯を織る女性たちは、赤だけで100種類以上見分けができます。水平線と防波堤の上の線をあえて揃えてみました。さて、翌日は信州へと戻ります。
和色大辞典

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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