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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

花の聖山へ。北アルプス含め360度の大展望が魅力。ヒメギフチョウとの邂逅(妻女山里山通信)

2021-05-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 麻績村と長野市大岡(旧大岡村)に跨る聖山(1447.2m)へ。聖湖畔のレストランの西側の道を10分ほど登ると三和峠の登山口です。すでに三台駐車していました。県外ナンバーも。

(左)三和峠からは急登が二つ続きます。(右)20分ほどで風越山(1308m)。ここからは、あまり高低差のない快適な尾根道が聖峠まで約20分続きます。

(左)タチツボスミレ(立坪菫)の群生地があちこちで見られます。(右)ヒゲネワチガイソウ(髭根輪違草)ナデシコ科ワチガイソウ属の多年草。センボンヤリやセンブリと間違えそう。

 白樺も散見される気持ちのいい尾根道。まるで公園の散歩道の様。左(南側)は、麻績村へ下る急斜面。右(北側)は、なだらかな落葉松林と別荘地。北側と南側で植生が異なるのも面白い。里は、最高気温が26度の夏日ですが、ここは20度ぐらい。通り抜ける爽風が心地よい。

 ムラサキケマン(紫華鬘)の群生地もあちこちに見られます。毒草ですが、ウスバシロチョウの食草です。

 タネツケバナで吸蜜するツマキチョウ(褄黄蝶)のメス。モンシロチョウより一回り小型で、せわしなく飛び回っていました。

 ツボスミレ(坪菫)。スミレ科スミレ属の多年草。別名は、ニョイスミレ(如意菫)。花が1センチぐらいしかなく小さいので気が付かれないかも。アリが種を運んで増えるアリ散布植物です。種に付くエライオソームを餌とするために巣に運び、種を巣の外に捨てることが種蒔きになるのです。アリ散布植物は日本でもケマン属、スミレ属、オドリコソウ属、カタクリ属など広い分類群に渡ってみられ、約200種が分布しています。

(左)ウバユリ(姥百合)の若葉。ユリ科ウバユリ属の多年草。高さ1mぐらい。虫倉山や鏡台山で見られるオオウバユリは、たかさ2mぐらいになり、それは見事です。(右)5ミリもない小さな花。花びらが4枚でアブラナ科であることは分かりますが。種名が分かりません。コンロンソウでもないし、タネツケバナでもないし。

(左)聖峠。左は坊平コース。かつての「塩の道」で、松本街道が越えていました。右は聖山遊歩道で、こちら側にも登山口があります。ここからひと登りで山頂です。約20〜30分。(右)左(南側)に麻績村の集落が見えます。ウグイスの鳴き声。

(左)山頂へは、ジグザクに登ります。ニリンソウ(二輪草)の群生地。若葉は山菜ですが、猛毒のヤマトリカブトとそっくりで、隣り合わせに群生地があったりするので要注意です。(右)可憐なニリンソウの花。

(左)エンレイソウ(延齢草)。シュロソウ科エンレイソウ属の多年草。別名は、タチアオイ。 (右)エンレイソウの花。ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)も見られました。

(左)なんでしょう。見覚えがあるのですが思い出せません。なんとなくタデ科っぽいと思い調べると、クリンユキフデ (九輪雪筆)がヒット。タデ科イブキトラノオ属の多年草。(右)ウスバサイシン(薄葉細辛)。ウマノスズクサ科カンアオイ属に分類される多年草。ヒメギフチョウの食草です。生薬名は細辛で、めまい、冷え性、便秘などに。

 で、もしやと思っていたら目の前に春の妖精ヒメギフチョウ(姫岐阜蝶)が。準絶滅危惧種。6月〜7月頃蛹になりそのまま越冬します。春を告げる貴重な蝶。ウスバシロチョウと共に、氷河期の生き残りといわれます。捕獲は厳禁。

 タチツボスミレで吸蜜するヒメギフチョウ。結局5頭に邂逅。ただ吸蜜時間が短く、すぐに飛び去ってしまうので撮影は困難を極めました。

(左)ニリンソウではなく、猛毒のヤマトリカブト(山鳥兜)です。(右)フデリンドウ(筆竜胆)。リンドウ科リンドウ属に分類される越年草。ハルリンドウより更に小さいので、これも見落としがちな可憐な花です。

(左)撮影していたので1時間半もかかりました。山頂にはご夫婦が。妻女山の貝母も観に来たことがあるそうです。有り難いです。(右)昼は、ハムカツ、アボガド、目玉焼きのホットサンドを作ってきました。味付けはウースターソースとマヨネーズと岩塩。馬鹿旨です。

 聖山の最高なところは、360度の大展望。善光寺平と安曇野が見えます。北アルプスの絶景と蓼科山と八ヶ岳連峰、四阿山と根子岳。志賀高原の山々。このカットは、私がホームフィールドとしている妻女山山系。私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトが保護活動をしている貝母(編笠百合)の群生地がある陣場平も眼下に見えます。

 南を見ると、拙書の表紙に使っている子檀嶺岳。独鈷山も掲載しています。その間は、信州の鎌倉といわれる塩田平。右奥には清少納言が七栗の湯といったという別所温泉。修那羅峠には石仏群があります。

 右へ目をやると筑北村。水田が見えます。蛇行して松本へ続く長野自動車道。中央には古い善光寺街道が越えていた立峠があります。善光寺街道(北国西街道)が通り、江戸時代には、立峠の石畳を通って多くの信者たちが善光寺へ参詣に行きました。右奥には安曇野が霞んで見えます。

 西には北アルプスの仁科三山。五竜岳に見られる武田菱も、今年はGW前に消えてしまいました。手前の里山と向こうの山の間の谷には、犀川が流れ、長野と松本を結ぶ国道19号があります。信州新町の通行止め区間も、片側交互通行となって通れる様になりました。

(左)帰路でコハウチワカエデの花を撮影。(右)オオカメノキ(ムシカリ)の花も、あちこちで見られました。

 途中から望む聖湖と拙書でも紹介の三峯山。息子達が小さい頃に滑ったスライダーが見えます。右奥には、これも拙書で紹介の冠着山(姨捨山)が見えます。

 姨捨の棚田。向こうには千曲川と茶臼山、飯縄山が見えます。棚田としては全国で初めて国の名勝に指定され 日本の棚田100選にも選ばれています。浮世絵師の歌川広重の「信州更科田毎の月」は超有名ですね。姨捨駅のスイッチバックと、そこからの夜景は必見です。

(左)今回初めて使った「おにやんま君」。これを付けているとアブやハエ、ヤブ蚊が来ません。確かに効きますね。ただクロメマトイには効かない様です。(右)聖山は山菜の採取は禁止です。これは帰りの某里山で採取したヤマウド、モミジガサ(シドケ)、コシアブラ、ハリギリとホタルイカの野趣豊かなパスタ。絶品でした。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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