モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

茶臼山の北アルプス展望台へスノーハイキング。仁科三山・白馬三山。北アルプスの圧巻の大パノラマ(妻女山里山通信)

2022-01-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 2022年1月8日の善光寺平は、雲ひとつ無いドピーカンの晴天。運動不足解消を兼ねて茶臼山の北アルプス展望台へスノーハイキングをしました。二つ前の妻女山展望台からの大パノラマの記事の写真より、5キロ北アルプスに近く、乾燥していて空気がクリアだったので大迫力の望遠カットが撮影できました。
 我が家は元旦の夜は、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを鑑賞するのが習わしだったけれど、今年は見そびれてしまったので再放送で視聴しながらブログ記事を書いています。ダニエル・バレンボイムの指揮で。やっと新年が来た気がします。

 茶臼山(729.9m)の旗塚コースは、拙書の中でも最も短く標高差のないもので、幼児でも登れる散歩コースです。それでも積雪が10センチ以上となると里山でもそれなりの用意が必要です。今回はスパイク付きの長靴で登りました。北アルプス展望台までは、信里小学校の校門を右折してすぐの駐車場から約20分。標高差はわずか60mです。展望所からは上のカットの様な大パノラマが望めます。左から仁科三山の鹿島槍ヶ岳、最も右に白馬岳。眼下には里山の原風景といえる風景が広がります。

 仁科三山。左から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳。

 その右に白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。この三山の命名については、妻女山展望台からの記事に詳しく記しています。笑ってしまうような内容です。以下のキャプションも前回の記事と重複するものもあります。

 白馬三山の手前に虫倉山。拙書でも載せていますが、2014年の神城断層地震で山頂の4割が崩壊してしまいました。更にクラックが入っていて、次に大きな地震があればまた崩壊してしまうかもしれません。中腹には旧中条村(現長野市)の小さな集落があちこちに点在します。米、西山大豆、野沢菜などが名産です。

 北アルプスを左(南)から紹介していきます。左に蓮華岳(2799m)、右奥に針ノ木岳(2821m)。蓮華岳と針ノ木岳の間にあるのが針ノ木峠(2536m)。非常に険しい山岳地帯ですが、古くは信濃国と越中国を結ぶルートの要衝だった歴史ある峠です。一番右の頂きはスバリ岳(2752m)。

 爺ヶ岳(2670m)。栂山・栂谷ノ峯・後立山・五六ヶ岳・爺岳・爺子岳とたくさんの別称があります。南峰と本峰の間の白沢の上部には、春に種蒔きをする老爺の雪形が見られ、山名の由来となりました。雷鳥も生息します。

 鹿島槍ヶ岳(2889m)。山頂の右手の陰になっている谷には、平家の落人が隠れたというカクネ里があり、上部の雪渓は2018年に長野県初の氷河であると認定されました。ここ茶臼山からの直線距離は、約33キロです。

 春に武田菱の雪形が現れることで有名な五竜岳(2814m)。このカットでは、山頂の右下に見えています。旧字体では五龍嶽。名称は武田の領地であった御菱(ごりよう)から。右の小ピークは白岳。

 唐松岳(2696m)。別名は上犬ヶ嶽。八方尾根から唐松に向かうルートは上り下りにリフトとゴンドラを利用でき、標高1800m付近まで上がることができます。山頂までの標高差も800mなので北アルプス入門の山として人気があります。

 左にWに切れ込んだ不帰ノ嶮(かえらずのけん)。右の天狗ノ頭。この命名のエピソードも二つ前の妻女山展望台の記事で。

 左から白馬鑓ヶ岳(2903.11m)、杓子岳(2812m)。

 白馬岳(2932.24m)。右へ長い尾根をたどると、朝日岳などを経て栂海新道は、親不知の日本海へと続いています。フォッサマグナの成り立ちと深い関係があります。糸魚川市のフォッサマグナミュージアムは必見です。この望遠カットを見た妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーのひとりから、腕がいいのかなカメラがいいのかなとメール。腕はともかく、カメラとレンズが凄いのです。ボディはOlympus OM-D E-M1 Mark III。望遠レンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO。非常に評価の高い望遠ズームです。これに2倍のテレコンバーターを付けています。35ミリ換算で、600mmになります。そして驚いていただきたいのは、これらのカットの撮影には三脚は使っていません。すべて手持ち撮影です。オリンパスの手ブレ補正の凄さが分かっていただけると思います。加えて天気や空気の乾燥度など好条件が重なった結果です。
私がOLYMPUSを使い続ける理由。たかが写真されど写真(妻女山里山通信)

 その右手前にある里山は拙書でも紹介の虫倉山(1378m)。そこで虫というのは古代は蛇(龍)のことであるとか、松代藩の領地で尊崇されていたということを記しています。旧中条村の方たちが「むしくら」という非常に詳しい研究書を出されていて、拙書の記述の際も参考にさせていただきました。本では不動滝に生息するハコネサンショウウオの写真も載せています。

 撮影を終えて戻ります。樹上から落雪。ダイヤモンドダストの様にキラキラと輝いて美しい。鳥のさえずりはわずか。ヤマガラが一羽、カケスが一羽いて威嚇されました。

 茶臼山の南峰。地滑りで崩壊する前は、ここに北峰とほぼ同じ高さの山があったのです。伝承では山城の跡や古墳があったというものがあります。

 駐車場に戻って南方の眺め。坂城、上田方面が見えます。茶臼山は山頂近くまで集落があります。ここから見る善光寺平の夜景は素晴らしい。長野県は、移住希望で何年も全国一位ですが、この絶景を毎日見られると思うと住みたくなる気持ちは分かります。蓼科山(2530.7m)は、別名を諏訪富士とか女神山(めのかみやま)といわれます。富士山と八ヶ岳の背比べの話は有名ですが、女神の富士山に叩かれて低くなってしまった男神の妹が蓼科山なのだそうです。

 林檎畑の向こうに善光寺平と根子岳と四阿山。積雪はそれほど多くないですね。眼下に長野オリンピックの会場になったスタジアム。右奥は松代の市街地。氷点下ですが、歩くとわずかに汗ばむほど。温泉へ向かいました。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 初詣は会津比売神社。妻女山... | トップ | 雪景色の善光寺平。妻女山へ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事