キク科ヒマワリ属。Helianthus annuus
北アメリカ原産の一年草。日本には江戸期に渡来したそうです。なんだかうなずけますね。この明るさ、ルドベキアと似てます。比較的古くからいるせいか、日本の夏にすっかりなじんでいる。ヒマワリのない夏など考えられないほど。
キク科の花は、ヒメジョオンやコスモスなどもそうですが、少し男性っぽく、怒りっぽいのが多いです。いつも、少し冷ややかに人間を見ている。やさしく笑いかけてくれる花は、めったにない。少し離れたところから見ていて、これはまあ、いいことをやっている部類だな、と感じた人間には、ほお、という感じで見ている。けれども、これは少し問題があるなという人間には、厳しい顔を向けている。いやなやつ、と感じたら、強い拒否反応を示し、ときには攻撃性も見せてきます。
強い花がそろっているキク科の中で、ヒマワリはもっとも厳しい花。
太陽そのものの花を、高々と空に上げて、まっすぐに見ている。真っ正直に見上げなければ、苦しくなる。真っ向から見下ろしてくる。正しくなければ、その前に立つことすら難しい。ヒマワリは、正しくないことには、厳しすぎるほどに厳しい。いつも、苦しい、という顔で見返してくる。おまえは、何をしているんだと。
誇り高い正義の花。しかし今の時代、ヒマワリはいつも苦しい顔をしている。人間が、あんまりに苦しいものになってきているから。まるで、わからないものになってきているから。なんてことだ、という顔で咲いている。苦しい、を通り越して、泣いている。あんまりだ。こんなことになるとは。
真実があまりに苦しい仕打ちを受けている時代、バラは眠らざるを得ない。ユリは野で心を閉じなければ、生きていけない。ヒマワリは、孤高の高みで無言で叫ばざるを得ない。
完全に、苦しすぎる時代。けれど、花は咲いている。あまりにも厳しい、混沌の砂嵐の中で、ただ、咲き続けている。