世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

露をつかむ片あごのクワガタ

2008-05-11 09:16:08 | こものの部屋

虫を描くのも好きです。子供の喜ぶカブトムシやクワガタを描くのも、けっこう得意です。カードの虫みたいに、派手にかっこよくは描けませんけどね。

このクワガタは、片方のあごが変形してます。たぶん、さなぎの中で、事故があったんでしょう。

これは、オスとしてはとっても不利。戦う前に負けてしまう。弱点がそのまま出ていますから。もはやこれまでというところ。でも、男は転んでもただではおきない。片方が縮んだあごを、何かに生かすことを考える。それを武器にする。

彼はいろいろと試みて、左右違う自分のあごが、かなり微妙な技に使えることを発見するのです。樹上から落ちてくる露を、なんと、ナイスキャッチすることができる。その露は、極上の蜜なのです。木の命と知恵がこもっている。

片あごが縮んでいたおかげで、このクワガタはもっと大きな知恵を知ることができる。すばらしいことができる。

要するに、なんでもやってみねばわからないということ。自分の持っているカードを、なんとかしてみる。そうすると、新しいものを、作り出すことができる。新しい世界への窓を、開くことができる。

ないのなら、創り出してしまえばいいのさ。それがすべてのはじまり。

片あごのクワガタは、とってもかっこいい自分を生きている。

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