虫を描くのも好きです。子供の喜ぶカブトムシやクワガタを描くのも、けっこう得意です。カードの虫みたいに、派手にかっこよくは描けませんけどね。
このクワガタは、片方のあごが変形してます。たぶん、さなぎの中で、事故があったんでしょう。
これは、オスとしてはとっても不利。戦う前に負けてしまう。弱点がそのまま出ていますから。もはやこれまでというところ。でも、男は転んでもただではおきない。片方が縮んだあごを、何かに生かすことを考える。それを武器にする。
彼はいろいろと試みて、左右違う自分のあごが、かなり微妙な技に使えることを発見するのです。樹上から落ちてくる露を、なんと、ナイスキャッチすることができる。その露は、極上の蜜なのです。木の命と知恵がこもっている。
片あごが縮んでいたおかげで、このクワガタはもっと大きな知恵を知ることができる。すばらしいことができる。
要するに、なんでもやってみねばわからないということ。自分の持っているカードを、なんとかしてみる。そうすると、新しいものを、作り出すことができる。新しい世界への窓を、開くことができる。
ないのなら、創り出してしまえばいいのさ。それがすべてのはじまり。
片あごのクワガタは、とってもかっこいい自分を生きている。