キオラックルと仲間たちは旅を続ける。
途中、女性の精霊3人が棲む、透き通った池にたどりつき、キオラックルは女性というものを知る。
なお、キオラックルたち小精霊にはまだ、性別がない。ある程度大きくなってくると、女性になる精霊が決まってきて、男性になる精霊たちのコミュニティから離れていき、しばらく別に住むのである。
学校のフクロウの先生は男性であったから、キオラックルは女性を初めて見た。
キオラックルは大変驚いた。
女性はとても美しくて、たよりないほどに細くて、その歌の繊細なことと言ったら、先生よりもずっとおもしろかったからだ。
キオラックルは、女性を見て、自分も女性になりたいと言った。でも、女性の精霊たちは、キオラックルのもう一つの姿を見て、あなたはもしかしたら、一生性別を持たないかもしれないと言った。
キオラックルは驚いた。
一体自分は何者なのか。どうしてこんなにも、ほかの精霊たちと違うのか。
そもそも、自分は本当に精霊なのか。
もしかしたら、おとうさんのような、樹霊ではないのか。
このように、キオラックルは、その風変わりな故に、幼いころから、自分の存在というものに、つねに疑念を持つことになる。