世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

テコラ誕生⑧

2018-05-27 04:12:56 | 風紋


冬は乗り越えた。もうすぐまた鹿狩りの季節が来る。キルアンがいなくなったからそれは幾分楽になるだろう。しかし、アシメックの胸からは不安が去らなかった。

オラブが残した遺恨が、ヤルスベ族の人間の目を暗くしていた。ケセン川でも、漁師たちが陰険な目を交わしているという。

何かが起こる気がする。それは何なのか。

狩人組がイタカにいき、鹿を七頭も仕留めたころのことだった。アシメックは漁師から噂を聞いた。

オラブが怪我をさせた女が、働かなくなっているらしいということを。





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