このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
起案書へ至急、決裁印が欲しくてNPO法人なごやか理事長の個人事務所を訪ねると、理事長は机の前に立ったまま、A4の書類数枚をためつすがめつ眺めていた。
「グループホームジョバンニのT管理者から法人事務局あてのファックスが僕の番号へ間違って届いた。
それが、古い入居者様の敷金の領収証の写しで、年代順に並べられていることから、本当にたまたまなのだけれど、歴代管理者の筆跡が並んでいることに、転送したあと気がついたんだ。
その中で、とりわけ目が行くのが、2代目管理者だったミス・エイスワンダーの筆跡だ。
かきかたノートのお手本のように大きくて分かりやすく、明るい印象を受ける。
あの方自身は万事引っ込み思案で、ホーム行事の記念撮影の時などいつも隅っこにいたり、カメラ係を買って出たりしていたけれど、そのたび僕や職員たちが無理やり真ん中に置いた。
そんな方がこうして大きな字を書くのは、自己主張ではなく、相手にとって分かりやすく、ということを最優先に考えてのふるまいなのだろう、と僕は見ていた。
本当に、一つ一つが立派な管理者だった。」
私はいつものように軽い胸のつかえを感じながら思った、私も彼女のように、信頼される管理者になれるだろうか。
ホームや入居者様を思う気持ちだけは、負けないのだけれどな。