このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
仕事から戻ると、リビングのソファで母親があおむけにぐったりしていた。元々白い顔から全く血の気が失せている。
あわてて声を掛けようとした僕に、父親がやめとけ、と目くばせしながら首を横に振った。
どうしたのかと小声で尋ねると、長女(上の妹)の勧めで着物専門の買取屋を呼んで見積もりさせたところが、あまりの安さにすっかり気を悪くしたのだという。
ここに額を書くのはやめておくが、次女(下の妹)の夫の実家の呉服屋からいただいた大島紬の反物が300円だったと聞いて、申し訳ないなと思いながらも吹き出してしまった。
(学生時代に売ったレコードの方がまだ高いや。)
キモノは世界に誇れる文化だし、和装の女性くらい美しいものはない。
でも、脱いだ途端にそれこそタンスの肥やし、今や誰もいらないものに変わってしまう。
これまでは、来年、成人式の振袖をレンタルで済ませると言っている娘へ、どうせなら買ってもいいんじゃない?などと軽口を叩いていたが、、、やめた。
振袖はレンタルでいいし、キモノは着たくなったら神社のフリーマーケットででも買ってくればいい。喪服も洋装で構わない。
そういえば、若いころに知己を得た日本舞踊のお師匠さんが言っていた、自分くらいの年齢になると、もう高い着物などまったく不要、軽くて暖かければそれでいいのよ、と。
その方は銀座の老舗和装店がご実家で、そんなことおっしゃってよろしいのですか、と僕はおっかなびっくり答えたものだ。
ともあれ、母にとっては災難な一日だった。