このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
今回の地震はなかなか揺れが収まらなかった。
アパートが木造二階建てということもあったのだろう。
幸い、すぐに兄が駆けつけてくれた。
なにせ三軒先に住んでいるので。
大きかったね。
うん、また津波が来るかもしれない、家に電話しようよ。
その時、テレビの画面に津波の心配はないとの速報が流れた。
「ああ、よかった。」
お互い声に出して喜んだ。
10年前の東日本大震災の時は二人とも小学生だった。
今は同じ大学生。
次に大地震が来た時、兄とは一緒にいるだろうか。
もしも離れていたら、このおっちょこちょいの、たった一人の兄を私はどれだけ心配するだろう。
なんだか逆だな、と思って私はくすくす笑った。
「ねえ、お兄ちゃん、憶えてる?キャンドルのこと。」
震災後、何日かたってやっと帰宅した父が私たちを楽しませようと、停電している暗い居間で花柄のお皿にバースデイケーキ用のキャンドルを輪に並べ、それで明かりを取った。
ダイちゃん、吹き消してもいいぞ、という父の冗談を真に受けて、兄は本当に息を吹きつけてしまった。それも嬉しそうに、勢いよく。
消えたキャンドルの芯から立ち上る煙を見つめながら、あの時私は何を考えていたのか、思い出せないが、今夜は電気が点いていて、その兄もいる。
全然、安心だ。