映画「キャデラック・レコード」(2008年)を観た時は驚いた。それまではレコードのライナーノートや伝記本を読んで想像していただけの古いブルースマンたちが(もちろんキャラクターとしてだが)生き生きと動いているのだから。
ビヨンセがエタ・ジェイムズを演じたことで当時話題になったが、僕が一番面白かったのは、マディ・ウォーターズがウィリー・ディクソンから「フーチーク―チーマン」を口伝(口授)されるシーン。このエピソードは本当だったんだ、と。
タイトルは黒人スラングで、白人には意味が分からなかったため放送禁止にならず、ブルース・ナンバーとしては異例の大ヒットを記録した。
僕もタイトルは訳さないでおく。
HOOCHIE COOCHIE MAN
フーチーク―チーマン
Gypsy woman told my mother
'fore I was born
You got a boy-child coming
gonna be a son of a gun
Gonna make pretty womens jump and shout
And then the world wanna know
what this all about
ジプシー女がオレのお袋に言った
オレが産まれてくる前に
「きっと男の子だよ
暴れん坊だ
可愛いコたちを
飛び跳ね叫ばせる
そして世間のみなが
その様子を知りたがるだろうよ」
But you know I'm here
Everybody knows I'm here
Well, I'm your hoochie coochie man
Everybody knows I'm here
さあどうだ
そのオレがここにいる
誰もが知っているオレがいる
そうさオレはフーチークーチーマン
誰もが知っているオレがここにいる
I got the black cat bone and I got a mojo tooth
I got the John the Conquerer Root
gonna mess with you
I'm gonna make you girls lead me by my hand
And then the world will know
the hoochie coochie man
オレは黒猫の骨も モジョの歯も
征服者ジョンの根っこも持っている
あんたたちにも大事なことだぜ
オレは女のコたちを意のままにする
それでみな知ることだろう
オレがフーチークーチーマンだと
On the seventh hour, on the seventh day
On the seventh month, seven doctors say
"He was born for good luck, that you'll see."
I got seven hundred dollars
don't you mess with me!
七つ目の時 七つ目の日
七つ目の月 七人の医者が言う
「コイツは幸運に生まれついた
いつか分かるだろうよ」
オレは700ドル持っている
オレと仲良くしようじゃないか!