このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
管理者を務めているやまねこデイサービスが休業の日曜日、私は喫茶店アルファヴィㇽへ手伝いに来ていた。
アルバイトのIさんが弘前の実家へ戻って以来、お店はオーナーとバイトの女学生、それに私の3人で営業を続けていた。
さっきからカウンターに座っている若い女性がなにか言いたげに頭を動かしている。
その隣では、小さな男の子が熱心にクレヨンでノートに絵を描いていた。
あの、とその女性はやっとオーナーへ声を掛けた。
貼り紙にパート募集とあるのですが、私が応募してもいいでしょうか?
ええ、構いませんよ。
オーナーの声は優しかった。
私、隣町から越してきて、ついさっきアパートを契約したばかりなのですが、職が決まっていないとこの子の保育所を申し込めないんです。
オーナーがうなずく。
お子さんは何歳?
三歳です。
お名前は?
リヒトといいます。
あら、いいお名前ね。
じゃあ、保育所の申込用紙にはこのお店をお書きなさい。
これから頑張ってね。
ハイ、と答えると女性は大粒の涙をこぼした。
その時、ドアが開いてNPO法人なごやか理事長が入ってきた。
カウンターの中の私を見るなり、「きみはウチの管理者じゃなかったっけ?」とお約束のジョークを飛ばした。
その彼はおや、という風に男の子を見やると、ボクお名前は?と尋ねた。
リヒトくんです。
オーナーが代わりに答えた。
おお、いいお名前だね。
そういいながら、彼は隣の母親をプロの目で眺めた。
理事長、またオーナーに先を越されたようですね。