このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
これは僕が二十代で知り合った老大工さんが問わず語りに力説していた話だ。
もうずいぶん前に亡くなっている彼は若いころ相当乱暴者だったらしく、組にも出入りしたそうで、実際、あのひとが居る現場はちょっと、と尻込みする業者もいた。
僕とは何事もなく一緒に仕事をしたが、根が流れ者気質なのか、二現場ほどでぷいといなくなり、そのまま顔を合わせることはなかった。
「井浦さん、オレはお彼岸の中日だけは絶対に働かないことにしてるんだ。」
そうですか、ウチは元々お休みですから構いませんよ。
「オレね、弟子が終わって間もないころに、お彼岸の中日に仕事に出たんだ。玄関でおふくろに止められたんだよ、中日は働くもんじゃないからやめろって。でも若かったし、金が欲しかったから、うるせいってそのまま出てきたんだけど、その日の土蔵の改修工事で、倒れてきた土壁の下敷きになって3か月も入院することになってしまった。以来、オレはどんなに頼まれてもお彼岸の中日だけは働かないんだ。それにしても、母親ってありがたいね、一所懸命看病してくれたけど、それ見たことかとは一言も言わなかったもの。」
僕もこの話を聞いて以来、彼岸の中日だけは働かないことにしている。ただ、このエピソードが、彼岸の中日には絶対働くななのか、母親の言うことはよく聞けなのか、判断がつかないままなのだが。