ビートルズの二本目の主演映画「4人はアイドル(ヘルプ!)」(1965年)にストーンヘンジが登場する。
劇中、ジョージ・ハリソンの「アイ・ニード・ユー」とポール・マッカートニーの「ナイト・ビフォー」が風吹きすさぶソールズベリー平原で演奏されているのだ。
「アイ・ニード・ユー」は胸を打つラブソングというか、失恋ソング。
ジョージは前作「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(ア・ハード・デイズ・ナイト)」の撮影中に知り合ったモデルのパティ・ボイドとゴールインしているはずなのだが。
Said you had a thing or two to tell me
きみから少し話があるのって言われた時は
How was I to know you would upset me?
こんなに混乱させられるとは思いもしなかったよ
1分32秒のカット
僕がストーンヘンジを実際に訪れたのは、もう25年近く前になる。
4月中旬にもかかわらず、このシーンそのままの、凍えるほど寒いところだった。
(この項続く)
I need you
You don't realize how much I need you
Love you all the time and never leave you
Please come on back to me
I'm lonely as can be
I need you
Said you had a thing or two to tell me
How was I to know you would upset me?
I didn't realize as I looked in your eyes You told me
oh yes, you told me, you don't want my lovin' anymore
That's when it hurt me and feeling like this I just can't go on anymore
Please remember how I feel about you
I could never really live without you
So, come on back and see just what you mean to me
I need you
But when you told me, you don't want my lovin' anymore
That's when it hurt me and feeling like this I just can't go on anymore
Please remember how I feel about you
I could never really live without you
So, come on back and see just what you mean to me
I need you
I need you
I need you
祖父が中年に差しかかったある夜のこと、家業の小さな製材所から疲れて帰宅し、そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。
それが、ふと頭を上げると、向こうの部屋の隅に若い女が立っている。
幽霊かと思ったが、こちらを怖がらせる様子もない。
そのうちに女の声が頭の中に響いた。
なぜそんなに悲しそうな顔をしているのか。
「すべてがうまく行かなくて。」
女はじっとこちらを見ながらまた頭の中で言った。
一生懸命やるといい。私が見ている。
女がそのまま消えてしまうのではないかと焦って祖父は尋ねた。
「アンタはどこで見ているのだ。」
女は答えた。
私はこの家の中にいる。しっかりやりなさい。
それからというもの、祖父はさらに身を粉にして働いた。
物事は良い方向に進んだ。
製材所はめきめき大きくなり、製品の評判も上がった。
客は平日・休日関係なく先を争って押しかけた。
祖父は莫大な財産を築いた。
日本赤十字社へ多額の寄付を行ない、勲章を得た。
金で勲章を買ったとやっかみから陰口をたたく者も多かったが、彼は気にせず、大きくなった身代とは裏腹に、古い小さな家に住み続けた。
またそれをケチだからだと言う者もいた。
祖父が亡くなる前日、私は入院先の特別病室に呼び出された。
彼は言った。
お前の父母はオレの気性を理解しようとせず、長く疎遠になっているが、一方でオレの財産の恩恵には十分過ぎるほど浴している。
のっけからの毒舌に私はたじろいだ。
祖父は構わず続けた。
お前に頼みがある。
家の仏壇下の戸袋に、オレが叙勲された際、肖像画家に依頼して描いてもらった絵が二枚入っている。
オレの絵は捨てて構わない。
もう一枚は昔オレが会った女の絵だ。
そして彼は先に書いた経緯を話してくれた。
その絵を、お前が死ぬまで保管してほしいのだ。
一族の命運がかかっているものだから、必ず大事にしてくれ、頼む頼む。
翌日、一代で財を成し、立志伝中のひとと称された祖父は亡くなり、父母は涙も見せずに一切を淡々と片付けた。
私は依頼のとおり、祖父の家を訪ねた。
金紗の袋に入った二枚の絵が確かにあった。
一枚は、必要以上に難しい表情をした祖父だった。
もう一枚は―私は背筋が凍りついた。
額に入った古ぼけたカンバスには、何も描かれていなかった。
私は頭の上を何かが飛び去ったような気配を感じていた。