ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

ストーンヘンジ

2018年03月03日 | Fab4

 ビートルズの二本目の主演映画「4人はアイドル(ヘルプ!)」(1965年)にストーンヘンジが登場する。

劇中、ジョージ・ハリソンの「アイ・ニード・ユー」とポール・マッカートニーの「ナイト・ビフォー」が風吹きすさぶソールズベリー平原で演奏されているのだ。

「アイ・ニード・ユー」は胸を打つラブソングというか、失恋ソング。

ジョージは前作「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(ア・ハード・デイズ・ナイト)」の撮影中に知り合ったモデルのパティ・ボイドとゴールインしているはずなのだが。

 

Said you had a thing or two to tell me
きみから少し話があるのって言われた時は

How was I to know you would upset me?
こんなに混乱させられるとは思いもしなかったよ

 

                1分32秒のカット

 

 僕がストーンヘンジを実際に訪れたのは、もう25年近く前になる。

4月中旬にもかかわらず、このシーンそのままの、凍えるほど寒いところだった。

(この項続く)

 

I need you

 

You don't realize how much I need you
Love you all the time and never leave you
Please come on back to me
I'm lonely as can be
I need you

Said you had a thing or two to tell me
How was I to know you would upset me?
I didn't realize as I looked in your eyes                                                                You told me

 

oh yes, you told me, you don't want my lovin' anymore
That's when it hurt me and feeling like this I just can't go on anymore

Please remember how I feel about you
I could never really live without you
So, come on back and see just what you mean to me
I need you

But when you told me, you don't want my lovin' anymore
That's when it hurt me and feeling like this I just can't go on anymore

Please remember how I feel about you
I could never really live without you
So, come on back and see just what you mean to me
I need you

I need you
I need you

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肖像画

2018年03月02日 | 珠玉

 祖父が中年に差しかかったある夜のこと、家業の小さな製材所から疲れて帰宅し、そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。

それが、ふと頭を上げると、向こうの部屋の隅に若い女が立っている。

幽霊かと思ったが、こちらを怖がらせる様子もない。

そのうちに女の声が頭の中に響いた。

なぜそんなに悲しそうな顔をしているのか。

「すべてがうまく行かなくて。」

女はじっとこちらを見ながらまた頭の中で言った。

一生懸命やるといい。私が見ている。

女がそのまま消えてしまうのではないかと焦って祖父は尋ねた。

「アンタはどこで見ているのだ。」

女は答えた。

私はこの家の中にいる。しっかりやりなさい。

 それからというもの、祖父はさらに身を粉にして働いた。

物事は良い方向に進んだ。

製材所はめきめき大きくなり、製品の評判も上がった。

客は平日・休日関係なく先を争って押しかけた。

祖父は莫大な財産を築いた。

日本赤十字社へ多額の寄付を行ない、勲章を得た。

金で勲章を買ったとやっかみから陰口をたたく者も多かったが、彼は気にせず、大きくなった身代とは裏腹に、古い小さな家に住み続けた。

またそれをケチだからだと言う者もいた。

 祖父が亡くなる前日、私は入院先の特別病室に呼び出された。

彼は言った。

お前の父母はオレの気性を理解しようとせず、長く疎遠になっているが、一方でオレの財産の恩恵には十分過ぎるほど浴している。

のっけからの毒舌に私はたじろいだ。

祖父は構わず続けた。

お前に頼みがある。

家の仏壇下の戸袋に、オレが叙勲された際、肖像画家に依頼して描いてもらった絵が二枚入っている。

オレの絵は捨てて構わない。

もう一枚は昔オレが会った女の絵だ。

そして彼は先に書いた経緯を話してくれた。

その絵を、お前が死ぬまで保管してほしいのだ。

一族の命運がかかっているものだから、必ず大事にしてくれ、頼む頼む。

 翌日、一代で財を成し、立志伝中のひとと称された祖父は亡くなり、父母は涙も見せずに一切を淡々と片付けた。

私は依頼のとおり、祖父の家を訪ねた。

金紗の袋に入った二枚の絵が確かにあった。

一枚は、必要以上に難しい表情をした祖父だった。

もう一枚は―私は背筋が凍りついた。

額に入った古ぼけたカンバスには、何も描かれていなかった。

私は頭の上を何かが飛び去ったような気配を感じていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする