院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

BSE問題の本質

2006-06-30 20:31:31 | Weblog
 日本がアメリカ産牛肉を輸入しないのは、科学的でないとアメリカは言う。日本はアメリカの牛肉管理が杜撰だと言う。

 アメリカ人はアメリカ産の牛肉を食べている。それをBSEに感染する可能性があるから日本が輸入しないというのでは、アメリカも怒るだろう。

 私はアメリカ産牛肉を食べて人間がBSEに罹る確率は、牛肉を買いに行くときに交通事故に遭う確率より低いと考えている。だから、私自身はアメリカ産の牛肉を食べることに抵抗はない。

 しかし、ことの本質はそんなところにはない。要するに気分の問題なのだ。BSEは怖いとこれだけ宣伝されていて、好んでアメリカ産の牛肉を食べる日本人は少ないだろう。

 日本人もアメリカ人も、尿瓶(しびん)がいくら未使用で清潔であっても、尿瓶でビールは飲めない。清潔だけれども大便器の形をした皿に盛られたカレーライスも食べられない。そういう問題なのである。

 アメリカは日本が科学的でないという前に、自分たちだって尿瓶でビールが飲めないことを理解すべきである。

NHKをかばう

2006-06-29 21:41:26 | Weblog
 NHKが不祥事で叩かれている。受信料の不払いも続いているようである。

 でも私はNHKが好きだ。民放はうるさい。毎晩お祭り騒ぎのバカ番組をたれ流している。CMもやかましい。番組に金がかけられていないから、おのずと品がない。

 それに引き換えNHKの番組は静かで優雅である。金がかかっているから、内容が深い。NHKと民放は「格」が違うと感じさせられることがしばしばだ。

 だから私は、NHKの受信料を払うのにちっとも抵抗がない。

 私がNHKを愛好する理由はもう一つある。高校の同級生のH君が、現在NHKの重役だからである。

 H君は大秀才であっても奢らず、性格が温厚で誰に対しても嫌な感じを与えない高校生だった。このような男を重役に取り立てるNHKが、並みの会社であるはずがない。

 こういう感覚って、よくあるのではないだろうか。例えば、尊敬している同級生が医者になった場合、その人は医者全般に一目置くようになるのではないか。

 私が高校生のころ、尊敬していた同級生はいま世の中の中核にいる。そして私は彼らの業界に一目置いている。自営業にしても会社員にしても官僚にしてもである。

 私の業界が一目置かれているかどうかは、また別の話だけれども--。


少子化のどこがいけないのだろうか?

2006-06-28 09:51:02 | Weblog
 絶滅危惧種を保護しようという機運が世界的にある。

 その背景には、人間が自然破壊を行った結果、野生生物を絶滅の危機に追いやってしまったという「罪悪感」があるのだろう。

 しかし、種の絶滅は太古の昔からあった。三葉虫しかりアンモナイトしかりである。これらの種の絶滅は人間の手によらない、大自然の営みである。種は絶滅し、また新しい種が生まれる。それが大自然というものであり、進化の原動力でもあった。

 日本の少子化が危惧されている。確かに日本人の人口は減っていくだろう。だが、開発途上国では人口爆発に困っている。日本人が減っても、世界人口は増加している。億年の単位で見れば、種としての人間も絶滅するかもしれないが、当面は安泰である。

 それでは、少子化のどこが緊急の問題なのだろうか。日本の国力が弱体化していくことが、いけないのか。世界第2位の経済大国の座から滑り落ちることがいけないというのなら、それは偏狭なナショナリズムであって、「欲」というものである。

 ほんの少し前まで、日本は極東の1小国だった。国力が下がったとしても、また極東の1小国に戻るだけであって、大騒ぎすることでもない。

 少子化によってシニア世代を支えられなくなるからいけない、という考え方もある。でもそれは、これから生まれてくる子供たちを食い物にしようという意図が見え見えで、これまた「欲」である。

 自然破壊は人間の「欲」で行われた。少子化を問題視する心根にも「欲」が感じられてならない。

 人間とはよくよく強欲な生き物だなあと、嘆息するしかない。

松坂慶子さんの八重歯

2006-06-27 13:45:31 | Weblog
 松坂慶子さんは押しも押されもせぬ大女優である。

 30年以上むかし、名古屋城でモデル撮影会があった。当時、大学の写真クラブに所属していた私は、その撮影会に出かけた。

 数人のモデルの中にまだ無名の松坂さんがいた。19歳の八重歯がかわいいモデルさんだった。

 数年たって松坂さんは有名になった。そのときすでに松坂さんには八重歯がなかった。矯正したのだろう。

 石野真子さんや小柳ルミ子さんも昔は八重歯だった。女性の八重歯がかわいいと感じられる時代は去ったのだろうか。

 八重歯の松坂さんの写真は、色あせもせず実家の押入れにまだ入っている。

犯罪の「動機」とはなにか?

2006-06-26 22:29:09 | Weblog
 幼児殺人事件の報道が多い。

 検察は「動機」を重んじるらしい。「動機」が金目当てか、怨恨か・・・了解できる事柄を検察もマスコミも求めているように見える。

 しかし、人間はそんなに単純な生物ではない。人間の複雑な「心の闇」は誰にも解かるはずがない。それを解かろうとする検察もマスコミも徒労に終わるだろう。

 日本には一億以上の人間がいる。その中で10件に満たないまれな事件の「動機」は、決して言葉にもできないし、まして了解なぞできっこないと思う。

 検察やマスコミが挙げる「動機」に便利なのがある。「むしゃくしゃしてやった」というのが、それである。

 「むしゃくしゃ」というのは説明にもなんにもなっていないと思うのだが、それで一応納得してしまうのが不思議である。

 人間の「心の闇」を言葉(調書)にしようというのが、どだい無理な話なのである。

医療と延命は無関係

2006-06-25 13:28:53 | Weblog
 医療は善いことだと誰しも思っている。しかし、よく考えると本当に善いことなのかどうか怪しいところがある。

 医療は寿命を延ばすかもしれない。でも、だからと言って、疑いなく善いこととは言い切れない。人間は例外なく死ぬ。人間の死亡率は百パーセントである。必ず死ぬ存在の命を延ばすことがそんなに善いことなのだろうか。

 さいきん健康増進法という奇妙な法律が制定された。国民一人ひとりが健康であることを国が求めているような法律である。それらは極めて個人的な事柄ではあるまいか。

 やれメタボリック・シンドロームだ、やれ死の四重奏だと、うるさいことおびただしい。そんなことを言われるよりずっと以前から日本は世界一の長寿国なのである。これ以上、何をせよというのか。国民全員が不老不死になれとでも言うのだろうか。

 医療にたずさわっている私自身が解らなくなってきたので、学生時代に読んだ名著と言われている澤瀉久敬(おもだか・ひさゆき)の『医学概論』(誠信書房、昭和35年初版)をもう一度読んでみた。

 哲学的な考察が続くけっこう難解な書物である。デカルトやベーコン、果てはアインシュタインまで引用して議論が行われている。でも、再読してがっかりした。著者は無反省に医療を善いものとして論を開始している。だから、すべての記述が砂上の楼閣となってしまっている。

 私なりに考えてみた。生命は有限であるのに、人はなぜかくも医療を求めるのだろうか。医療には存在価値があるのか。
 
 ひとつのことに思い至った。医療の本質はQOL(生活の質)を上げることにあるのであって、それ以上ではないと――。現在ただいまお腹が痛い人の痛みを取り去る。わずかにその範囲内においてのみ、医療は善いことだと言える。

 そもそも医療と延命は無関係なのだ。医療と寿命を結びつけてしまうのは錯覚である。あるいは医療者の思い上がりと言うほかはない。



日本W杯に負けて、ほっ

2006-06-25 11:38:32 | Weblog
 W杯報道のうるさかったこと、うるさかったこと。

 今回、日本チームが決勝トーナメントに出場できなくなり、報道も少なくなるでしょう。ほっとしています。

 ドイツの友人によれば、ドイツでW杯に騒いでいるのは、ごく一部だけとのこと。日本のマスコミの騒ぎ方は異常でした。

 これで、ゆっくりテレビが見られます。一安心。