院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

漢方はほんとうに効くのだろうか?

2018-01-16 20:13:12 | 医療

(ゑびやのHPより引用。)

 漢方に鹿のシッポがあって、これはアレルギーに効くのだそうだ。だが、ほんとうだろうか?

 漢方は多種類の生薬を組み合わせる。香港でそれが正統の漢方らしい。でも、本当に効くのかどうか科学的な証明はない。

 日本でもツムラなどがしきりに漢方の普及に努めている。しかし、ツムラは科学的な立証をしようとない。そもそも元来煎じて飲む漢方を粉末にして供するのはどうしたことか?

 これではインスタントコーヒーを湯で溶かさずに粉のまま飲むのと同じではないか?

 ※今日の俳句(新年)
 初富士を後ろに去らす新幹線
 ひとし(豊橋市)

うつ病の発見(2)

2017-10-17 13:09:22 | 医療

(躁状態のイラスト。nurse-diaries より引用。)

 自殺がもっとも多い精神疾患は、うつ病である。私は何度も苦い思いをしてきた。自殺した患者さんたちには、これといった悲哀体験や過酷労働がなかったのだ。だから私も「まさか」と思うことが多かった。(悲哀体験がまったく無関係とは言い切れないけれども、うつ病の真の原因は現在でも不明というほかはないのだ。)

 不謹慎なようだが、わかりやすいので、自殺した「電通」の若い美人社員を例に出させていただく。彼女はじつは、過酷労働の前にすでにうつ病だったという仮説が成り立つ。「電通」の過酷労働体質が最大の原因だと決めつけるなら、もっとうつ病が大量発生しなくてはおかしいのである。

 ありうるストーリーはこうだ。まず美人社員は原因不明のうつ病にかかっていた。だから休養が必要である。なのに「電通」は彼女に労働をしいた。彼女はSNSに「もうダメ」と書き込んだ。(これがのちに遺書とみなされた。)

 ここでは一般に流布されている因果関係が逆転している。すなわち「過酷労働→うつ病」ではなく「原因不明のうつ病→労働の強要→もうダメ」という逆の順序である。うつ病に自殺が多いことは上に述べた。なぜそうなるかは解明されていない。

 ところが「うつ病の発見(1)」で述べたように、正常反応としての「悲哀体験→うつ状態」という図式がこの件にも適用されてしまい、マスコミや一般人はもちろん労働基準監督署や裁判所までが、これが真相だと思い込んでいる。

 学問的に冷徹に考えるなら人情は排除し、正確に因果関係を考察しなくてはならないと肝に命じさせられた一件だった。

 ※今日の俳句(秋)
    隣り家の熟れ柿けふはもがるるか

うつ病の発見(1)

2017-10-17 05:19:18 | 医療

(悲しいむ老人(ゴッホ)。ウィキペディアより引用。)

 まずもって躁うつ病が発見された。昨日まで躁状態で大騒ぎしていた人が今日はしょんぼりしている。これは誰の目にも不思議に映った。

 のちに躁状態にいたらない、うつ状態のみの病態が注目された。私の若いころは、双極性のうつ状態と単極性のうつ状態の異動が論議された。(今では別の疾患ということになっている。特効薬が別だから。)

 身内が亡くなるような強烈な悲哀体験にさらされると、誰でも「うつ状態」になる。これは「正常反応」だから薬が効かない。たとえば子供を亡くした親が、薬を飲んで急ににこにこするようになったら、かえっておかしいだろう。

 だから病としての「うつ病」と悲哀体験の正常反応としての「うつ状態」は、まったく別物なのだ。なのに最近では両者は混同されている。つまり「過酷体験→うつ病」という図式が一般に流布している。これは「正常反応」を敷衍しただけで、誤りである。

 ところが一般人はおろか、労働基準監督署や裁判所さえそう考えるようになった。だがこれは、とんでもない間違いなのだ。(長くなりそうなので続きはまた次回。)

 ※今日の俳句(秋)
    天井の節目に和する秋の蝿

ペーパードクター

2017-09-25 05:42:58 | 医療

(医師免許証。naverまとめより引用。)

 むかしは専門医制度が発達しておらず、国家試験に受かれば即、医師になれた。経験の有無は問われなかった。新卒も10年経験者も区別されなかった。専門科目も問われなかった。

 そのため勉強ができるからと医学部に入り、医師免許をとったらすぐに結婚してしまう女性がいた。子どもが生まれるから、研修もやっていない。(医師免許をもった若い女性は、かなりいい条件で結婚できた。引く手あまただった。)

 彼女らは実地研修や臨床経験を全然していないのに、(むかしは医師不足だったから)就職ができた。そしてなんと診察もやっていた。ペーパードライバーならぬペーパードクターなのに。

 さすがに一線の病院では使い物にならないので、開業医の手伝いなどをやった。または患者と接しない部署、つまり行政に行った。(たとえば保健所。保健所長は医師でなくてはならないと法律で決まっている。)

 ペーパードクターであっても、行政ではいきなり一般公務員より上の地位についた。だから、やっかみもあって、ペーパードクターは行政職や現業職から「また頭に紙だけを乗せた奴が来た」と陰口を言われた。

 今後そのようなことはなくなる。専門医制度(2017-09-12)が確立しつつあるからだ。そのため行政に行く医者は、最初から公衆衛生に志向性が高いので行政を希望する。こうして行政の医者もバカにされなくなるだろう。

 ※私の俳句(秋)
    朝霧や新聞配るバイク音

セカンドオピニオンについて(3)

2017-09-24 05:45:57 | 医療
(アマゾンより。)

 セカンドオピニオンは元来、アメリカの医療保険会社が言い出した考え方です。保険会社としては支払いは安いほうがよい。だから保険会社は、もっと安い医療はないかと探すためにべつの医療機関に「この病気の支払いで、もっと安い方法はないか」と問い合わせたのが「セカンドオピニオン」の元来の意味でした。

 それが平成一桁のわが国に「もっと別の適切な医療行為や診断はないか」という現在の形でわが国に変形されて輸入されたのでした。

 平成一桁と言えば、医者がマスコミから徹底的に叩かれた時代でした。「儲けすぎ」とか「患者扱いがぞんざい」とか「3時間3分」(待ち時間が3時間で診察は3分)と、国民の医療に対する不満も頂点に達したころでした。

 あるとき産科の医師が手術中に、警察が乗り来んできて医師に手錠をかけるという事件が起こりました。さすがにこれはやり過ぎでした。産科をはじめ外科系を志す若手医師が激減し、わが国の医療シーンは大混乱になりました。

 医師会も改革を試み、患者を「患者様」とへんな名称で呼んだり、またセカンドオピニオンを(アメリカとは別に意味で)積極的に取り入れたのでした。それでも医者や看護師に暴力を振るったり、最初からけんか腰で医療機関を訪れる「モンスターペイシェント」の出現を許しました。

 最近になって、ようやく医者叩きもおさまってきました。それでも平成一桁の出来事は私の世代の医者には大きなトラウマとなって未だに残っています。

 ところで、現在でもセカンドオピニオンは医療行為ではなく相談業務ですから、原則として健康保険が効きません。(私の場合は「転医」とみなして健康保険を使うこともありますが)。

 ※私の俳句(秋)
    虫の闇バスの前灯見えて来し

セカンドオピニオンについて(2)

2017-09-23 06:35:50 | 医療

(セカンドオピニオン外来。平塚共済病院のHPより引用。)

 ある方面で全国的に名が通った医者が知人にいる。特別な医者ではなく、愛知県の開業医だ。(専門は精神科薬物療法。)

 彼のところには北は北海道から南は沖縄まで、セカンドオピニオンを求めて患者が来る。飛行機を使って泊りがけで来るのだ。

 彼が言うに、診断や治療方針が地元の医者と同じだと、遠くから来た患者ほど不満なのだという。そりゃそうだろう。同じならわざわざ遠くから大枚を使ってくる必要はない。

 だが、地元の医者と同意見になることがほとんどなので彼は困っている。そのような患者は多分その後も、別の意見を求めて日本中いや世界中を飛び回るのだろう。これはマスコミが造り出した新型のノイローゼとは言えまいか?

 ※私の俳句(秋)
    虫鳴くや門灯切れし家のあり

セカンドオピニオンについて(1)

2017-09-22 05:01:33 | 医療

福島労災病院のHPより引用。)

 確かにできる医者そうでない医者、並の医者という区別はある。だが、それを見極めるのは難しい。プロであっても、その医者ができるかどうかは一か月くらい一緒に働かないとわからない。

 ましてシロウトさんには絶対にわからないだろう。だから、シロウトさんは好き嫌い合う合わないで決めるほかはない。ところが患者受けはよいのに、できない医者が(まれに)いるから問題は複雑になる。

 私はセカンドオピニオンは患者が求めるのではなく、医者が求めるものだ考える。医者が自分で今ひとつ心に落ちないとき、尊敬する医者や詳しい医者に求めるのが本当のセカンドオピニオンだと思う。

 マスコミによるセカンドオピニオンの奨励は、医者不信で医者を渡り歩くドクターショッピングを招く弊害がある。だから上の図のように、セカンドオピニオンがシステム化されていることが望ましい。

 ところが同じ組織内でシステム化されていると、医者同士のなれ合いとか、医者同士の反目などが、今度は問題となってくるから事態はややこしい。

 ※私の俳句(秋)
    露草のなか廃村に出会ひけり

専門医制度始まる

2017-09-12 02:44:52 | 医療

(臨床研修風景。(医)天神会新古賀病院のHPより引用)。

 一般のかたがたには意外に知られていないが、医学部では学生はまだ科別にわかれていない。すなわち、すべての科を勉強するのだ。その量は膨大で、秀才でなくてもよいがある程度の頭と努力が必要になる。

 こうして6年間の医学部生活が終わると国家試験がある。それに受かって初めて医師免許があたえられる。だが、まだ一人前とは認められない。その後2年間の臨床研修がある。やはり2年間で全科を回って上級医について患者を受け持つ。(私の時代には臨床研修医制度はまだなく、いきなり科別にわかれた。)

 臨床研修中に研修医はどの科に進むかを決める。科が決まったらその科の「専攻医」となって、さらに5年間の習練を積む。こうして、ようやくその科を標榜できる「専門医」になれる。(この制度は現在、構築中である。)

 私の時代には、こうした教育研修システムがなかったので、自発的によく勉強する医者とそうでない医者との間には雲泥の差ができた。平成の初めころ、マスコミや国民から医者がひどく叩かれた時代があった。叩かれるべきは不勉強な医者であるべきところを、医者全体が叩かれた。

 いまこうして卒後7年間の習練が義務付けられると、不勉強な医者は「専門医」になれない。だから医者の質を一定程度以上に保つには、卒後習練の義務化はよい制度である。

 ただし問題もある。ストレートで行っても医学部を卒業できるのは24歳である。その後の7年間は女性にとって出産の時期である。卒後の習練に忙しくて出産できない、あるいは結婚さえできない女性が増える恐れがある。

 むかし、私たちの世代の医学生は女性が10%程度だったが、現在では40%以上になっている。女性の医学部志望が減ると、またむかしのように女性が10%しかいない時代が来る恐れがある。(むかしの女医は結婚出産のことなぞ考えていなかった。じっさい一生独身の女医も少なくなかった。彼女らは、その覚悟で医学部に来ていた。)

 ※私の俳句(秋)
    さわやかや襟旗めかせバイクの娘(こ)
    
    

全身麻酔の経験

2017-08-21 01:30:43 | 医療

(手術風景。ウィキペディアより引用)。

 生まれて初めて全身麻酔を受けてから一年になります。

 多くの人が経験している歯科の麻酔は局所麻酔といい、下半身だけかける麻酔を腰椎麻酔といいます。どちらも、どういう仕組みで神経がマヒするのか分かっています。

 私は高校生のころ虫垂炎にかかり、手術で腰椎麻酔を受けました。腰椎麻酔は意識があるので手術の音が聞こえてイヤなものです。また、腰椎委麻酔の特徴ではありませんが麻酔が切れたあとの痛さといったらありませんでした。

 看護婦に懇願しても「鎮痛剤を射つと傷の治りが遅くなる」といって、射ってくれませんでした。現在では「遅くなる」というのは迷信で、徹底的に痛みを緩和するのが麻酔科医の役目のようです。

 で、全身麻酔の経験はどうだったかというと、まず麻酔をかけるまで口のあたりを医者がごそごそいじっていました。いつまでも口をいじっているので、早く麻酔をかけてくれないかなあと思っていたら、すでに手術は終わっていたのでした。

 術後も痛みはないかと何度も確かめられ、麻酔が切れても点滴で薄い麻酔薬を注入して、痛みは全然ありませんでした。この何十年かのあいだに随分変わったと感じました。

 上で局所麻酔の仕組みは分かっていると言いましたが、全身麻酔はなぜかかるのか、仕組みがまだ分かっていないのだそうです。仕組みなぞ分からなくても有用なら何でも利用するのが医療の基本だから、仕組みはとりあえずどうでもいいことですけれども。

 ※私の俳句(秋)
    水澄みて一村山に囲まれし

無辜(むこ)梅毒

2017-08-16 17:51:12 | 医療
 無辜(むこ)梅毒という用語をむかし習ったけれども、この用語は現在でも使わているのだろうか?梅毒患者との sex がないのに梅毒にかかってしまった状態を指す。どこから感染したかというと、手が多い。とくに医者は梅毒患者の患部を素手で触ることがあるから、医者に多い。

 無辜というのは「罪がない」という意味だ。商売でない普通の sex でも sex そのものが宗教的に罪悪だとの立場から作られた用語なのか、それとも売春はいけないという考えから出た言葉なのか、その出自は知らない。

 むかし日本の赤線の売春婦は医療的に定期検査がおこなわれ、その上で売春が認められていた。しかし、公娼は人身売買だ女性蔑視だとの声が高まり、昭和33年売春そのものが禁止された。


(吉原遊郭。ウィキペディアより引用)。

 西欧でも同じように売春禁止である。しかしながら、最近、西欧では売春婦が経済上の理由と医療管理上の問題から、「実際には売春は続いているので」合法化せよ声をあげるようになった。もっともな要求である。

 医療的な管理が行き届けば梅毒は激減すると思われる。でも、いくら医療上よいからといってもやはり売春はいけない、と考える人も多いだろう。そういう人は次の夏彦翁の言葉をどう思われるだろうか?「いつの世にも売春しかできない女というのがいるのだ!」。

 ※私の俳句(秋)
    椅子積まれ草の花咲く海の家

一人の医者が多数科を標榜することができなくなる!

2017-07-26 16:24:20 | 医療


幼いころ私は診療科目が多いクリニック(病院ではなく個人医院)ほど医者が優秀なのだろうと思っていた。クリニックの医者はほとんど一人しかいない。たまに二人。

一人で何科目も修業するのは不可能だと知ったのは医学部にはいってからだった。つまり、標榜されている診療科目が多いのはハッタリだと知ったのだ。(それまで、医学部自体の中ですでに科目が分かれていると思っていたが、学生は医学部ではすべての科目を学ぶことも初めて知った)。

このほど専門医制度ができて、専門医の免許がないと、やたらに診療科目を標榜できなくなった。だから、医学生は卒業してからすぐに専門医免許をとる作戦をたてなくてはならず、いっそう多忙になった。(現在まだ移行期間だから写真のような標榜が許される)。

外科も内科も産婦人科も小児科も一人か二人の人物だけでできるはずがないのだ。かつてはこれらに皮膚科、放射線科を足してしまうクリニックがかなりあった。(もっとも標榜はできなくなるが診療行為はできる。たとえば精神科専門医の私が専門外の皮膚科の薬を処方することは問題ない)。


 ※私の俳句(夏)
    近づけば巨船となりし夏霞

医療者はむだ口をつつしむべし!

2017-07-25 17:54:50 | 医療


医者や看護師は針刺しなどの処置に失敗しても何も言わない。黙ってやりなおす。無駄な心配を患者に与えないためだ。

臨床検査技師や放射線技師も所見について言わない。検査結果を聞いても「主治医に聞いてくれ」と答えるのみである。

私の印象だが、処置に失敗したときに一番むだ口が多いのは臨床工学技士ではないか?彼らは医療機器の取り扱いが専門で、患者には意識がないことが多い。だから、「しまった!」とか「あれ?」とか言ってしまうのだろうか?もし患者に意識があればドキリとする!

もっとも自分が患者になってみて、たんなる印象だけを述べてしまう看護師に出会った。彼女は私の皮膚が「黄色いかなぁ」(つまり黄疸が出ているかなぁ?という意味)と言った。こちらはシロウトではないから、血清ビリルビン値が正常なので黄疸が出るはずがないと知っている。

これがシロウトさんなら、看護師の何気ない「黄色いかなぁ」の一言でどれだけ不安になることだろうか?


 ※私の俳句(夏)
    トンネルの暗きを出でて梅雨晴れに

精神分析療法はほんとうに効くのか?

2017-07-24 17:15:30 | 医療

(S.フロイト。ウィキペディアより引用。)

フロイトの精神分析療法で自分はよくなったという患者さんに出会ったことがない。

患者を横にならせ、いわゆる自由連想をしてもらう。連想がひっかかると過去のそのテーマに問題があると考えるのが精神分析療法の基本である。

すごく簡単に言うと、連想がひっかかった部分にトラウマ(心的外傷)がある。それが言語化できていないので精神症状となって出てくる。だから、トラウマを言語化できるようになると精神症状も消える、と精神分析療法では考える。

一時、アメリカでは自分の「おかかえ分析医」をもつのがステータスシンボルとなった。それほど普及したのに成功例の報告が少なすぎる。

トラウマの概念を否定する学者もいる。フロイトの業績でもっとも重要なのは「対人関係の発育論」だと私は思う。


 ※私の俳句(夏)
    冷やし蕎麦食べ競ひたる姉妹かな

私が好まない医者

2017-07-02 12:19:36 | 医療
(アルファロメオ)。   

趣味の問題かもしれないが、私は外車とゴルフを趣味にしている医者を好まない。

先日、友人がアルファロメオを買った。そんなことに金を使って嬉しいのかと問いたい。(9、000万円もするのだ。)

病院の医局に細長い人工芝を持ち込んで、休み時間にパターの練習をしている医者もいる。バカじゃないかと思う。パターの練習ならゴルフ場かせいぜい自宅でやれ。

アルファロメオの医者もパターの医者も、何かが欠けているように思えてならない。

※私の俳句(夏)

    冷奴落とせし不覚ひとり酒

ストレスチェック始まる(「うつ病概念」の拡散を憂う)

2015-12-15 14:35:34 | 医療


 50人以上の企業体では「ストレスチェック」を行うことが義務化された。(受けるほうは自由。)

 職場でのストレスが言われて久しいし、「メンタル労災」はこの10年で4倍になったという。

 以上の事には別に問題はないのだが、マスコミによって「ストレスの結果、うつ病になる」という図式が引かれているのが問題である!

 ストレスによって心身の異常をきたす場合はいくらでもあって、それらすべてが「うつ病」なのではない。ここが非常に間違えやすいところだ。

 「正真正銘のうつ病」は、むしろストレスを受けているようには見えない人の方に多いと言ってもよいのではないか?(「一見うつ病」という病態はたいへん多い。これについてはこの欄で再三述べてきた。)

 ストレスによって一番起こり易い病態は、「うつ病」ではなくて文字通り「ストレス反応」である。

(WHOの臨床記述と診断ガイドラインICD-10では、うつ病にはコードF32、ストレス反応にはコードF43が割り当てられており、別の疾患である。)


※私の俳句(冬)

  凩やこの街いつか来たやうな