(ミツバチの巣。市立札幌大通高校のHPより引用。)
ミツバチのような社会性昆虫は巣全体として見て、一個の個体のようにも見える。ハタラキバチ一匹一匹に個性はないが、ハタラキバチ同士は通信ができる。
人間も同じである。それはすでにユングが指摘している。人間という種全体がもっている無意識的な考えを「集合無意識」と名づけた。
ユング式に考えるなら個人は個性を持たない。だからこそ互いに通じ合うことができる。人間全体として一個の生物のようである。
また人間をミクロコスモス(小宇宙)と呼ぶことがある。人間内部を考えるなら、そこには代謝系、酵素系、免疫系などきわめて複雑な過程が存在する。
つまり人間は個人と宇宙の境界がない。別の言い方をするなら、個人がなくなれば宇宙もなくなる。なぜなら、宇宙を認識しているのは個人に他ならないから。
今年8月まで入院生活をおくり、生死のことを考えることが多い一年だった。「俺が死んだら宇宙もなくなるんだな」と考えながら過ごした。来年はもっと明るいことを考えたい。
※今日の短歌
告知され時間もないが未練もない浮かれた蝉はひっくり返る
松田憲一郎(東京都町田市)