院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

エジプト革命のその後

2012-05-31 06:43:23 | 社会
 エジプト革命によってムバラク政権が崩壊したは良いが、その後の内政や経済の混乱によって、エジプト国民は「かえってムバラク時代のほうが良かった」と思うようになった。

 その結果、今回の大統領選挙では、ムバラク時代の首相だったアフムド・シャフィク氏が大統領候補として台頭してきた。

 エジプト革命の牽引役だった学生たちは、体制を壊すだけ壊して、けっきょく自らの大統領候補を立てることができなかった。

 今度は学生たちは、アフムド・シャフィク氏の立候補辞退を叫んでデモをやっているという。学生たちが望んだのは「民主化」ではなかったの?「民主化」って誰が立候補しても良いという意味なのよ。君たち、分からないの?

 リビアに関する報道が最近少ないが、たぶんリビアでも「カダフィ時代のほうが良かった」と民衆は思い始めているだろう。

わが国のマスコミがやっとギリシャ国民を批判

2012-05-30 05:12:27 | マスコミ
 私はこのブログで、何回にかわたってギリシャ国民の態度を批判してきた。すなわち、暴動による観光産業への妨害、ゼネストによる生産活動のサボタージュ、緊縮財政反対路線の政党を第一党とさせたことなどである。これらは財政破綻を促進させる行為である。

 わが国のマスコミは、こうしたギリシャ国民の「民意」をあまり批判しなかった。「民意」にマスコミは弱い。

 ところが、平成24年6月29日(月)(昨日)付けの中日新聞愛知県版一面のコラム「中日春秋」は、やっとギリシャ国民の「民意」を批判した。

 曰く「緊縮財政は拒否する。ユーロ圏には残りたい」では、ギリシャ国民は相反する希望を言っているようなものだ、と。さすがにこれ以上、ギリシャの「民意」を擁護しきれなくなったのだろう。

 実はフランスの「民意」も同じようなものである。緊縮財政のサルコジさんを大統領の座から引きずり降ろした。わが国のマスコミはまだこれを批判できない。フランスは財政破綻に一歩近づいたのだ。

 選挙で選ばれた議員は「民意」を「天の声」と呼ぶ。これは致し方ないが、故福田赳夫首相が「天の声にも、たまには変な声がある」とボヤいたことが思い出される。

 いつの時代も、どこの国でも「民意」は愚かである。

方言賛美を疑う

2012-05-29 05:14:28 | マスコミ
 平成24年5月28日(昨日)の中日新聞朝刊・愛知県版の投書欄に中学3年生の女の子の投書が載っていた。

 趣旨は「方言ていいな」「もっと教わって後世に伝えたい」というものである。

 方言賛美はマスコミが大好きなことだから、この投書を掲載したのだろう。また、女の子も素直に「方言ていいな」とマスコミの論調に乗せられてしまったのだろう。

 方言は東京では蔑視されていた。マスコミが方言賛美をするのは、その反動である。かつ方言が使用されている地域の読者を失いたくないという営業的な理由もある。

 一方で、かつてタモリさんが名古屋弁をからかって、「名古屋人は列車が東京に近づくにしたがって、名古屋弁を使わなくなる。えびふりゃーと言わなくなる」と言って受けた。受けたのは本当のことを、そのまま言ったからである。

 元来、方言は地方々々の古民具みたいなもので、すなわち日常的なもので、賛美するようなものでもなければ、蔑視するようなものでもない。

 マスコミが方言を賛美したときには、「待てよ」と考えるべきである。

 妻は生粋の名古屋人で、自宅では名古屋弁を使う。妻の父親に「やっとかめだなも」と言われたときには、意味がわからなかった。「久しぶりだね」という意味である。

続・技術と芸術

2012-05-28 06:14:51 | 技術
 ミケランジェロやダ・ビンチは自らのことを芸術家とは考えていなかっただろう。ただひたすら美しく写実することだけを考えていたと思う。

 むかしの画家はみなそうだった。自分を写実の職人と考えていた。

 そんなときに写真が発明された。それによって、多くの画家が失業した。

 一部の画家は具象画、抽象画への道を選んだ。写実では写真にかなうわけがない。

 こうして絵画は芸術となった。絵画が進化したわけではなく、食い詰めてしぶしぶ他の道を選んだのだ。

 写真がまだ発明されていなかったころの、例えばモナリザを「神秘的な微笑み」なぞと持ち上げるのは、あと知恵である。

 写真が存在していたなら、ダ・ビンチほどの発明家がわざわざ手間のかかる写実画なぞ描くはずがないと思う。(写真のほうに跳び付いたはずだ。)

浮世絵と漫画の美少女

2012-05-27 04:39:13 | 漫画
 漫画の美少女はほんとうによく描けていると思う。もう0.1ミリずれると美少女でなくなってしまうくらい、細心の注意が払われている。とくに、少女漫画の美少女は、こだわりぬかれて描かれている。

 しかも、書き手によって美少女の顔が違うにもかかわらず、みんな美少女に見える。デフォルメされているからこそ、美少女に見える。あんなに目が大きい人物は実在しないにもかかわらず。

 浮世絵の美人画は、どうしても美人に見えない。だが江戸時代の人には、今日の漫画の美少女と同じくらい美人に見えたのだろう。

 浮世絵は粗末にも、陶器の包み紙に使われて海を渡った。そして西洋で、すばらしい芸術作品として再発見された。

 私は、現在の漫画の絵も浮世絵に匹敵するほど丹念に描かれていると思う。漫画の絵も将来、芸術作品として再認識されるときが来るだろう。

技術と芸術

2012-05-25 21:10:25 | 技術
 技術も芸術も英語ならアートである。私には技術と芸術の違いが分からない。

 歯車式の腕時計を作るのは技術である。絵画は芸術である。

 芸術ほうは個性を重んじる。腕時計は変に個性なぞいらない。

 しかし、どちらも「技」を必要とする。「技」を磨くには何年もかかる。才能も必要である。この部分は技術も芸術も同じである。

 技術には嘘がないが、芸術にはどこか嘘があるような気がする。もしかすると、この部分が技術と芸術を分ける根本的な事柄のような気がする。

東京タワーの思い出

2012-05-24 05:47:52 | その他
 初めて私が東京タワーに登ったのは、小学校3年生のころだった。

 自宅はまだボットン便所、風呂はようやく薪から都市ガスに移行したころだった。

 当時は東京に住んでいたので、亡父に連れられていった。11歳で死んだ妹は、その時なぜか一緒ではなかった。

 エレベータの前はすごい人だかりだった。亡父が「これでは歩いて登ったほうが早い」と階段を歩いて登った。だから、私の初めての東京タワー体験は「徒歩」だったのである。

 東京タワーの「股」の下にビルがあるが、そこで土産物を売っていた。私は東京タワーの絵が描かれた消しゴムを買ってもらった。

 東京タワーの消しゴムは、大変嬉しかったが、残念なことにちっとも消えないのだ。「土産物にはロクなものがない」と知ったのは、この時だった。

 あれから50年近く。東京スカイツリーの騒ぎを見ながら、亡父や亡き妹のことを思い出す。

このブログのリピーターのみなさまに感謝

2012-05-23 07:14:00 | その他
 このブログのリピーターの方々の数が2,200名を越えました。(グーグルのアクセス解析による。)

 今年の2月に1,100名を越えたばかりですから、3ヵ月で2倍になった勘定です。幾何級数的な増加です。

 どこのどなたさまかは存じませんが、ご愛読まことにありがとうございます。

 私のブログは読者を選びます。すなわち、分かる人には一撃で分かるが、分からない人には一生分からないということです。

 分かる方が2,200名以上もいらっしゃって、励みになります。今後ともご愛読、よろしくお願いいたします。

NHK「日曜美術館」に対する疑問

2012-05-22 05:34:42 | マスコミ
 NHKで「日曜美術館」という番組を放送している。森田美由紀アナウンサーと作曲家の千住明さんが、美術品に対していろんなコメントを出す番組である。

 一見、良心的な番組だが、私はいつも違和感をもって見ている。なぜかというと、森田アナウンサーと千住明さんが、いかにも大げさなのである。

 一枚の絵に感動したと言って、勝手な連想を語り、大仰に感激してみせる。

 自分で言うのもナンだが、私は彼らよりも小さいときから、父親の趣味で美術館につきあわされ、たぶん彼らよりも沢山の絵や彫刻を見ている。

 また、自分でも絵を描き、思春期には藝大をめざそうとしたこともある。だから、平均的な人よりは絵や彫刻が「わかる」ほうである。

 森田アナウンサーと千住明さんは、何か勘違いしているのではないか?あるいは、番組のプロデューサーが、そのように彼らに演じさせているのだろうか?

 絵や彫刻は、そんなに神秘的なものではない。いい作品は「ほー」と言わせるが、あんなに大騒ぎするほどのものではない。

 森田アナウンサーも千住明さんも、さほど感動していないのではないか?だとすると、あんなふうに演技をさせられて二人とも気の毒である。

東京スカイツリーの役割は何か?

2012-05-21 06:38:11 | マスコミ
 東京スカイツリーの開業がまぢかである。

 マスコミは、その高さや眺望ばかり報道して、機能を報道しない。東京スカイツリーは、元来、展望台ではなく、電波塔なんでしょ?なぜ機能を報道しないの?

 漏れ聞くところによると東京スカイツリーは、テレビ電波が建物の陰になって届きにくいところをなくすのが役割だという。

 本当だろうか?光ファイバーや有線テレビの世の中である。いまごろ建物の陰になるところをなくすなんて、本気か?

 名古屋のテレビ塔は、役割を終えて、ただの展望台もしくはモニュメントとして残された。

 東京スカイツリーは、初めから展望台かモニュメントとして造られたのではないか?それならそうと、はっきり言ってほしい。

金環食を巡るデマ?

2012-05-19 21:37:13 | 社会
 このたびの金環食を900年ぶりとか120年ぶりとか言っているけれども、どういう基準で決めているのだろうか?

 少なくとも、私が小学生の昭和30年代には、一回金環食があった。学校をあげて観測した。

 学校からの指示で、ガラスに煤をつけたものや、白黒フィルムのネガの黒いのを持ってこさせられた。当日は晴れていて、よく見えた。

 今、ガラスに煤をつけたものや、ネガフィルムでは駄目で、目をやられるという。小学校のときの金環食では目をやられた生徒は皆無だった。そんなことは話題にもならなかった。

 目をやられるほどには、眩しくて太陽を見て入られない。今回、なぜ盛んに「目をやられる」と言うのだろうか?

 私には新手のデマとしか思えない。

天文台・博物館・気象台

2012-05-19 20:04:53 | 科学
 今回の金環食で思い出した。数年前、「食」について知りたくて東京天文台に電話をかけたことがある。

 質問は、日食より月食のほうが頻度が高いような気がするがどうか?というものである。

 回答は、世界的に見れば、月食より日食のほうが頻度が高いという、意外なものだった。

 なぜ、そうなるのか問うたところ、調べて回答するから電話番号を教えろという。その、サービス精神に驚いた。科学的な質問ではなく、ちょっとしたクイズ的な質問だったので、恐縮して辞退した。

 博物館にも電話で質問したことがある。回答は精緻を極め、えんえんと説明してくれる。まるで質問がくるのを待っていたかのようである。

 みなさん、天文台、博物館、気象台はどんな質問も嫌がらず、いや逆に得たりとばかり教えてくれます。彼らは質問が来るのが嬉しいようです。

臨床心理士免許の国家資格化

2012-05-18 21:13:47 | 心理
 臨床心理士の資格が国家資格化されるかもしれない。国家資格化されると、次のようなことをして儲ける臨床心理士が必ず出てくることを予言しておく。

 つまり「ウサギが好きな人は○○。カメが好きな人は○○」といった、俗流心理テストを使って、占い師のようなことをする人が現れるはずである。

サウジアラビアの未来

2012-05-17 21:27:17 | 文化
 昔、サウジアラビアに2年半赴任していた友人によると、同国はほとんど鎖国状態だそうだ。イスラム教徒以外は、仕事でしか同国には入れない。また、女性差別が激しい。彼の奥さんが外出のとき、あやうくベールが取れそうになり、「宗教警察」に見つからなくてよかったと言っていた。

 かの国では女性の職業は限られている。教員と公務員と女医と銀行員くらいのものだそうだ。女性の患者は必ず女医が診る。銀行は男性用と女性用で分かれている。(同一銀行で分かれているのではなく、男性用、女性用は別資本の銀行らしい。)

 ウエイトレスや店員は、外国人がやる。

 サウジアラビア公使によれば、中流家庭では必ずフィリピン人のメイドがいて、日本の高級住宅のようなところに住んでいる。

 税金がないのだという。そして、あまり働かなくても結構な生活ができる。だから、国民が働くことを忘れてしまうのではないか、というのがサウジアラビア公使の心配だった。

 これで、サウジアラビアから石油がなくなったら、どうするのだろうか?フィリピン人の出稼ぎ労働者はいなくなるだろう。残された同国人はすでに働くことを忘れている。

 サウジアラビアの未来は暗いと私は思う。