【症例】
患者は46歳男性、独身、かりに名前を患者Bとしておく。アルコール依存症であった。加えて反社会性人格障害で、これまで暴力行為で3回の服役歴がある。
AクリニックのA医師は、これまで3年間にわったって患者を担当してきた。診療目的は、アルコール依存症からの脱却と、暴力行為を抑えることだった。
【事件】
患者Bあるとき、ささいなことで興奮し、持っていたナイフを振り回して暴れた。そのためAクリニックに運ばれた。A医師は入院が必要と判断し、入院先の病院をあたった。しかし、6軒の病院から入院を拒否された。理由はいずれも、反社会性人格障害の患者は受け入れられないというものだった。
A医師は仕方なく前に勤めていた他県のC病院に依頼した。昔からのよしみで、C病院は入院を受け入れた。
ただし消防署はC病院が他県だということで、患者の搬送を拒否した。そのためA医師は自家用車で患者を搬送すことにした。C病院までは車で2時間半かかる。
そのため、患者の沈静のために強力精神安定剤の注射をした。それでも暴れるため、手足を縛った。口から出血したので、ちり紙をつめて、その上から猿ぐつわを噛ませた。
クリニックの男性職員(事務)2名が、車で患者をC病院に送った。
しかし、C病院に着いたときには、患者は心肺停止状態になっており、死亡した。
【その後の経過】
患者の両親はA医師を訴えた。A医師はその時にはできる範囲の努力をしたと反論した。
【判決】
地方裁判所の判決は以下のようなものだった。
(1)口にちり紙をつめ、猿ぐつわをし、手足を抑制したのは妥当。
(2)薬剤の注射も沈静化、搬送のために合理的。
(3)ただし、搬送の際、医師や看護者が付き添わなかったのは、容態観察をしなかった過失がある。
(4)よって慰謝料1500万円、葬儀料120万円、弁護士費用160万円をA医師は支払え。
(5)さらにA医師には業務上過失致死の罪名がくだり、刑事処分となった。
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プライバシー保護のため、このケースは加工してあるが、本質部分は残した。
これを読んで、読者はどのように考えるだろうか?A医師に刑事罰まで科すのは私には過酷と思えるのだが、みなさんはどう思われるだろうか?
患者は46歳男性、独身、かりに名前を患者Bとしておく。アルコール依存症であった。加えて反社会性人格障害で、これまで暴力行為で3回の服役歴がある。
AクリニックのA医師は、これまで3年間にわったって患者を担当してきた。診療目的は、アルコール依存症からの脱却と、暴力行為を抑えることだった。
【事件】
患者Bあるとき、ささいなことで興奮し、持っていたナイフを振り回して暴れた。そのためAクリニックに運ばれた。A医師は入院が必要と判断し、入院先の病院をあたった。しかし、6軒の病院から入院を拒否された。理由はいずれも、反社会性人格障害の患者は受け入れられないというものだった。
A医師は仕方なく前に勤めていた他県のC病院に依頼した。昔からのよしみで、C病院は入院を受け入れた。
ただし消防署はC病院が他県だということで、患者の搬送を拒否した。そのためA医師は自家用車で患者を搬送すことにした。C病院までは車で2時間半かかる。
そのため、患者の沈静のために強力精神安定剤の注射をした。それでも暴れるため、手足を縛った。口から出血したので、ちり紙をつめて、その上から猿ぐつわを噛ませた。
クリニックの男性職員(事務)2名が、車で患者をC病院に送った。
しかし、C病院に着いたときには、患者は心肺停止状態になっており、死亡した。
【その後の経過】
患者の両親はA医師を訴えた。A医師はその時にはできる範囲の努力をしたと反論した。
【判決】
地方裁判所の判決は以下のようなものだった。
(1)口にちり紙をつめ、猿ぐつわをし、手足を抑制したのは妥当。
(2)薬剤の注射も沈静化、搬送のために合理的。
(3)ただし、搬送の際、医師や看護者が付き添わなかったのは、容態観察をしなかった過失がある。
(4)よって慰謝料1500万円、葬儀料120万円、弁護士費用160万円をA医師は支払え。
(5)さらにA医師には業務上過失致死の罪名がくだり、刑事処分となった。
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プライバシー保護のため、このケースは加工してあるが、本質部分は残した。
これを読んで、読者はどのように考えるだろうか?A医師に刑事罰まで科すのは私には過酷と思えるのだが、みなさんはどう思われるだろうか?