院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

地球温暖化についてトランプは無教養か?

2017-11-17 06:31:58 | 科学


 地球温暖化が言われ始めた10年前から、私はこのブログでその科学性に疑問を呈してきた。IPCCのメンバーが誰なのか未だに発表されない。どこの気温を何か所測定したのかも・・。

 溺れそうなシロクマの映像なんて科学的でもなんでもない。さいきんでは巨大ハリケーンと温暖化を結びつけるような、エセ健康食品CM顔負けの論もある。

 トランプ大統領が温暖化はデマだと言うと、一群の民衆がトランプは無教養だいう。どちらが無教養か!

 上の映像は極点の氷も夏には減ることを示しているだけだが、温暖化論者は夏の部分だけを提示して「ほら、氷が減っているだろう?」と得意である。(この映像自体がねつ造であることは否定できないが・・。)

 地球温暖化は近くは13世紀、遠くは恐竜時代にも起こっている。当時は化石燃料なぞ使われていなかった。これをどう説明するのだろうか?

 ※今日の短歌
    夫(つま)として慣れし男とすれ違い淡きはにかみ乗り換えの駅
    坂本ひろ子(東京都)

脳科学の胡散臭さ

2017-10-30 00:21:43 | 科学

(茂木健次郎さん。ウィキペディアより引用。)


(中野信子さん。bikuchan より引用。)

 上のお二方は脳科学者として有名である。脳科学の定義は一応あるのだが、彼らが発言している事柄は脳科学と言えるのだろうか?疑似科学ではないか?

 二人の発言からは「偏桃体」「前頭前野」「尾状核」程度しか出てこない。これだけで、すべての脳機能を説明しているのだが、脳はそんなに単純ではない。彼らはまるでSF作家のように想像力が旺盛である。

 だいたい二人とも最近、実験をしているのだろうか?脳の解剖、生理機能、神経伝達物質の研究だ。それをやっていないと知識はまたたくまに古くなる。

 二人とも東大出の中でもまれな大秀才だから、常人が及ばない芸当ができるのだろうか?

 ※今日の狂歌
   当番兵よ便器掃除は完璧か、さうぬかすなら舐めてみせろや
   中里ひとし(愛知県)

惑星間航行は可能か?

2017-07-25 08:17:20 | 科学

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他の惑星への移住は今の技術では無理なようだ。時間がかかりすぎるからだ。

生物は無重力下での長期滞在ができない。植物は重力がなければ葉を上に根を下に伸ばすことができない。

宇宙飛行士が宇宙船内で自転車こぎなどをやって筋力を保とうとしているけれども、筋力は保たれても無重力下では(先日述べたTCAサイクルなどの)生体反応系がうまく働かないことが分かっている。つまり、なぜか(食物などの)物質代謝が十分にできないということだ。

この事実はロシアもアメリカも、とっくに知っている。しかし、国民の夢を消してしまうから発表しないのだろう。

惑星間航行にはワープ航法などの革命的発明が必要である。


 ※私の俳句(夏)
    梅雨晴間網乾かしてゐる漁村

因果律は世界を理解するための(人間側の)知恵?

2015-08-29 05:51:32 | 科学
 「地震で家が倒壊した」という事実があるとき、家が倒壊した原因はなんだろうか?多くの人は「地震が原因だ!」と答える。

 だが、ある建築家は「家が免震構造になっていなかったのが原因だ!」と答える。どちらも正しい。

 友人の物理学者によれば「因果律は現実そのものに内在しているのではなく、それを理解しようとする心の側にある。だから因果的理解は常にあいまいさを内包している」とのことだった。

 厳密な学である理論物理学には、因果関係は存在せず、関数関係があるだけだとはすでに述べた。(2013-08-26


※今日、気にとまった短歌

  電柱に青い手さげがぶら下がる中身を見たら戻れぬ予感  詠み人知らず

「因果関係」再考

2015-08-08 00:06:02 | 科学

(燃料電池の仕組み。ShowaDenko のHPより引用。)

 「物理学に因果関係はない」 (2013-08-26) と聞いて、心底理解できたわけではないが少しは膝を打つところがあった。渡辺彗の『知るということ-認識学序説』(ちくま学芸文庫)にも似たようなくだりがある。

 私流に解釈すれば、化学的な言辞「水素が酸素と反応すると、すごい爆発が起こる」というのは(どちらが先という)因果関係を表していない。「水素と酸素の反応」が原因で「すごい爆発」が結果ではないのだ。

 「水素と酸素の反応」と「すごい爆発」は同じことを別の言い方で言っているに過ぎない。「爆発」がイコール「化学反応」そのものなのだ。科学的な言説にしてそうなのだから、私たちの日常語はトートロジー(同語反復)の洪水なのかもしれない。

(典型的なトートロジーは新聞社の「明日は休刊日に当たりますので、朝刊を休みます」である。休むから「休刊日」と名付けたのではなかったか?)


※長歌を詠んでみた

  巷なる中学校の教室にイジメ意地悪多けれど情厚き子も少なからざり (豊橋市)中里ひとし 

医学における因果関係は「風が吹けば桶屋が儲かる」程度

2015-06-30 03:56:39 | 科学
  (amazon より引用。)

 病気であろうと社会現象であろうと、その「原因」を捕まえるのは容易ではない。つまり、因果関係はふつう明確には分からないということを今日は述べたい。

 たとえば「ある夫婦の離婚の原因」を問うとする。仮に「性格の不一致」だとしよう。ならば、そのまた原因は「性格の不一致を見逃して結婚したから」ということになろうか?そうすると、結婚しなければよかったということになり、とどのつまり「離婚の原因」は「結婚したこと」という身も蓋もない結論になりかねない。

 厳密な学問である物理学が、因果関係について語らない (2013-08-26) のは、この辺のあいまいさがあるからかもしれない。それに引き替え、医学の世界は「原因」を捜そうとして果たせないことがあまりに多い。(「風が吹けば・・」のようなユルい説明が、精神医学には少なくないのだ。「精神障害のモノアミン仮説」はその典型である。)


※今日、気にとまった短歌

  父在(あ)らば行かれた筈の高校のセーラー服は今もあこがれ (足立区)星野雅恵

STAP細胞にかんする私見を振り返る

2014-12-20 11:39:37 | 科学

(理研の記者会見。朝日新聞の医療サイトより引用。)

 平成26年12月19日の記者会見後、相沢慎一特任顧問が意を決して「研究者を犯罪人扱いしての検証は、科学の検証としてあってはならないこと」と述べました。今回の記者会見で彼が一番言いたかったことでしょう。ではなぜ、監視付きの再現実験が行われたのでしょうか?それはマスコミや世論や監督官庁の圧力をなだめるためだったと私は考えています。(こういう非合理的なことは科学者が一番やりたくないことです。)

 今回の再現実験は多くの科学者が無駄だと考えていました。それは小保方さんの実験ノートが小学生並みだったこと、「200回以上成功した」という杜撰な回答があったことなどからです。(「200回以上」ではなく「214回」とかいうように正確に示さなければ科学者とは言えません。)でも、無駄だからやらないと言うとマスコミが黙っていないでしょうから、取り調べのような実験を無理にやったのでしょう。

 ここで、STAP細胞事件にかんするこれまでの私の見解を総括しておきます。

(1)「空想虚言癖」というもの(2014-06-17)

 ここで述べたW教授というのは山梨大学の若山教授のことです。ニセの細胞を渡されたと気づいたとき、若山教授は怒りではなく「彼女はいったい何なんだ!」という激しい恐怖感に襲われたことでしょう。でも、「空想虚言癖」という用語はマスコミにわずかしか登場しませんでしたね。

(2)続・小保方さんの記者会見に寄せて--愚劣なマスコミ(2014-04-12)

 小保方さんが「独立にSTAP細胞作製に成功している人がいる」と言ったことに対して「個人名をここで言え」と迫ったマスコミの愚劣さに怒りを覚えました。

(3)小保方さんの記者会見に寄せて--素人が学術論文について論じる愚(2014-04-10)

 科学者は再現性が証明されるまで浮かれてはいけなかったのです。また、記者は素人ですから、科学者は科学とはどういうものかを記者に噛んで含めるように説明する必要がありました。

(4)STAP細胞は存在するのか?という愚問(2014-03-15)

 やはりマスコミはゴシップ好きの野次馬集団だと強く思いました。

(5)研究発表は静かに行われ、静かに追試されるべき(2014-03-12)

 笹井さんはここで致命的な失敗を犯しました。STAP細胞のマスコミへの発表をもう一年待てば自殺しなくて済んだのにと残念でなりません。

(6)小保方さんや理研を責めてはならない(2014-03-10)

 論文発表でしかない段階で記者会見なぞやってはいけなかったと、ここでも強く思います。研究者の鏡のような笹井さん痛恨のエラーでした。Nature 誌の査読はブラインドではありません。編集部への笹井さんの強い働きかけがあったから掲載されたのだと思います。

(7)STAP細胞は再生医療には当分使えないだろう(2014-02-01)

 この段階では半信半疑ながら私にもまだ希望がありました。疑問とは酸のみで細胞が初期化するものか?「ヘイフリック限界」はどのようにクリアできたのだろうか?など。

(8)理化学研究所の小保方晴子さん(2014-01-31)

 最初の記者会見が行われた当初から、私は再現性はまずないだろうと思っていました。でも、万一再現性があればノーベル賞だとの淡い期待もあったのです。小保方さんに好感ももっていました。

映画「はやぶさ」

2014-11-27 03:27:25 | 科学

(映画「はやぶさ」のDVDジャケット。発行元は調査中。)

 昨夜、NHKBSで映画「はやぶさ」を放送していたので見ました。筋立ては大したことはないのですが、実録なのでやはり泣けました。泣ける映画は好きです。(渡辺謙主演の「遥かなる帰還」とは別物。)

 本来の穴とは別の穴からイオン粒子を噴射させるなんて、作った人にしかできない仕業だと感心しました。主演の竹内結子がオドオドしてはまり役でしたね。彼女のような美人学者ってたまにいるんですよ。色恋沙汰がゼロなのもよかったです。

 とにかく「はやぶさ」によって宇宙始まって以来、知性が初めて小惑星「イトカワ」を見たのだから、すごいことですよね。

 ただし、本当に「イトカワ」の土を持ってこられたかは怪しいです。カプセル内の鉱物は、外国の学者が指摘していたように地球の粉塵だったかもしれません。

 あのとき、いつもは小意地の悪い日本のマスコミはなんにも言いませんでしたね。「はやぶさ」の帰還に水を差しませんでした。よく戦った者はくささないというオリンピックの精神だったのかもしれませんね。

ビッグバンの前は無だった?

2014-09-06 00:07:17 | 科学

JAXAのHPより引用。)

 友人の物理学者から「宇宙はビッグバンですべてリセットされた。したがって、それ以前にも宇宙があったとか無かったとか、ましてやどうなっていたかは観測が不可能なため語り得ない」と教わって、一応納得していました。

 ところが最近、「ビッグバン以前は無だった。宇宙は無から生じた」という学説が出てきたようです。宇宙論の難しいことは分かりませんが、この説はビッグバン以前には宇宙はなかった「無」だった、と主張しています。

 ですが、よく考えてみますと、宇宙を観測したり、観測結果に解釈を与えるのは人間(の自我)なのですよね。すべての科学は、自我の存在を自明だと前提して成り立っています。

 逆に言うと、自我が存在しなければ(つまり人間がいなければ)、宇宙があるとか無いとか、どういう構造をしているとか語る主体が存在しません。

 これを敷衍すると、万物が存在することと、自我が存在することとは等価だとは言えないでしょうか?(つまり、人間(人類)がいなければ、なにもないのと同じことにはならないでしょうか?)

「硬さ」って「力」なの?--MIT白熱教室を見て-- 

2014-08-24 05:58:59 | 科学

(NHK・MIT白熱教室のHPより引用。)

 NHKの人気番組、「MIT白熱教室」で天体物理学者のルーウィン教授の講義をおもしろく見ました。

 しかし、私には分からないことがありました。それは、手を振って机にぶつかり、手がそこで止まるのは、重力が原子間力より圧倒的に弱い力だからだ、というものです。

 私は、手が机に入り込めないのは、机が個体で分子同士が固く結びついているからで、一方液体や気体だとぶつかった手が中に入れるのは、分子同士の結びつきが弱いからだと思っていました。

 物質は原子よりも隙間のほうが圧倒的に多く、スカスカなのだそうで、本当なら個体と個体がぶつかってもすり抜けてしまうほどだそうです。なのに、そうならないのは原子間の力が重力よりも格段に強いからだと教授は言います。なぜ重力を引き合いに出さなくてはならないのか、そこが分かりません。

 物理に詳しい方、解説してください。

表現としての「確率」(6)(統計検定)

2014-07-31 05:42:11 | 科学

(日本統計学会の過去問集。統計検定のHPより引用。)


 最近はやりのビッグデータなど、今後、統計処理を必要とする分野が増えてきます。そうした現状に合わせ、2011 年より「統計検定」が行われるようになりました。この資格は国家資格ではありませんが、英検や簿記と同じように世間に通用する資格です。

 統計検定は4級から1級まであり、4級は小学校6年生で受かったケースがあるそうです。級の数字が少ないほど上級なのは英検や簿記と同じです。

 統計検定のさらに上位の資格として「統計調査士」、「専門統計調査士」があり、今後これらの資格が就職に有利となるでしょう。さらに、国際的に通用する資格として、RSS/JSS試験があり、Higher Certificate と Graduate Diproma の2つに受験できます。それらに合格すると、それぞれ欧米の大学の統計学修士課程、統計学博士課程の出願資格を得たことになります。

 統計処理がここまで重要になってきた背景には、むろんコンピュータで大量のデータを扱うようになってきたことが大きく影響しています。しかし、もっとも重要なことは、相手を説得する手段として統計的な言説が最強になったからだと、私は考えています。

 少なくとも医療界における指標(例えば血圧の正常値をいくらにするかとか)は、どんな権威者の見解よりも、無名の凡人が多数の患者を10何年にもわたって地道に調査、統計処理した結果のほうが信用されます。

(少し前、人間ドック学会が従来より緩い「正常血圧」を発表して物議をかもしました。高血圧学会がこれに激しく反論したのは、高血圧学会は10年以上にわたる追跡調査をもとに「正常血圧」を提唱しているのに対し、人間ドック学会は追跡調査を行わず(つまり将来どういう病気が出てくるかまで調べず)、粗雑にも現在の血圧分布の中間あたりを示しただけだからだ、と私は思っています。)

表現としての「確率」(5)(抗うつ剤の薬効検定)

2014-07-30 00:12:15 | 科学

(代表的なSSRI。薬事日報より引用。)

 うつ病治療の第一選択薬は現在ではSSRIという群の薬になっています。それまでは、三環系という抗うつ剤がうつ病の特効薬でした。今では第二選択薬となっています。

 なぜそうなったかというと、三環系特有の口渇、便秘といった不快な症状がSSRIにはないからです。それでいて、三環系とSSRIの効果は同等とされています。それだったら、SSRIのほうがよいに決まっていますよね。

 ところが、実際に両方の薬を使ってみると、SSRIよりも三環系のほうがよく効くように思われるのです。患者さんの「快癒感」が違うのですね。三環系が効くと、二週間後には患者さんは晴れ晴れとした表情で病院に見えます。SSRIには、その晴れ晴れとした感じがないのです。

 薬効検定は二重盲検法 (2013-07-13) で厳密に行われます。だとすると、薬効の評価尺度に問題がある可能性があります。うつ病の改善度はふつうハミルトンうつ病評価尺度で測定されます。(1960 年から使用されているので、この尺度がスタンダードになっています。)

 ハミルトンうつ病評価尺度は、自殺念慮よりも不眠のほうを重要視しているなど、欠点もあるのですが、ほとんどの抗うつ剤の薬効がこの尺度で測られてきたため、生き残っています。

 今後、SSRIと三環系を比較するときには、「快癒感」の項目を入れる必要があるだろうと考えています。

表現としての「確率」(4)(統計のウソ-2-)

2014-07-29 00:01:35 | 科学

(路上禁煙パトロール。足立区のHPより引用。)

 禁煙運動がさかんです。喫煙は多くの健康被害と結び付けられて語られます。

 何万人に1人という原因不明の難病があったとします。これをN病と呼んでおきます。非喫煙者3万人を調べて、N病の人が1人発見されました。一方、喫煙者3万人を調べたら、N病者が2人見つかりました。この結果から、以下のような結論を下しているメディアがありました。

 すなわち「喫煙者のほうが非喫煙者より、N病に2倍もかかりやすい」。いくら喫煙が憎くても、データからはこのような主張はできません。にもかかわらず、このような言説を弄するメディアが意外に多いことに用心しなくてはなりません。

(ここで言うメディアには、なんと学術論文も含まれます。)

表現としての「確率」(3)(統計のウソ-1-)

2014-07-28 06:03:30 | 科学

(国谷キャスター。NHKクローズアップ現代のHPより引用。)


 NHKの番組「クローズアップ現代」では 2013 年 7 月 3 日、「数字のカラクリ・データの真実~統計学ブームのヒミツ~」という番組を放送しました。その枕として次のような質問を通行人に行いました。

 「心筋梗塞で死亡した人の95%がこの食べ物を摂取していた。そして、がん患者の98%、強盗など凶悪犯罪者の90%が犯行前24時間以内に摂取していた食べ物。この食べ物を禁止すべきか否か?」

 多くの人が「禁止すべき」と答えました。でも、正解は「ご飯」です。みんな「だまされた」と言いました。

 テレビ番組で統計学の危険性を説明するには、とても面白い導入部だと思います。むかしから「統計のウソ」という言葉がありますが、だまされるほうにも、もう少し統計学の知識が必要でしょう。

 統計に親しんでいる人なら、上の質問に「よく食べられている食べ物」とすぐに分かったと思います。

表現としての「確率」(2)(選挙予想)

2014-07-27 15:58:16 | 科学

(AKB48 選抜総選挙 2013 。TOKYO POP LINE より引用。)

 大きな壺に赤玉や白玉や青玉がある比率で何万個も入っていたとします。この母集団を全部調べれば、何個ずつ入っているか分かりますが、一部を調べただけでも推計できます。これを「標本調査」と言います。

 標本数は多いほど正確な比率が分かります。壺からランダムに10個取り出して調べるより、100個調べたほうが実際の比率に近づきます。

 全部調べるのは、現在の選挙制度と同じです。全員が選挙権をもって投票(あるいは棄権)するからです。それに対して、新聞社などが行うのは標本調査で、ある有権者群が各候補をどれだけ支持しているかを見て予想を立てます。

 アメリカのある議会選挙で、世論調査会社が何万という標本から当選者を予測しました。一方、別の小さな調査会社は300名ほどの標本で調べました。そうしたら、選挙結果を的中させたのは小さな会社の方でした。

 冒頭に標本数は多いほどよいと書きましたが、それは標本が十分に撹拌されていることが前提です。アメリカの例では、大きな世論調査会社の標本は、撹拌が不十分だったと言えます。

 よく撹拌されていれば、300個ほどの標本でかなりのことが推計できるので、日本のテレビ視聴率調査会社は300軒ほどの調査対象しかもっていないそうです。撹拌の方法は企業秘密なのでしょうけどね。

※今日、気にとまった短歌

  偶然に捕獲されたるマンボウは偶然に来し吾を見てゐる  (静岡・吉田)半田豊