院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

日本の国民食カレーライス(その2)

2014-12-31 05:06:03 | 食べ物

(商工会議所お薦めのドライブイン。むつ市商工会議所のHPより引用。)

 料理が専門ではないドライブインのような店では私はカレーライスを食べることにしています。蕎麦だと延びていたり、揚げ物が揚げ過ぎだったり、素人のような料理が出てくるからです。その点、どんな店でもハズレがないのがカレーライスです。カレーライスは日本人の根源だからなのかもしれませんね。(どんなに下手な調理師でもカレーの失敗だけは分かる?)

 30年ほど前、私たち一家に母親を加えて京都旅行をしたことがあります。京都の郊外で昼時を迎え、ちょうど道路沿いにあったよしず張りのような店にはいりました。とうぜん味なんて期待していません。

 私は例によってカレーライスを注文しました。ところが、家内と母親はなんと(張り紙が出ていた)松茸蕎麦を注文しました。私は「こんな店でマトモな松茸が出てくるわけがないじゃないか!」と言っていたら、すごい松茸が出てきたのです。値段も超格安で、松茸もおいしいものでした。(京都は松茸の名産地だということを忘れていました。)

 私の判断が誤まることもある例として、家内は未だにこのエピソードを言い募ってやみません。


※今日、気にとまった短歌

  隣家の改装工事始まりてブルーシートの暗さを知りぬ  (朝来市)高橋久美枝

日本の国民食カレーライス(その1)

2014-12-30 05:22:16 | 食べ物

(東京名店15選のカレーライスの一つ。FindTravel のHPより引用。)

 大人もですが子どもはカレーライスが大好きです。私が幼いころ母親がカレーを作ると、カレーの香りが家じゅうに充満してウキウキした覚えがあります。カレールウというのはまだなく、カレー粉と小麦粉を炒めて作りました。

 地元の焼き鳥屋でカレーライスを出すので有名な店があります。焼き鳥で酒を呑んでから締めにカレーライスを食べるのです。(客の話では、CoCo壱番屋などと較べて特別においしいわけではないが、すぐに食べられるので便利だということです。)

 日本海軍では乗員が日にちの感覚を忘れないようにと毎週金曜日の昼のメニューはカレーライスでした。それにちなんで、軍港横須賀の街ではカレーライス店がたくさんあって、そのカレーは「海軍カレー」と呼ばれます。「海軍カレー」を横須賀から取り寄せて、客に出している日本料理屋も地元にあります。

 30年前、激辛ブームというのがあって、カレーの猛烈に辛いのを出す店ができました。(今でもあるのでしょうか?)激辛の最高ランクのをぺろりと食べてしまった友人がいました。その友人は、翌日用を足したら肛門が熱かったと言っていました。(苦笑)

 私はいまでもときどき外食でカレーライスを食べますが、母親のそれとはまったく違って、家庭では作れないプロの味になっています。

 数年前から、豊橋のうどん屋が申し合わせて、カレーうどんを当地の名物にして、町おこしをしようとしています。ところが凝り過ぎていて、カレーうどんの底にご飯が入っていたりしてボリュームがあり過ぎ、人気は今一つといったところでしょうか。


※今日、気にとまった短歌

  地の熱を逃れ出でたる蚯蚓(みみず)らか折れ釘となり路地に乾ける (館山市)藤井昌子

ザ・カルテット・レジェンド

2014-12-29 05:14:36 | 音楽
 スキージャンプの葛西紀明選手はレジェンド(伝説)と呼ばれていますね。とても大きな業績を残した人を、いつごろからかレジェンドと呼ぶようになりました。そのような言い方が日本発なのかアメリカ発なのかは知りません。

 モダンジャズでもザ・カルテット・レジェンドと銘打ったグループが来日して好演奏を行いました。(アメリカでもそう名乗っているのか、日本に出稼ぎに来た時だけなのかは、私はやはり知りません。)



 いずれにせよ、これらの人々は1960年代にモダンジャズを完成させた人たちです。現在、80歳90歳になっています。(モダンジャスのことを現在のアメリカではオールドジャズと呼びます。)

 能でも歌舞伎でもそうですが、芸能がいったん完成されると過去のものを完璧に模倣するのが良しとされ、妙にいじることは嫌がられます。モダンジャズも60年代に完成され、それ以後のジャズはモダンジャズとはまた別の音楽と考えるべきでしょう。

 60年代のモダンジャズは、テレビ番組「美の壺」や「酒場放浪記」のBGMに使用されています。完成された音楽は耳障りにならないからでしょう。前にも言いましたが、それらは居酒屋のBGMにも使用されています。

 70年代以降のジャズはやや耳障りなのですが、さいきん中華料理屋とイタリアレストランのBGMで聴いたことがあります。これらの音楽も、あと10年すればだれにとっても耳障りではなくなるだろうと私は考えています。


※今日、気にとまった短歌

  我がクラス青いゼッケン、メガホンに君の名前を今日は呼び捨て  (足利市)坂庭悦子

センター試験改悪に反対する

2014-12-28 06:09:47 | 教育

(伊藤公昭氏による「実践型!集団面接講座」。三重大学のHPより引用。)

 50年近く前、センター試験の前身が試験的に行われたころ、マークシートでは限界があることは分かっていたのです。(私はこの試験を受けました。大学入試にはまだ利用されませんでしたが・・。)

 何十万人という受験生の答案を一気に採点し順位をつけ、しかも不公平が絶対にないようにするにはマークシートしかありませんでした。

 新しい試験の「要綱」には「面接や集団討論で主体性や協調性を見極める」とあります。昨年、大学入試の面接重視に反対しました。それと同じ理由で「協調性の重視」にも反対します。

 多数者に飲みこまれないような協調性のなさこそが、みんなが常識と思っている事象を疑うことができます。私が知っている大学教授や研究者には「変人」がいっぱいいます。彼らがいなければ、オリジナルな研究なんて望めなくなりますから・・。

ホステスがいる酒場(その2)

2014-12-27 05:02:00 | 社会
    (amazon より引用。)

 ホステスがいる酒場に行くと何万円もとられます。なぜ、そんなにボッタクるんだろうと、かつてクラブを3軒経営していた年配の女性にボヤいたら、「先生(私のこと)はアフターがないから高く感じるのよ」とのことです。

 「アフターって何?」ととうぜん私は訊くことになります。「アフター」とは、酒場が閉店したあとにお目当てのホステスと別の店で過ごすことだそうです。体の関係はありません。

 「(何事もないのに)そんなの楽しいの?」と私。「先生は夢がないねぇ。虚実織り交ぜて疑似恋愛を楽しむのよ」と一蹴されてしまいました。

 人間には向き不向きというものがあるのだと、いまさらながらに思いました。そういうのが「アフター」なら、ホステスと一緒に夕食をとるのは「ビフォー」という位置づけになりますね。(「ビフォー」には店からの手当てがつくと前回述べました。「アフター」には手当はないそうです。)

ホステスがいる酒場(その1)

2014-12-26 05:22:25 | 社会
    (amazaon より引用。)

 ホステスがいる酒場に行ったことがないではありません。ただ、夜の社交場の変遷を語れるほどの経験はありません。

 先日、家内とまあ安くはない日本料理屋に行きました。なんと、その日に限って大部屋の客10組が(私たちも含めて)すべて男女のカップルでした。さらに驚いたことに、私たち以外はすべて「歳の差カップル」だったのです。親父が娘を連れているような感じですね。

 「なんじゃ、これは!」と思いましたが、若い女性の多くがちょっと可愛かったので、ホステスかもと思ったのでした。

 後日、その道に詳しい人に訊いてみると、最近のホステスは出勤前に客と合流し、夕飯をおごってもらうのだそうです。それが店の方針だと言います。ホステスは夕飯をただで食べられて、その客と自分の店でワンクールを過ごします。客との会食は店から手当まで出ます。

 ホステスのノルマは一晩ツークールで、まずワンクールは夕食を共にした客で消化し、次のワンクールは同じ客でもよいし別の客でもよい。こうして合理的な商売をホステスは行っているわけですね。

 むかしはホステスの出勤はタクシーと決まっていましたが、最近は夕食を共にする客がホステスの自宅までタクシーで迎えに来るのだそうです。ホステスは運賃に自腹を切らないで済みます。ちゃっかりしていますね。

 ところで、ホステスと一緒に夕食をする店が、場末のラーメン屋では客としては格好がつきません。私たちが行った日本料理屋程度なら安くはないが、べらぼうに高いわけでもない、ちょうど良い「格」なのかもしれませんね。

(それにしても香水がきついのには参りました。刺身と香水は絶対に相容れません。)

お産で休んでいる女性の74%が仕事を希望

2014-12-25 05:11:11 | 社会

人物イラスト無料素材のHPより引用。)

 お産で休んでいる女性の74%が仕事に戻ることを希望しているとの報道が昨日ありました。報道ではこのデータから、子どもを産んでも仕事に戻りやすいような環境を作りましょう、との結論を導き出していました。

 データの解釈はほんとうは大変難しく、上のように安直な回答を出してよいか疑問です。お産をした女性が仕事に戻りたいというのは、夫だけの稼ぎでは少ないからではないですか?そうでないと、未婚女性や女子高校生がもっともなりたい職業が「主婦」というデータと矛盾します。

 また、戻りたいと思わなかった26%の産婦はどう考えたらいいのでしょうか?もともと「主婦志望」の女性とも考えられますし、保育所がない地域の女性の回答かも知れません。

 今後、実用的にもっとも重要になる数学は統計学だといわれています。データからとんでもない推論をしないようにするためにも、統計学をしっかり学ぶ必要がありそうです。

OSの統一はまずいのではないでしょうか?

2014-12-24 05:23:08 | コンピュータ

The X Windows system より引用。)

 2,30年前のことでしょうか、OSの決定版を作ろうという動きがありました。OSを統一すれば、OSごとにアプリケーションを作製する無駄が省けるというわけですね。

 これに対して猛烈な反対が起こりました。OSは列車のレールと同じで、一個に統一してしまうと発展性がなくなるというのです。実際、新幹線が在来線のレールを走れるようにしていた時期がありますが、そのときに車両に細工をするより、本来の新幹線のレールに新幹線を走らせるメリットのほうが圧倒的に大きいことが現在では明らかになりました。

 リニアモーターカーでは、2本のレールという概念がなくなってしまいました。

 そう考えると、現在の Windows の寡占状態は好ましくありません。ようやく MacOS がなんとか頑張っているので応援したいです。(Windows のマン・マシン・インターフェイスはマックのそれをパクッたものですし・・。)

 私は仕事場では(業者による) Linux マシンを使用しています。友人で Linux が好きな人がいます。彼によれば、Linux なら迷惑書き込みのIPアドレスが1コマンドで分かり、アメリカにはそこから発信マシンを特定する有料サービスがあるそうです。

 このようなことは Windows や MacOS ではできません。むかしはもっと沢山のOSがあったのですが、消えてしまいました。商売は弱肉強食だからでしょうが、PCの未来を考えると本当はよくないことだと思っています。

 精神疾患の分類の有名なものにICD(WHO)とDSM(米精神医学会)が別々に存在したのですが。さいきんICD委員会とDSM委員会が、互いに相談して統一分類を作ろうという動きがあります。そのようなことは精神医学を貧困にさせるだけなので、私は反対いたします。


※今日、気にとまった短歌

  虹の下を病院へ急ぎ去年(こぞ)の冬吾が子も虹もなべて消えたり  (志摩市)近藤きみ子

お地蔵さんの供え物回収システム

2014-12-23 06:02:45 | 教育

(那須の千体地蔵。Photoindex より引用。)

 多くの人が民話「笠地蔵」をご存じでしょう。無欲な貧乏爺さんが雪に降られているお地蔵さんを気の毒に思い、笠をかぶせました。ある早朝、数体の地蔵たちが爺さん宅の前に米や薪を置いて行ったというお話です。

 わが国では信心深いことが美徳だったのです。私の幼いころ、お地蔵さんには誰かがかならず饅頭や果物を供えていました。

 それらの食べ物を回収してどうにかすれば儲かるだろうと、幼い私は考えました。まず、お地蔵さんの前にある皿が反転するようにしておきます。皿が反転すると、供え物の食べ物が地下に落ちます。

 地下には下水道のようなトンネル網が掘ってあり、ベルコンベアが通っています。ベルトコンベアは各所の何百ものお地蔵さんの足元に繋がっていて、落ちてきた供え物をキャッチします。こうしてすべての供え物をオートで一か所に回収することができます。

 回収した供え物を売って儲けるのです。このようなシステムを鉛筆で絵に描いて、儲けることを想像して喜んでいました。なんというバチ当たりな子どもだったのでしょう。(トンネル・ベルトコンベア網のコストを考えていないのが子どもらしいですが。笑)

 賽銭泥棒が普通の泥棒より悪質に感じられるのは、信心を尊ぶ気持ちが私たちに残っているからかもしれませんね。


※今日、気にとまった短歌

  水道に訪れ来たり水の春薬缶もはやく沸くことだろう  (田原市)市川沙也加

アメリカとキューバの雪解けの影響

2014-12-22 23:07:28 | 環境

(プールのタイマイ。コニカミノルタ絶滅危惧動物図鑑より引用。)

 絶滅危惧種を守るためのワシントン条約ですが、しばしば政治的に利用されます。

 高級品のべっこう細工はその原料がタイマイという亀の甲羅ですが、ワシントン条約で売買が禁止されました。

 ところがタイマイはキューバ人の食料で、食べた後の甲羅が高く輸出できるので、キューバでは重宝していたところにワシントン条約による捕獲と売買の禁止でした。キューバは困りました。この措置にはアメリカの意向が働いていたとの噂がありました。

 キューバは2000年のワシントン条約の会議で、タイマイを条約から外すよう申し出てもう少しの票数で実現しそうでした。ところが、2005年、キューバはなぜか申し出を取り下げました。そうこうするうちにべっこう細工の人気が下がってしまいました。

 このたびのアメリカとキューバの雪解けにより、ワシントン条約でのタイマイの扱いがどうなるか少し注意しながら見ておくことにしましょう。


※今日、気にとまった短歌

  着くづすと若きらは言へり着くづせる瑞々と鋭き風姿のものら  (津市)深沢泰二

標語を作るときの心得

2014-12-21 21:50:17 | 俳句

(有名な交通標語の石碑。TBSニュースバードより引用。)

 20年前、俳句を始めたばかりの友人が次のような俳句を詠みました。

    盆踊りジーンズ姿で踊りけり  直子

 この俳句はある俳句結社の主宰に次のように添削されました。

    盆踊りジーンズなれど踊りけり

 添削後の俳句のほうが締まっていることがお分かりになるでしょう?意味は大きく変わったわけではありませんが、中の句が8文字だったのが7文字になっています。

 俳句の世界では中の句が8文字なのを「中八」と呼んで嫌います。(上の句はかなり字余りでも許されます。)

 そこで標語の世界に目をうつすと、「中八」がきわめて多いのです。

    狭い日本そんなに急いでどこへ行く  (交通)

    ポイ捨ては環境破壊の第一歩     (環境)

    広めよう違いを認めるそのきもち    (人権)

 以上は「中八」の例をわざと拾ったものですが、確率的に見ても、俳句や川柳に比べると標語には「中八」が多いのは争えない事実です。それさえ注意すれば、もっと説得力のある標語になると思うのですが・・。

(ところで冒頭の友人は、現在では私よりよほど俳句が上手になっています。)


※今日、気にとまった短歌

  「おふくろは甘い」と面を打ち来る子小手に小さく隙を見せつつ  (岡崎市)白井百合子

STAP細胞にかんする私見を振り返る

2014-12-20 11:39:37 | 科学

(理研の記者会見。朝日新聞の医療サイトより引用。)

 平成26年12月19日の記者会見後、相沢慎一特任顧問が意を決して「研究者を犯罪人扱いしての検証は、科学の検証としてあってはならないこと」と述べました。今回の記者会見で彼が一番言いたかったことでしょう。ではなぜ、監視付きの再現実験が行われたのでしょうか?それはマスコミや世論や監督官庁の圧力をなだめるためだったと私は考えています。(こういう非合理的なことは科学者が一番やりたくないことです。)

 今回の再現実験は多くの科学者が無駄だと考えていました。それは小保方さんの実験ノートが小学生並みだったこと、「200回以上成功した」という杜撰な回答があったことなどからです。(「200回以上」ではなく「214回」とかいうように正確に示さなければ科学者とは言えません。)でも、無駄だからやらないと言うとマスコミが黙っていないでしょうから、取り調べのような実験を無理にやったのでしょう。

 ここで、STAP細胞事件にかんするこれまでの私の見解を総括しておきます。

(1)「空想虚言癖」というもの(2014-06-17)

 ここで述べたW教授というのは山梨大学の若山教授のことです。ニセの細胞を渡されたと気づいたとき、若山教授は怒りではなく「彼女はいったい何なんだ!」という激しい恐怖感に襲われたことでしょう。でも、「空想虚言癖」という用語はマスコミにわずかしか登場しませんでしたね。

(2)続・小保方さんの記者会見に寄せて--愚劣なマスコミ(2014-04-12)

 小保方さんが「独立にSTAP細胞作製に成功している人がいる」と言ったことに対して「個人名をここで言え」と迫ったマスコミの愚劣さに怒りを覚えました。

(3)小保方さんの記者会見に寄せて--素人が学術論文について論じる愚(2014-04-10)

 科学者は再現性が証明されるまで浮かれてはいけなかったのです。また、記者は素人ですから、科学者は科学とはどういうものかを記者に噛んで含めるように説明する必要がありました。

(4)STAP細胞は存在するのか?という愚問(2014-03-15)

 やはりマスコミはゴシップ好きの野次馬集団だと強く思いました。

(5)研究発表は静かに行われ、静かに追試されるべき(2014-03-12)

 笹井さんはここで致命的な失敗を犯しました。STAP細胞のマスコミへの発表をもう一年待てば自殺しなくて済んだのにと残念でなりません。

(6)小保方さんや理研を責めてはならない(2014-03-10)

 論文発表でしかない段階で記者会見なぞやってはいけなかったと、ここでも強く思います。研究者の鏡のような笹井さん痛恨のエラーでした。Nature 誌の査読はブラインドではありません。編集部への笹井さんの強い働きかけがあったから掲載されたのだと思います。

(7)STAP細胞は再生医療には当分使えないだろう(2014-02-01)

 この段階では半信半疑ながら私にもまだ希望がありました。疑問とは酸のみで細胞が初期化するものか?「ヘイフリック限界」はどのようにクリアできたのだろうか?など。

(8)理化学研究所の小保方晴子さん(2014-01-31)

 最初の記者会見が行われた当初から、私は再現性はまずないだろうと思っていました。でも、万一再現性があればノーベル賞だとの淡い期待もあったのです。小保方さんに好感ももっていました。

漫画「ブルージャイアント」が面白い(その3)

2014-12-20 06:04:51 | 漫画
   (小学館刊。)

 この漫画の題名もそうですが、モダンジャズにはよく「ブルー」という用語が出てきます。マイルス・デビスには「カインド・オブ・ブルー」、ジョン・コルトレーンには「ブルートレイン」という題名のLPレコードがあります。

 この「ブルー」とは「気分がブルー」の「ブルー」です。すなわち「ブルース」の「ブルー」でもあります。「ブルース」は黒人霊歌をルーツとする12小節の楽曲形式で、特有の音階、ブルーノート音階で演奏されます。ブルーノート音階とは、演歌の47(ヨナ)抜き音階(ペンタトニックスケール)にソ♭を付け加えたような音階で、このソ♭をブルーノート(悲哀な音)といいます。ブルースはモダンジャズにも大いに取り入れられました。青山のライブハウス「ブルーノート」の店名は言うまでもなくここから来ています。

 主人公が「ジャズはハードで熱いものだ」と述べるシーンがあります。それはそうなのですが、「ジャズは悲哀(ブルー)だ」とも言えるのです。この漫画の推薦文を書いているグラミー賞ジャズピアニストの上原ひろみさんは「ジャスは殺気だ」と言っていますが、なるほどそうとも言えますね。

 いずれにせよ、ブルーノート音階には悲哀感があります。(それは虐げられた黒人霊歌から出てきたからだという説がもっぱらですが、私はこじつけだと思います。古代ローマ時代以来、虐げられた民族は黒人奴隷だけではありませんから。)

 その後、ジャズはギリシヤ音階テンジョンノート(緊張の音)を採用して洗練を重ね、そこに生まれたサウンドこそがモダンジャズの特徴だと言われるようになりました。

漫画「ブルージャイアント」が面白い(その2)

2014-12-19 05:07:38 | 漫画
    (小学館刊。)

 漫画「ブルージャイアント」では現在、主人公がテナーサックスの激しい練習をしている真っ最中です。師匠はバークリー音楽院(アメリカのジャズのメッカ)を出ながらビッグになれなかったサックス奏者です。

 この漫画の各号の終わりに今から数年後の話が出てきます。そこでの登場人物は、むかし主人公と共演したことを誇りに思っていたりします。そこから読者は、主人公が将来ビッグになることを、あらかじめ知ります。

 つまり、先行きがある程度分かるストーリー構成です。このような手法は、ありふれているのでしょうか?先行きが分かる手法は、私は小説やドラマを含めてこの漫画で初めて経験しました。

 読者はつまり、主人公がビッグになっていく経過を追えばいいわけで、安心して読み進めることができ、途中経過のストーリーの機微に気持ちを集中することができます。

漫画「ブルージャイアント」が面白い(その1)

2014-12-18 05:47:51 | 漫画
    (小学館刊。)

 世界一のジャズプレイヤーを目指す少年の物語「ブルージャイアント」が20万部の大ヒットだそうです。いまどき、モダンジャズというマイナーな音楽の漫画がヒットするなんて、世の中分からないものですね。

 現在、第3巻まで出ています。さっそく読んでみました。とても面白い。そして、読んでいる間じゅう泣けました。この漫画、ほんとうに今の若い人たちに受けているのでしょうかね。(私はモダンジャズに凝った世代だから、すごく分かるのですが・・。)

 少なくとも若い人たちは泣けはしないでしょう。私が泣けたのは、兄が主人公に高価なテナーサックスを36回の分割払いで買ってやるというような、ありがちな部分なのですが、私自身10代にサキソホン(私はアルト)を買ってもらって、楽器がいかに高いかを知っていたからかもしれません。

 先日亡くなった作家の山崎豊子さんは、まるでその世界にいた人でもあるかのように、大阪商人の世界、医学界、商社の裏側、中国問題などに詳しかったですね。この漫画もジャズ界やジャス理論の記述に大きな誤りはありません。この漫画家はジャズをまったく知らなかったそうですが、一流の作家は取材すればすぐに理解できちゃうのでしょうか?

 主人公の高校の音楽の女教師が初老のデブで、いかにもタテマエ主義的なタイプなのに、近代西洋クラシックの一部がインドネシアのガムラン音楽の影響を受けたことを知っており、さらにモダンジャズにも感動してしまう、なんていうストーリー運びはニクイです。泣けます。

 次の巻の刊行が待たれます。