院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

1960年台のモダンジャズ

2017-11-30 00:03:30 | 音楽
Wynton Marsalis - Autumn Leaves


 チャーリーパーカーによって始められたモダンジャズ(バップ)は1960年台のソニーロリンズやマイルスデビスの時代に頂点をきわめた。さらにモダンジャズに改編が加えられたが、かえって耳障りになった。

 ここ5年間ほどは居酒屋、焼き肉屋、中華屋などのBGMはみな1960年台のモダンジャスのサウンドになった。これらのサウンドをアメリカではオールドジャズと呼ぶようになったことはすでに書いた。(2014-12-29)。

 現在のBGMの演奏者は誰だかわからない。オールドジャズのサウンドを上手に出す演奏者が出てきたのだろう。(上の動画はウィントンマルサリス(トランペット)のものだが、ほぼマイルスデビスのコピーである。)

 こんど居酒屋や焼き肉屋に行かれたらBGMを注意して聴いてみてほしい。きっと、このようなサウンドだから。

 ※今日の短歌
   病得て一年を経ぬ病院の君の姿に言葉うしなふ
   酒井京子(明日香)

ビンテージマイク

2017-11-24 06:27:30 | 音楽

(AKG D12。宮地楽器より引用。)

 上のような立方体のマイクで、イケメン兄ちゃんが絶唱していた場面をテレビで見たことはないだろうか?多分あるだろうがお気づきにならなかっただろう。

 上のマイクはAKG(アーカーゲー)D12というビンテージマイクで、もう発売されていない。だが、その形と音質から現在でも人気がある。そのため音楽プロダクションでは、イケメン兄ちゃんにわざわざ使用させているのだ。(手でわしづかみにするとサマになる。)

 私たちが音楽をやっていた学生時代、このマイクは憧れの的だったが高価で買えなかった。懐かしいマイクだ。歴史は誰もが各自もっているのである。

 ※今日の短歌
   川越えてここがあなたの住む町か知らない祭りばやし聞こえる
   馬場正浩(福岡県)

藤田六郎兵衛(ろくろうびょうえ)氏、修善寺公演

2017-11-03 12:05:32 | 音楽
 家内に無理に誘われて、藤田六郎兵衛氏の修善寺公演に行きました。氏は室町時代から続く能の囃子方家元で、家内の能管の師匠でもあります。



 道中の新幹線車窓より。富士山は初冠雪があったのですが、この2回の台風のためか冠雪は消えていました。



 会場は修善寺の豪華な旅館。お1人様8万円は痛かった。料理はいまいちでしたが部屋がすごかった。18畳2間で前室や浴室は別にある。その上、能舞台がある。病み上がりで、ひどく疲れた一泊旅行でした。



(上の動画は私の下手なビデオです。音が小さいので大きくしてお聴きください。下に提示したのがほんものの録音録画です。)



 ※今日の狂歌
   冷房が効きすぎなんてうるさいな父さん祖父さん逝きし酷暑日
   中里ひとし(愛知県)    

上達したければ、いい道具を

2017-10-11 00:09:31 | 音楽

(アルトサックス。ウィキペディアより引用。)

 私は慶応か早稲田の工学部を目指していた。ところが運よく公立の医学部に受かったので両方とも受験しなかった。私学の入学金は3万円ほどだった。それに対して公立の入学金は1万円ていど。2万円余った。

 親に頼んで2万円をもらい、その金でセルマー(会社名)のサキソフォンを買った。セルマーとクランポンは木管楽器の一流メーカーでプロはどちらかを使っていた。

 バネが軽く面白いようによい音が出た。とうじナベサダが使用していたのはアメリカセルマーだった。セルマーにはフランスセルマーもあり、アメリカセルマーが上だったが、高すぎるのでフランスセルマーで我慢した。

 いまフランスセルマーは4,50万円くらい。アメリカセルマーはもっと高い。でも当時は2万円あればフランスセルマーが買えたのだ。ラーメンが50円の時代だった。

 この楽器はいまでも宝物として持っている。私がモダンジャズに目覚めたときの記念碑的な楽器である。

 ※私の俳句(秋)
    机上なる途切れし稿や秋扇

大曲の花火大会・音楽が付くと安っぽくなる!?

2017-08-27 03:57:35 | 音楽
 二流の観光地でラウドスピーカーで音楽を流しているところがある。自ら「二流です」と言っているようなものだ。このブログの読者ならご賛同いただけるだろう。

 たとえば、鉄棒、段違い平行棒、床などの体操競技に音楽が付いたら安っぽくなってしまうのではないか。(新体操に音楽が付くのは、新体操はダンスの要素が強いから仕方がない)。

 大曲の花火大会では、スターマインと創作花火に音楽が付く。かえって気が散る。花火だけで盛り上げてもらいたい。花火が音楽に縛られるのではないか?私は花火に音楽は要らないと思うのだが、みなさまはいかがだろうか?
 

(2016.大曲の花火大会)

 ※私の俳句(秋)
    爽やかや伊勢へフェリーの客となる    

紅白歌合戦のバックバンド

2017-08-25 01:08:01 | 音楽


 私が高校生のころ、大みそかの紅白歌合戦はお化け番組だった。視聴率をほぼ独り占めにして、裏番組は対抗するすべもなかった。大みそかにベートーベンの第九を演奏する習慣もまだなっかった。

 ときあたかも3C (クーラー、カー、カラーテレビ)の時代で、日本全体が活気に酔っていた。(上の映像で白黒のものも放送はカラーだった)。紅白歌合戦は現在よりよほど面白かったと記憶する。

 高校生の私は大みそかに友人と、新宿の厚生年金会館でおこなわれた原信夫とシャープス&フラッツのコンサートを見に行った。(夜中の0時からだったから、正確には元旦ということになる)。

 当時、紅白歌合戦はバックバンドも紅白に分かれており、原信夫とシャープス&フラッツは紅組。白組のバックバンドは小野満とスイングビーバーズだった。原信夫のバンドは東京宝塚劇場での紅白を終えてから厚生年金会館に駆け付けた。

 厚生年金会館で原信夫は、こう言って聴衆を「よいしょ」した。

 「僕たち(紅白ではなく)ここからが本番ですから」

 NHKのテレビ番組で、原信夫が90歳で健在だと紹介されていたので思い出した次第。

 ※私の俳句(秋)
    かの家もいまだ灯消えず星月夜 

「歌ごえ喫茶」は私に合わない!

2017-08-01 09:26:36 | 音楽

(16.7.8.たんぽぽ・うたごえ喫茶スクラム)。

ずいぶん昔(20歳ころ)、当時流行っていた「歌ごえ喫茶」というものに一人で行ってみた。

きわめて健康的なのだ。ビールくらいは出されたかもしれないが、みな歌うことに夢中で、連帯感があって、私のような者が一人で行く場所ではなかった。

歌はうまくないが、中にヨーデルなんかが上手な人がいて、拍手喝さいを浴びていた。伴奏はアコーデオンが主。伴奏も上手いとは言えない。

ほうほうの体で私は店を出た。私とは人種が違うと思った。私にはもっと薄暗くて隠微な雰囲気さえある、ジャズのライブハウスが合っていると痛感した。


 ※私の俳句(夏)
    両翼を浜にひろげし夏ホテル

この程度で「音楽家」を自称するか!?

2017-07-30 11:57:46 | 音楽

(これぞホンモノ。ルドルフ・ゼルキン。)

私の世代にはピアノを習うことが大流行した。だが本当に上手い人に出会ったことがない。音大出身者でさえ私を驚かすことができなかった。

だいたいベートーベンのピアノソナタ「熱情」を最後までちゃんと弾ける人がいなかった。指が動かないのだ。これは天性だと思う。

芸術的な「耳」がすぐれていても指が動かなくては、どうしようもない。有名ピアニストを除くと、世の大多数のピアノ弾きは超絶技巧をもっていない。だからプロと自称してもアマチュアの域を出られない。(ホンモノとは昨日書いた後藤みどりさんや内村航平のことを言うのだ!)


 ※私の俳句(夏)
    遊船や海にせりだす摩天楼

ライブと高級オーディオの違い

2017-07-29 01:52:18 | 音楽

(1,500万円のオーディオセット。ASCII.JP より引用。)

いま、ちょっとしたオーディオブームである。オーディオブームはバブル時代初期にも一度あった。そのとき知人に直径1メートル奥行き3メートルものウーハー(低音用スピーカー)を買った人もいる。

私はむかしからライブが好きだから、オーディオには凝らず自宅ではラジカセだった。(いまでも、そうだ)。

当時、オーディオマニアが所有するLPレコードの少なさに驚いた。金額にして3万円分くらいしかLPを持っていない。3万円分のレコードを聴く装置が100万円なんてヘンだなと思った。つぎ込む金額がアベコベだろう!(そこでオーディオマニアは「音楽マニア」なのではなく「再生マニア」なのだと気づいた。しかしながら、マニアならレコードのカッティングから自分でやるのが本筋ではないか!?)。

ライブハウス(モダンジャズの)にはよく行く。奏者がさほどうまくなくても、ライブなら聴くに耐えるのが不思議だ。


(私がむかしよく行った御茶ノ水のライブハウス)

ライブハウスに出演する無名のジャズバンドは、それで生活できるのだろうか?ライブハウス出演者の生活や演奏にかんしては稿を改めていつか論じたい。(どんなに高級なオーディオ装置でも下手なライブにさえかなわないことや、ジャズドラムの巧拙はバスドラムの扱い方で決まるといったことなど・・)。


 ※私の俳句(夏)
    ヨコハマベイ錨鎖不壊なる梅雨曇

平尾昌晃が好きじゃなかった!

2017-07-27 17:49:11 | 音楽


私が小学生のとき日劇ウエスタンカーニバルが流行ったから、私はリアルタイムで同カーニバルを知っている。私にはセックスアピールという発想がまだなく、なぜこんなに騒ぐのだろうか?と不思議だった。舞台に熱狂する女たちもまた平尾昌晃ら歌手たちもバカに見えた。(女たちは「わんさガール」と呼ばれていた)。

高校生の時から私はモダンジャズに魅了され(スイングジャズやニューオーリンズジャズとは別でバップと呼ばれた)バンドを組んで、それは大学から中年になるまで続いた。大学生のころはフォークソングが流行った。吉田拓郎や岡林信康だ。外国人ならジョーンバエズとかPPM(ピーターポール&マリー)。

とうじ私は「フォークソングは音楽ではなく、(語りの内容が重視される)浪曲や平家琵琶みたいなものだ」と感じていた。当然、美空ひばりや島倉千代子なぞ従来の歌謡曲も聴くことはなかった。

そんなときに出てきたのが小柳ルミ子の「私の城下町」だった。「なんじゃ、これは!けっこういいじゃないか!」と私は当時としては新鮮なメロディーラインに驚いた。「瀬戸の花嫁」、「漁火恋歌」も素人でも歌えるメロディーながら素人では作れないと感じた。



「この曲の作曲者が平尾昌晃?なんであんなチャラ夫が?」と私は苦々しく思ったが、良いものは良いから仕方がない。カラオケが発明され一大ブームとなったのは、そのころである。たいていの歌謡曲は素人でも歌えた。現在のJポップはメロディーラインが難しすぎて素人では歌えない。(ついでに玄人っぽいことを言わせてもらうと、伴奏はJポップより昭和歌謡のほうが凝っていて演奏もむずかしい)。

ついに私も昭和を懐かしむ世代になってしまったのか!嗚呼!


 ※私の俳句(夏)
    膝までのプールやパパに水をかけ

日本民謡はなぜみな似ているのか?

2017-07-14 07:35:48 | 音楽

(埼玉県立浦和高校吹奏楽部。アラビヤ音楽を演奏する。浦和高校のHPより引用)


私は東京生まれだが、愛知県の名古屋市に20年間ほど住んだことがある。名古屋の西には鵜飼で有名な長良川があって、そのさらに西側は岐阜県や三重県である。

長良川より東京側では(つまり名古屋では)「そうだ!」というところを、長良川の大阪側では「そうや!」と言う。川一本へだてただけで方言ががらっと変わる。そのようにして方言は日本中で様々である。

一方、民謡の旋律は沖縄地方を別として、みな似ている。これは旋法(音階)が同じだからだ。これをファとシを省く47抜き(よなぬき)音階と呼ぶ。(沖縄地方は26抜き音階)。

なぜ旋法だけが広い範囲で同じなのか謎である。旋法が広範囲に及ぶのは外国も同じで、ヨーロッパは長調と短調。アラブ文明圏では、チュニジアからトルコまでアラビヤ旋法である。(アラビヤ旋法は極めて複雑らしいが、ミとシを長調から半音下げた感じ。それだけでベリーダンスの伴奏のような旋律ができる)。

同じ旋法が広範囲で共通するのは、言語より音楽のほうが「文化的すなわち無くても困らないもの」だからかも知れない。


 ※私の俳句(夏)

    板長があいさつに来る夏座敷

ライブハウスの幼児

2015-11-29 08:40:19 | 音楽


 先日、東京のモダンジャスのライブハウスに4歳の孫(男児)を連れて行った。老人の部類しか行かないライブハウスだ。

 孫は店員さんやミュージシャンに可愛がられた。モダンジャズのライブハウスに幼児が来ることはまずないからだろう。

 思い起こせば、孫の親(私の息子、30代)が幼いころにも、名古屋のライブハウス・ラブリーに連れて行って、ミュージシャンに可愛がられた。

 息子と、そのまた息子が画面右下にほんのり写っている。(この写真では、たぶん見えないでしょう。)


※私の俳句(冬)

  幾たびも鍵確かむる神の留守

ライブには外れも多い

2015-06-13 05:33:16 | 音楽
   

 上京すると上のライブハウスに寄ることにしている。一流は月に一回くらいしか出演しない。ふだんは二流である。それでも一応プロだし、そこそこ上手いからナマなら結構聴ける。

 先日のピアノソロのお兄ちゃんには驚いた。ソロでやるなら客が腰を抜かすほど上手くなくてはならない。彼は上手くもなんともない。よくソロで出るだけの度胸があるなと思った。(出すライブハウスもライブハウスだが・・。)

 それでもテーブルチャージは2,500円でいつもと一緒。損をした気分になる。


※今日、気にとまった短歌

  再診に向かう団地の道すがら妻にはあまた声がかかれり (松戸市)佐々木米三

モダンジャズを「ダンモ」と呼ぶなかれ

2015-05-02 02:05:27 | 音楽

(MJQ concert in Japan のLPのジャケット。eil.com より引用。)

 高校時代モダンジャズに魅せられて一流の演奏をコピーして、なんとか同じような演奏をしようと努力していたころ、モダンジャズを「ダンモ」と呼ぶ人がいました。ややチャラい感じがしたので、真面目にモダンジャズに取り組んでいた者たちは、そのような呼び方をしませんでした。

 ライブハウス「NARU」の客はジイさんばかり、すなわちオールドファンが多いのです。そんなジイさんの中に「ダンモ」と言う人がいました。ああ、この人は髭面のジイさんになってもまだチャラいのだなと思ったことでした。(変わった帽子でカッコつけたりするのも、こういう人たちの特徴です。)

(上のLPは1966年、東京厚生年金会館で録音されたものです。まさにこのステージの最前列中央に高校生の私たち3人がいて、演奏のすごさに仰天していたのでした。3人とも詰襟でした。)


※今日、気にとまった短歌

  ビル裏で友とくゆらす一服は人目はばかる逢瀬のごとし (神奈川県)渡辺昭宏

ライブハウスでのひと時

2015-05-01 12:10:55 | 音楽

(ピアノを取り巻くように設えられたテーブル。筆者撮影。)

 またお茶の水のライブハウス「NARU」に行きました。伊集院静に似たサックスのおっさんは同じでしたが、サイドメン(ベース、ドラム、ピアノ)が全部違いました。メンバー各人が日本中のライブハウスを回っており、同じメンツになるのは年に一回あるかどうかだそうです。

 今回のメンバーはよかったですねぇ。イケメンの30代のベーシスト中林君はノリがよく正確でいい音色。さぞ女性にモテるだろう私が言ったら、そっちの方面は全然ダメなんですとはにかんでいました。

 ピアノのおっさんがまたすごいテクニック。いいところで拍手をするとさらにノリまくってくれる。客席との疎通性がライブのだいご味ですね。

 ドラムも相当うまく、メリハリが利いていましたが、やはりバスドラにもっとインパクトが必要。いずれにせよ、とてもいい気持になって終電でホテルに戻りました。


※今日、気にとまった短歌

  歌づくりに悩むなんぞは贅沢と病みゐる友は語気強く言ふ (北海道)山田てい子