院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

犬を連れた観光客

2015-08-31 07:02:10 | レジャー
 15年前に乗鞍高原に行ったときと今回の違いの一つに、犬を連れた観光客が目だったことがある。

 現地には犬と一緒に泊まれるホテルはないから、日帰りなのだろうか?

 それと、連れている犬が全部、高級犬なのだ。これは何故だろうか?一晩、考えてみたい。

高級犬を飼う人たち

2015-08-30 04:26:17 | ファッション

(グレートデーン。ウィキペディア「グレート・デーン」より引用。)

 ペットは可愛い。私は犬が好きで飼ったこともある。猫も好きだ。ただし、いずれも雑種である。

 アニマルセラピーという癒やしの技術があるように、犬や猫は人間を癒やしてくれる。だが、その上で言うのだが、仔犬で30万円も40万円もする高級犬を飼う人の気持ちが分からない。

 私は高級犬の持ち主に対して違和感をもつ。外車の持ち主に対して感じる違和感と、それは同じである。(「ゴルフと外車が好きな医者」(2011-07-21)参照)

 外車のほうが機能の面で国産車より優れたところがあるのだろうか?


※今日、ご紹介したい俳句

  恋猫にシャムもペルシャもなかりけり  浅野右橘

因果律は世界を理解するための(人間側の)知恵?

2015-08-29 05:51:32 | 科学
 「地震で家が倒壊した」という事実があるとき、家が倒壊した原因はなんだろうか?多くの人は「地震が原因だ!」と答える。

 だが、ある建築家は「家が免震構造になっていなかったのが原因だ!」と答える。どちらも正しい。

 友人の物理学者によれば「因果律は現実そのものに内在しているのではなく、それを理解しようとする心の側にある。だから因果的理解は常にあいまいさを内包している」とのことだった。

 厳密な学である理論物理学には、因果関係は存在せず、関数関係があるだけだとはすでに述べた。(2013-08-26


※今日、気にとまった短歌

  電柱に青い手さげがぶら下がる中身を見たら戻れぬ予感  詠み人知らず

料理人と意見が異なるとき

2015-08-28 05:27:38 | 食べ物

(職人は右のイクラのほうがおいしいという。私は左のほうしか食べない。)

 料理職人(料理人)は、まずもって自分が美味しいかそうでないかを知っていなくてはならない。そうでなければ、客が唸る料理は出せない。

 20年来の馴染みの寿司屋。こんなに美味い寿司屋は名古屋では見つからなかった。(名古屋人はケチだから、きしめんや味噌カツがごちそうなのだ。)美味しい寿司屋は豊橋に来てようやく見つかった。

 店の主人は右のイクラが美味しいという。私はスーパーマーケットでも売っているような左のイクラのほうが美味いと思う。主人がしこんだ右のイクラは、妙にダシが効いていて、プチプチと音がするほど身が張ってはいるが、私は頑固に左のイクラだけを食べていた。

 家内(生粋の名古屋人!)は素直だから、店の主人が薦めるイクラを食べていた。ところが、あるとき家内は私と同じイクラを食べたことがあった。

 結果、私が食べているイクラのほうが美味しいと家内は言った。好みの違いと言ってしまえばそれまでだが、イクラにダシは要らないというのが私の「美学」である。


※一昨日詠んだ短歌

  不自然に愛想のよい仲居なり料理は普通以下だったけど (豊橋)中里ひとし

戦争をもっとも中立的に(本質を突いて)語った本

2015-08-27 22:09:56 | 歴史
   (人文書院刊。)

 これまで先の戦争をここまで中立に、かつ観念的にならずに書かれた本を読んだことがない。

 近年、「軍備を持つと(基地を作ると)かえって攻撃される」という意見と「軍備を持つと抑止力になってかえって攻撃されない」という意見が拮抗している。
 
 この書では、両方の意見が止揚されている。どちらの意見も正解ではないということが分かる。


※今日、気にとまった短歌

  精神科デイルームにて40代4人が語る男のフーゾク 詠み人知らず

丸暗記は必要ないか!?

2015-08-27 04:16:52 | 教育

(ウイーン体制下のヨーロッパ。コトバンクより引用。)

 小学生から「スマホで調べればすぐに分かるのに、世界の国の首都をどうして覚えなくちゃいけないの?」と問われて、教師が答えに窮したというが作り話だろう。将来、見聞を広めるためには、どうしても丸暗記しなくてはならないことがあるのだ。

 ベルリンがドイツの首都と知らなくて、いきなり「ベルリンの壁」と聞いて意味が分かるか?まして、以前はドイツが分断されていたことになぞ、まったく考えが及ばないだろう。「首都の名前は調べれば分かる」んだったら、全部スマホで調べてくれ。飯の炊きかたから大化の改新まで!

※今日、気にとまった短歌

  大変だ金が要るとの電話切り浪費され行く頭脳を惜しむ (東京都)安川醇

法律はコンピュータに乗せやすいのではないか?人工的なルールだから

2015-08-26 05:29:21 | コンピュータ

(行列のできる法律相談所。テレビドガッチより引用。)

 2015-03-08 の記事で、法曹界がみずからの仕事をコンピュータに乗せる努力をしてこなかったと批判した。そのときは、裁判官の独立性から考えて、裁判までコンピュータで行うのは無理だろうと考えた。

 だが、そうでもないらしい。どんな裁判官が担当しても同じ判決が出るルーチーンな事件のほうが実は多いようだ。

 上の写真の番組で、弁護士ごとに違った見解が出るのは、わざわざそういう微妙な事例をもってきているからだ。弁護士にもルーチーンな仕事のほうが多いのではないか?

 法律は自然現象ではなく人為的に作られた「ルール」だから、本当はもっともコンピュータ化に馴染むのではないか?

 人体は自然現象でルールも複雑である。にもかかわらず、医学は多くの部分でコンピュータ化を進めてきた。いずれ、医者さえ要らなくなるだろう。(自己価値の温存という点では、コンピュータ化を怠ってきた法曹界のほうが利口かもしれないが。)


※今日、気にとまった短歌

  切れ切れの景色つないで春を見る新幹線の窓側の席 (岩手県)貝沼正子

自分の常識を誰もが知っていると思うなよ!

2015-08-25 03:37:03 | 社会

(カーオイルの値段票。Platina Drive のHPより引用。)

 生まれてから味噌汁なぞ作ったことがなかった。精神障碍者社会復帰施設に勤めていたころ、昼食の「味噌汁当番」が回ってきて、ダシの素はどれくらい入れたらよいのか女性スタッフに問うた。30人分の味噌汁である。

 彼女は「テキトーに」と答えた。「テキトー?」ってどのくらい?耳かきに一杯?スプーンで一杯?オタマジャクシで一杯?知りたいのは具体的な数字ではなく、大まかな単位なのだ。

 値段が上下する商品がある。そのだいたいの値段を問うて「値段は常に変動するから一概には言えません」と答える担当者はバカである。当方が知りたいのは大体の目安だ。1円単位なのか千円単位なのか、万円億円なのかということだ!

 自分がその世界での常識を分かっているからといって、相手も分かっていると思うな!と言いたい。



※今日、気にとまった短歌

  いざいくぞ決戦場は配膳台めざすはひとつあまりのプリン (都立鷺宮高校)森下央

戦争体験を伝えようと躍起になっているけれど

2015-08-24 04:32:48 | 歴史

(織田信長像。ウィキペディア「織田信長」より引用。)

 戦争を後世に伝えないと経験者がいなくなってしまう(だから、急いで伝えなくてはならない!)という声が多くなった。だが、伝え続けるのは無理な話だ。

 すでに第一次世界大戦のことを伝える人がいない。戊申戦争もゼロ。日清日露は文明開化後、初めての戦争だから、ある程度伝わっている。しかし、それは文書のみであり、言い伝えではない。(私の祖父は日清日露を傍観者として経験しているが、祖父からなにも聴いた覚えがない。)

 いずれすべて歴史の闇に呑みこまれる。織田信長はいまだに語られるが、東郷平八郎や野木希典をもう語る人はいない。

 思うに、織田信長はものすごくイヤな奴だっただろう。比叡山を焼いたり僧侶1,000人以上を磔刑にしたりした。明智光秀にやられても当然だ。なのに現代では英傑の一人となっている。

 歴史とはそのようなものだ。語り継いでもそのうちにタワケが英雄になってしまう。あるいは消える。このたびの戦争を語り継ぐのに、そう躍起になる必要はないのではないか?


※今日、気にとまった短歌

  またあいつ俺の授業で寝やがってくらえ必殺チョークミサイル (都立鷺宮高校)市川勝栄

山本夏彦の「変痴気論」

2015-08-23 04:48:37 | マスコミ
(中公文庫。)

 山本夏彦翁のことを昨日、語った。今日は翁のコラムで強烈に印象に残った一篇を挙げよう。

 それは「傘はほとんど凶器である」という題名のコラムだった。まだ、すべてのコウモリ傘の先が尖った金属製だった時代の話である。傘の先を危険なほどに尖らせる必要はないのに、傘メーカーは右へ倣えで、いつまでも傘の先を尖らせているという内容だった。

 私は唸った。以来、山本夏彦翁のコラムは全部読んだ。彼は晩年、日本橋高島屋だったかのポスターに、かっこいいお爺さんとして登場した。その後すぐに逝ってしまわれた。

 すでに何回か言ったと思うが、「院長のへんちき論」というブログのタイトルは、夏彦翁の本の題名のパクリである。翁はつねづね、世はパクリで成り立っている言われていた。オリンピックエンブレム作家のパクリなぞ、翁が生きていたら問題にもしないだろう。


※今日、気にとまった短歌

  担任も汽車の通路に雑魚寝して皆初めての上野に着きぬ (秋田県潟上市)高橋直美

鈴木茂先生(精神科医)の遺稿集が出版されました

2015-08-22 15:23:28 | 学術
   (金剛出版刊。)

 鈴木茂先生とは昭和50年に名古屋でお会いし、これまで公私にわたりお世話になりました。

 当時、名古屋には俊英(私を除く)が蝟集し、全国的に「名古屋学派」と呼ばれることもありました。鈴木先生はその筆頭でした。こんかい、あるかたのご努力で先生の遺稿集が出版され、精神病理学の名論文が散逸するのが防がれました。

 この本で、鈴木先生の単行本は5冊目になります。アマゾンで税込 6264 円で買えます。

(この記事は「へんちき論」の番外で、個人的なお知らせです。) 

夏彦翁曰く「それがパパづらかママづらか」

2015-08-22 05:52:38 | 歴史

(今年の帰省ラッシュ。毎日新聞 web 版より引用。)

 毎年のことだが、お盆に帰省した若い家族が、満員電車や飛行機で返ってきた様子をテレビが報道していた。幼な子が祖父祖母のことをジイジ、バアバと言っているのが異常に目立った。違和感がある。

 たぶん、父や母のことをパパ、ママと呼んでいることからの自然な発展型なのだろう。私の幼少期にも親をパパ、ママと呼んでいる子がいた。外国帰りなら仕方がないが、そうでない家庭でもパパ、ママと呼ばせている親がいて、子供心に違和感をもった。

 私が長じてから山本夏彦翁の「それがパパづらかママづらか」というエッセイに出会って膝を叩いた。違和感をもっている人間が自分以外にもいるのだと分かって「おお!」と思った。その後も夏彦翁は、私が言葉にできなかった違和感を次々と指摘するので、いっぺんに夏彦ファンになってしまった。

 夏彦翁の存命中には、まだジイジ、バアバという用語はなかったから、今度は私が「それがジイジづらかバアバづらか」と言わせてもらおう。


※今日、気にとまった短歌

  遊びにも緩急があり鉄棒に子供らもたれかかる午後四時 (仙台市)工藤吉生

天ぷら職人のワザ

2015-08-21 04:32:42 | 食べ物

(この天ぷらも美味くなかった。)

 天ぷらは、たいへん難しい料理である。だから、天ぷら専門の職人でないと美味しい天ぷらが作れない。旅館の天ぷらが美味しくないのは素人(別の和食職人)が作るからだ。

 ころもに妙に細かい泡が入っている天ぷらに遭遇したことはないだろうか?あれは格好だけ何とかするために重曹を入れるのだ。そういう天ぷらはむろん美味しくない。

 天ぷら職人がいない旅館や料亭で良心的なところは天ぷらを出さない。乗鞍高原の宿では2軒の宿が天ぷらを出したが、いずれも美味しくなかった。

 しかも1軒は熱いつゆを出した。天ぷらのつゆには、アツアツの天ぷらを冷ます意味もあるのだ。つゆが熱くては大根おろしが煮えて不味くなる。すきやきの生玉子にも肉や野菜を冷ます意味がある。天ぷらのつゆも同じ理屈である。(どうせ冷めた天ぷらなら、つゆが熱くても関係ないけどね。)

(天ぷらとウナギ両方をやっている店、寿司とウナギをやっている店は、どちらの技量も半端だから避けるべき!弁護士資格をもっている医者にもかかりたくないな。)


※今日、気にとまった短歌

  朝まだきおぼれるほどに柔らかなソファーのなかでくちづけを待つ (東京都)木村友

信州の名物料理

2015-08-20 06:14:27 | 食べ物

(イワナの塩焼き。)

 こんかいの信州の旅で初めてお目にかかった料理が2つあった。

 ひとつは信州サーモンの刺身。これは美味い。マスとサケを掛け合わせたものを海の無い信州で養殖しているのだそうだ。

 もうひとつは昔からあるイワナの塩焼き(写真)。川魚の塩焼きは珍重されるが、アユの塩焼き同様、私には「すごーく美味い」とは感じられなかった。1匹千円は高いのか安いのか?

 イワナの骨酒というのがあったので飲んでみたが、生臭くて美味くない。フグのヒレ酒に遠く及ばないと感じた。


※今日、気にとまった短歌

  あこがれた回転ドアーのあるホテルビルの谷間に小さく残れり (豊橋市)折目惠子

純国産ワインを切望する

2015-08-19 05:38:32 | 食べ物

(塩尻はワインの里だと主張している。乗鞍高原への途中で撮影。)

 多くのかたがた知っていることだと思うが、日本産ワインを自称している多くが中味は外国産である。フランスのワインは産地(ボルドーなど)がブランド化しているのに、日本の商標法では産地(地名)を登録するのはなかなか難しいらしい。

 上の写真は塩尻がワインの里であることを強調しているけれども、事実かどうか不明だ。本当に日本産のブドウを日本で醸造することにこだわっている見上げた業者もいるのだが、きわめて少数である。

 早くホンモノの日本産ワインが海外のワインに対抗できるようになってほしい。ワインはずいぶん安くなったが、まだ日本酒よりは高い。

 40年ほど前、パリのレストランで飲んだワインがものすごく美味いのに1本300円だったことが忘れられない。日本では1本5,000円から10,000円だった。

 そのときご一緒した現在では高名で外国語の天才と言われている先生が、フランス人ウエイターに「もう1本要りませんか?」と訊かれて、断るつもりでうっかり「ウイ(イエス)」と言ってしまい、もう1本出てきた。否定形で訊かれても、要らないなら「ノン」と言わなくてはならなかったのだ。おかげで、3人で3本空けることになり、全員へべれけになった。

 ご一緒したお2人の先生はその後、超有名国立大学の教授となられ定年退官されたが、いまでもお元気である。すごい先生方と1か月ほどヨーロッパを回ったのが、私の初めての海外旅行体験である。(だから妻が申し込むツアーの海外旅行がバカらしくて仕方ないのだ!)

(補遺:ブログを読んだ知人から、外国産ワインのビンは750mlなのに、日本でビン詰めにされると日本基準の720mlになってしまうのは不合理だとの指摘があった。まったく不合理なはなしだが、これまで気づかなかった!)


※10代を思い出して詠める

  小学校を一番で出て中学へ上には上がゐるを驚く (豊橋市)中里ひとし