(大阪拘置所。週刊金曜日ニュースより引用。)
私が精神科医になったばかりのころ、先輩が経験のためにと「拘置所鑑定」に連れて行ってくれました。私はまだ鑑定医の資格をもっていなかったので、本当なら拘置所には入れないのですが、先輩が拘置所に対して新人教育だと説明して中に入りました。初めて見る拘置所内でした。警察官が先輩に最敬礼するので、先輩が眩しく見えました。
精神科医の間では「拘置所鑑定」と呼ばれていましたが、それが正式の法律用語なのかどうかは知りません。とにかく、独立した鑑定医2名が拘置所に赴き、被疑者の精神鑑定を行うことを、そう称していました。
そのときに出てきたのは髭もじゃの青年で、器物損壊か何かをしたらしいです。2人の鑑定医は代わる代わる問診をして、30分もしないで精神障害者で入院が必要と診断しました。私にはどこが問題なのか分かりませんでした。
鑑定医2人のどちらの病院が患者を引き受けるかが相談され、そのときは相手の病院に引き取られました。これが現在でも存在する「措置入院」です。「措置入院」は国家権力による強制入院であり、本人はもちろん家族の同意も必要としません。(そのため医療費は国が持ちます。)
国家権力による入院は、もう一つ感染症法による感染症患者の隔離があるだけです。
※今日、気にとまった短歌。
パトカーに尋問されし朝散歩自分としては徘徊ではない (岡崎市)林建生