・・・前回の続き
道の駅米沢を出て、直帰するのかと思えばそうは問屋が卸さない。
出発して間もなく「峠の駅って行った事ある?」と聞かれて・・・
そりゃ何のこっちゃ? あるわきゃ無いだろう。
次はそこへ行くらしい。
まるで「ぽつんと一軒家」的な凄い林道をかなりの時間走って行って、辿り着いたのは・・・
何じゃこのボロ建屋は・・・
マツさんは現役の駅だと言い張る。
そんな訳ないだろう。
線路だって無い。
でも、その向こう側になんか近代的な架線がチラッと見えた。
とにかく中に入ってみる事に・・・
奥にはトラックが数台停まっています。
冗談で、「このトラック線路を走ったりして・・・」って言ったら、「そうだよ」って云います。
何云ってんだか・・・
えッ・・・
線路の上を走るための車輪が付いてるぅ~!!!
泥除けに「RAILWAY TRUCK」って書いてあるじゃん。
更にその奥に行くと・・・
え・・・駅じゃないですか。
突き当りはトンネルに直行してるし・・・
はぁ~?
ここは山形新幹線も走る「峠駅」だそうだ。
ただし、新幹線は通過するのみで一日数本しか走らない在来線が停まるのみ。
昔は山越えのため、スイッチバックでしか進めなかったらしく、あの建屋はスイッチバックをするための引き込み線で豪雪から線路設備を守るための設備だったらしい。
今は不要になったものの、未だに原形を留めているそうだ。
この駅は、周囲に集落も無く集落の人の乗降のための駅と云うより、スイッチバック施設の運営のための駅と云うことなのでしょう。
新ためて戻って周囲を見えれば昔の標識がありました。
その奥には「峠の力餅」のお店が・・・
マツさんがここの力餅(大福らしい)おいしいと云うので、食べてみる事に。
柔らかい餅にあまり甘くないあんこが入って、とってもおいしかった!!
私は一口でペロリ。
女将さんと話をしていると沢山の昔話を聞かせて頂きました。
ふと店内を見れば写真と勘違いするような油絵がズラリ。
どれも秀作ばかり。
昔のSL時代の峠駅付近を遠巻きに描いた作品で、1mくらいの大きさの大作。
これは秋の紅葉時期の駅を描いた作品
そして冬・・・
あれ? 「我家T・K画」って書いてある。
もしかして・・・
「この素晴らしい絵画の数々は誰が書いたんですか」と聞くと、女将さんの旦那様でした。
昔はこのお店で力餅を作って駅弁として列車が停車する度に売っていたらしい。
新幹線が走るようになり、スイッチバックもしないで済むような車両が登場してその設備保守に関わる多くの作業員も居なくなって今では単なる無人駅と化してしまったそうだ。
これがその最後の写真なんだろうか・・・
時代と共に変化して行く風景がここにあります。
なんか、NHKのドキュメンタリードラマを見ている様な気になりました。
駅前にはレジャー宿が2件程あって、少し離れた所には温泉宿が一軒あるらしく今ではそこのお客さんが乗降客として利用しているのかもしれませんね。
ただ、冬は3mもの雪が積もるそうです。
これで終わりかと思えば・・・
更にその先林道をかなり走って国道に戻ったは良いが、大滝集落を見て行こうと云い出して昭和時代までの旧国道だった荒れ果てた宿場町を目にして来ました。
あまりに朽ちた街並みは見る影もなく家も倒壊して屋根が地面に着いた状態でした。
車一台がやっと通れる道に昔の人が行きかう情景を見た気がしました。
そしてまた国道に戻って帰ろうと走り出して間もなく、またその先の旧道に入ったのですが、先程の峠駅の福島寄りの駅を通りがかった時に列車が通る音が・・・
マツさんがあれは多分下りの新幹線で、あと5分もすれば登りの新幹線が来るはずだと・・・
車を停めて急いで駅に向かいました。
ここも在来線が停まる駅で新幹線は通過。
間もなくして無人の大沢駅から飛び出して来た山形新幹線が出て来ました。
この駅も峠駅同様にスイッチバック駅で、駅構内に行くのに同様な雪害用の建屋の中を進んで駅のホームに行きます。
なんか、凄い情報量の多い旅になり、タイムトラベルまでしてしました。
マツさん、ありがとうございました。
家に帰って、米沢で買った焼肉弁当を広げました。
想像どおりのおいしいやつ。
期待を裏切りませんでした。
連載完。