あのー、パソコン使いたいんですけど。
「‥‥‥」
テーブルの上で、ひときわ光り輝くスピカ様。
そのおみ足が踏みしめているのは、わがノートパソコン。
それ、かとうて、おいど痛おまっしゃろ ?
「‥‥‥」
うぐぐ、おぬしいつから難聴になったんじゃ~。
「‥‥‥」
今年はもう会われへんのかなあて、
諦めかけてたヒヨドリさん、アマガエルちゃん。
ちょっと時期が遅なっただけで、ちゃんと来てくれた。
もう~、心配してたんやから~。
てへっ。
ちいこいな~。だいじょぶか~ ?
へぇ、おまっとうさん。
で、スピカ見た。
きょうも、えらい端っこで寝てる。
これは、スピカの癖やと思てたけど、(「もたれ寝」)
スピカって、ちっこい「いち」にいっつもセンター取られとったやん。
スピカおっきいくせに、いっつも遠慮して隅っこに寝とった。
ということは、
なあ、スピカ、
そこ、
「いち」ちゃんおるんか ?
そうゆうたら、
前からこうやったわ、確かに。
大抵何かに寄りかかってるわ、スピカ。
冬の間、下半身もマットの上に載ってること多かったから、
私が気ぃつけへんだけのことやったかも。
暖かなってきたら、
おーい、おいど冷えるでえ。
ありゃりゃあ。
ほとんどはみ出てまんがな。
たまにベッドに入ってる思たら、
むにゅにゅにゅにゅ~。
スピカ ?
肩痛いの、ひどなってきたんやろか。
「上げて」アピールがこのところ激しいスピカ。
「上げて~」
お世話係の情に訴えるまなざしでアピール。
今まではこの後、
こうか (寄りかかって腕ブロック)、
それとも、こうか (あらゆる作業は、自分を撫ぜてからでないと不可能状態にする)。
ところが最近のスピカさま、
テーブルの上で、
な、何 ? 虫でもおんのん ?
おーい、止まってるでえ。
ち、近いんですけど‥‥。
うちの猫たちは完全室内飼い。
キャリーに入って獣医さんに行く以外、家の外に出たことない。
そやから、私が一生懸命耕してる畑を「いち」もスピカも見たことない。
お骨になった「いち」の、小さな胸の骨をカプセルに入れた。
首輪につけてたネームプレートと一緒に、家の鍵のホルダーにくっつけた。
そのカプセルに入った「いち」をこないだ、畑に連れて行った。
「いち」、初めての畑見学。
この日は、サツマイモツル植えた。
紅はるかと鳴門金時、合わせて50本植えた。
「いち」が亡くなった。
私の月光仮面の一人が、おらんようになってしもた。
先週末、息があまりにも辛そうやから、動物病院に電話相談した。
今、車無しで通院は大変なんやけど、
レントゲンとかは往診では無理。
月曜にバス、電車、タクシーを乗り継いで連れて行った。
レントゲン撮ったら、胸の中に液体がいっぱいたまってる。
いろいろ相談した結果、この液体を抜いてみることになった。
途中で処置室に呼ばれると、先生がぐったりした「いち」に心臓マッサージしてはった。
名前呼んでるうちに「いち」は息吹き返した。
それから、
「いち」を家に連れて帰ることにした。
またタクシーやら電車やら乗り継いで、
やっと家にたどり着いてキャリーから抱き上げた途端、
大きな息2~3回して、
それが最期やった。
体、悪いのはわかってたけど、
ちょっと急すぎた。
スピカも、
箱の中に横たえた「いち」のこと、
なんや呆然と眺めてる。
お骨になるまでの二日間、
保冷剤替えながら、「いち」にいっぱい話しかけた。
「おかちゃ、お掃除頑張ったやろ ? 見ててくれた ?」とか、
「梅とってきたで。今年はちょっとちっこいけどな」とか。
これまで「いち」に言うたことないようなことまで、
「いち」の頭撫ぜながら話しかけた。
スピカがぼんやりしてたように、
私もぼうーとしてて、
「いち」が亡くなったゆうのに、
青梅採りに行ったり、
杭欲しいゆう知り合いが軽トラに杭積み込むの手伝うたり。
何かするたんびに「いち」に声かけて頭撫ぜて。
「いち」はお骨になった。
これまでに亡くなった猫二匹は、火葬だけお願いしてお骨は残さんかった。
今回、数年のうちに引っ越しを考えてるから、お骨にして連れて行こうと思うた。
もう姿がなくなったのに、やっぱ同じように、
しょうむ無いことあれこれ、話しかけてしまうなあ。
広うなったストーブ前で、
スピカがなんか、しょんぼりして見える。
いつ届いたんやったか。
もう忘れてしもたくらい前に届いてたワクチン接種券。
国からの供給予定連絡がないゆうことで、
長い間放ったらかしになってた。
それが、こないだからなんか急に菅総理が発破かけだして、
あたふた動き始めた。
ワクチンについては賛否両論ある。
できることなら余分なもん体の中に入れとうないし、
針刺されるのもいややし。
けどなあ。
もし私に何かあったら、この方たちはどうなる ?
このあたりにペットシッターなんていてはれへん。
かかりつけの動物病院に頼むにも、ケージの中で長期間暮らすには歳とりすぎてる。
自分が新型コロナに感染するかも、とか、
けどワクチンは危ないかも、とか、
そーゆーこといろいろ、不安ないわけやないけど、
なんしか今一番心配なんは、
このおふたかたのお世話するもんがおらんようになったら、ゆうこと。
我が家ではさしあたってこれが一番大きなリスク。
せやからお世話係を務めさせていただいてるわたくしといたしましては、
とにもかくにも、
ワクチン接種は申し込まねばならぬであろう。
なあ、「いち」ちゃん、スピカちゃん。
「うりゃうりゃうりゃ、うりゃあ~」
「うがぁぁぁ~」
ご、ごらあーっ。聞いとんのかーっ !
「ちょっとちゃぷい。いちも入りたい」(「いち」)
「すんまへんな、満員でおま」(スピカ)
「は・い・り・た・い」
「ま、満員やっちゅうのに」
「は~・い~・り~・た~・い~~~ ! 」
「無理、むり、むり、むり」
「あ、入れそ、入れそ」
「あーれー !」
「入れたやん。な、入れたやん」
「むぎゅうーっ」
「極楽、ごくらく♪」
「ぐ、ぐるじい‥‥」
わが国で、乳製品を作る会社はいくつかある。
その中で、ある会社の製品を私は一切買わへん。
20年ほど前からずーっと。
その会社名を仮に「A社」としよう。
20年ほど前、そのA社、衛生面でえげつない「ずる」をした。
知らんとそこの牛乳飲んだ人らが中毒してもたんやね。
そのこと自体許されることやないんやけど、
私が「おえーっ」と思たんは、その「ずる」とは別のとこ。
あれは、以前そこの工場でバイトしたことあるゆう若者の話やったかなあ、
なんしか事件に関するTVインタビューで、
従業員のおっさんがそこの工場で作ったパック牛乳何口か飲んで、残りを製造途中の牛乳の中に捨ててるって。
その話が嘘かほんまかはわからん。
わからんけど、
やりかねん、て思わせるようなこと、当時のA社は会社ぐるみでやってた。
以来、チーズもバターもヨーグルトもお菓子も、
A社のもんは、なんぼ安売りしてても買わんことにした。
ところめが、ごく最近、その方針をちょこっと曲げなあかん事態が生じた。
ヨーグルトが品薄なんやろか、
生協宅配でヨーグルトの安売りがなくなったんやね。
あっても、結構ええ値段のまま。
で、しょうことなしに、唯一安売りしてたA社のヨーグルト注文してみた。
うちは毎朝スピカにもヨーグルトお出しする。
便通改善に効果あるかと思て。
けどなんかここ数日、ヨーグルト残しがちやなあと気になってはおったんよね。
先日、とうとう全然口付けんままのを発見。
あれーっ ? て思て、
その時になって初めて、ここ1週間ほど、A社のヨーグルトやったこと思い出した。
私は、特になんとも思わんと食べてたけど、
なーんも知らん、しかも普段全然好き嫌い言わへんスピカがこれだけ拒否するいうのは‥‥。
ただ単に、たまたまスピカの舌に合わんかっただけのことかもしれん。
けどやっぱやめとこ。
多少割高なんはこの際諦め、
これまでどおり、A社以外の中から選ぶことにした。
その結果、
完食。
よかった。
相談なしに銘柄替えて申し訳ありませんでした。
うちの二人のお姫さま。
「いち」姫さま。
獣医さんの上得意。
「この子、もうあかんかも」て、おかちゃに2回諦めかけさせた。
こちらスピカ姫さま。
「いち」と多分同い年、同じく三毛の雌。
けどなんか、なんでかなー、
スピカって、妙におっさんっぽい。
今日も今日とて、ストーブの前でおくつろぎ。
正面に回り込んでみたら、
ほら、
これは姫さま座りやのうて、
「苦しゅうない、近こう寄れ」の
殿さま座り、じゃないでしょか。