秋 ?
えらいまた急にやなあ。
思わず文句言うてまうくらい、
スコッと気温が下がった。
こないだなんか、霙(みぞれ)まで降りましたでえ。
うちの庭の生き物たち、植物も動物も、それなりに冬支度。
結構慌ててるんちゃうかなあ。
ブルーベリー、紅葉きれいやん。
ジューンベリーは、これ、紅葉終わった後か?
それともこれから紅葉するんか?
トレーで育ててるリーフレタスと葉大根。
春は、摘んでもあとからあとからワッサワサに伸びてきてた。
今、摘んだらそのまま。
土が見えてきてる。
あいたプランターにしがみついてる赤とんぼ。
おーい、だいじょぶか~。
「へえ、な、なんとか‥」
おんもに居る子ぉら、これから大変やねんで、スピカ。
「あてかてこれから、ストーブ番で大変でおます」
‥‥そ、そうでしたな。
いきなり
毎年びっくりするんやけど、
この村の秋、なんでこんなに短いんや。
あー、朝晩肌寒なってきたなー、
思てたら二、三日でストン、て冬やねん。
ついこないだまで、汗だくで畑の草刈りやってたんが、
いきなり寒なって、
私の手ぇも、
出てきましたがな、レイノー症状。
これ出てきたら、
冬に向かってまっしぐら。
大根も、のんびり間引きしながら様子見てるバヤイやない。
そろそろ畑からひいてきて、干し大根作り始めなあかん。
イノシシにやられて、せめてイモツルだけでも、て埋め直したサツマイモ。
もう大きなるの待っててもあかん。
ツルも黄色なってまう前に刈り取らんと。
エンドウの畝も準備しとかな。
あー、忙し、忙し。
言いながら、脱穀中の鞍掛豆に見入ってしもた。
ほら、
なんか、
こっち見てるみたいやし。
初点火
一年で一番の日ぃや、一番の日ぃやてほめたたえてた、
その舌の根も乾かんうちに、
11月中旬ですとー ?!
ひと月も先の気温かいな。
どこで寝転んでええか、うろうろしてるスピカさんのため、
灯油ストーブ、今シーズン初点火ー。
「Yes !! こここそわらわの居場所」
こういうの、いっぺん点けたらもうあきませんな。
夜は夜とて、
湯たんぽ入れてしまいましたがな。
秋のお彼岸の頃、つまり9月下旬。
この村では、この頃が一年中で一番気持ちええ。
その気持ちよさゆうたら、
「あー、今日や。今日がその日ぃや」
て、ビビビッて感じるくらい。
せやから毎年、この頃が楽しみやった。
今年も秋のお彼岸の頃、やっぱり気持ちええ天気やった。
そやけど、なんやねん今日の天気は !
見てよ、この空 !
いっぺんお終いになりかけた葉大根もリーフレタスも、
いつの間にか復かーつ !
試し刈りした秘伝豆、鞍掛豆は、
機嫌よう秋風に揺れてるし。
大納言小豆はお陽ぃさんいっぱいに浴びて体乾かし、
乾いたら実ぃだけになって仕上げの陰干し。
それにしてもええ天気や。
カメムシさんまで日向ぼっこに出てきはったやん。
大豆も小豆も洗濯もんも、
我先にお陽ぃさん独り占めしても、
今日のお陽ぃさん、なんぼでもあるでー。
よしず半分巻いて、部屋ん中にもお陽ぃさん入れよ。
スピカにもお陽いさんのお裾分け。
今日は下の婆ちゃん、デイサービスやろか。
トタンの戸、バタンバタンいわへん。
びっくりして飛び起きんで、ええなあ。
よかったなあ、スピカ。
一年で一番の日ぃ。
今年は2回もあったなあ。
あ~あ
夏の間、居間にしてる離れの窓に、三枚立てかけてる「よしず」。
台風14号が来るいう時に、納屋に取り込んだ。
台風が行ってもて、もうこのまましもとこか、思たけどやっぱり晴れた日ぃの昼間は暑い。
で、一枚だけ立てかけた。
目隠しにもなる。
庭の柿の木、
ブドウの房みたいに実ぃついてる。
空は、
わあ !
クラゲの群れみたいや。
空が水族館になってる。
なんかしらん、
秋やなー。
ということは、
もしかして、
あーっ !!
見てみいな、
田んぼ、茶色なってきてるやんか。
毎年この時期、狭い前庭はお陽ぃさんに当てられる収穫物でいっぱいになる。
タカキビ
秘伝豆
大納言小豆
紅はるかと、紅乙女
石川早生
それとこれは、干してるわけやないけど、試しに抜いてみたポットン植えの下仁田ネギ。
へたくそな私の手ぇにかかっても、健気に育ってくれた作物たち。
ありがたいことです。
春から初夏に向かう頃、
夏から秋に入る頃、
カメムシさん、年二回出動する。
けど今年の秋はカメムシさん、困ってんのんちゃうかなあ。
すわ!ってんで出てきたら、直ちに寒なって撤退。
思てたらまた温いの戻って来て、あれえ? と再出動。
なんやかんや、これで再々出動くらいですわ。
回を重ねるごとに、数がだんだん減ってきてる。
「もう…」
とか言いながら網戸に張り付いてんのか? ひょっとして。
これ、栗の木よねぇ。
去年も一昨年もこの木ぃの下にイガ栗落ちてたんやけどなあ。
なんで今年は…て思いながらそのあたり覗き込んでみたら、
なんや、あれ。
あんなとこにあんなでかいキノコ、いつから生えてたんやろ。
おまけにあの木ぃ、リスのおうちみたいな穴、開いてない?
森みたいや。
この村にもこんなとこあったんや。
田んぼがどんどん黄金色に染まっていく。
ああ、それなのにそれなのに。
とうとうその時がやって来た。
稲刈りが始まったんや。
稲刈り終わった後、田んぼは茶色っぽうなる。
これ、好きちゃう。
言うても仕方ないけど。
これから村の田んぼはどんどん茶色なっていく。
仕方ないけど。
あとは、
村全体、白一色で覆われる日ぃを、ひたすら待つしかない。
ちびたい、さぶい、けどどっかワクワクする冬ごもりの日々を、ひたすら待つしかない。
近づく秋
この村、そんなことあれへんで。
暑い思いしてはる街の人らには申し訳ないけど、水道の水、ちびたいて思う朝もある。
6月下旬の村の田んぼ。
で、今の田んぼ。
ちょっと黄色なってきてるもんなあ。
「籾の受け入れ日」がケーブル放送で流されてる。
この村の秋は、ほんま、ストンとやって来んねん。