グッ、パー

雨もひどく降るとさすがに畑仕事はお休み。
いつもは別の部屋で昼を過ごしているスピカが、おかちゃの膝に乗ってくる。
ゴロゴロ喉を鳴らしながら、前足を開いたり握ったり。


グッ。


パー。


グッ。


パー。

スローテンポ

今年は雨続きで日照不足。獣害もいつになく激しいらしい。
ただでさえ他の皆さんよりワンテンポ成長の遅い自然農。
それでも8月に入ると作物たちは、早よ大きなろう、早よ実ぃつけようと頑張り始めた。
それなりに頑張ってくれてるわが畑のメンバー達。
今回は上の畑篇。


空芯菜。やっと葉の形がそれらしくなってきた。


サラダごぼう。ごぼうは初めての挑戦。葉っぱもええ香りがする。


マクワウリ。だ、誰や、ガシガシ齧ったのは。

こっちは葉っぱの陰でガシガシから逃れられてる。


丸サヤオクラ。去年は冷凍保存して、野菜のない冬の間お世話になりました。


カボチャ。まだちっこい。直径5～6ｃｍ。


地這キュウリ。今年、中の種が異様に硬い。スプーンで種削って食べてる。


伏見甘唐。去年重宝したから今年も期待してたのに、苗の半分は鳥かネズミかにやられた。


冬瓜。これも初めての挑戦。こんなひょろひょろしてて、あんな大きな実ぃなるか？


茶枝豆。去年、おいしかったなあ。香りもよかったなあ。

このほか、上の畑では落花生、秘伝豆、小豆、水稲うるち米のイセヒカリが成長中。
寒ならんうちに大きなってくれたらええけど。

ムリムリの竹

最近、おかちゃは守られてる。

畑から戻って、道具類を家の中に取り込んだ途端にどしゃ降り。
大きな蜂やアブが庭をブンブン飛び回ってても、なんとか刺されんとすんでる。
きょうは一人でいたいなという日、婆ちゃん達の誰にも会わんとすんだ。

誰やろ。誰かがおかちゃのこと守ってくれてる。

上の畑の裏山に、そこだけ竹がぽっかり生えてる。
時々風に揺られて、うんうんって頷いてるんよね。
あれ、ムリムリが見ててくれてるのかな。

映画会

毎年1回か2回、役場のすぐ隣のホールで映画会が開かれる。
先日は「永遠の０」が上映された。



主だった俳優陣が美男、美女のせいか、戦争というテーマがちょっと薄れてしもたんちがうやろか。
下手すると戦闘機乗りに憧れる若者が増えるんちゃうやろか。

今年は春に「少年Ｈ」が上映された。
おかちゃ個人的にはあっちの方がよかったかな。
原作読んだ時から気に入ってたし、映画も戦争の愚かさ、大人の狡さがよう出てたと思う。

やっぱ、きれい

今年、この村の農作物は散々らしい。
ジャガイモがアライグマだかヒャクビシンだかにやられ、サツマイモもまだ若いうちに掘り起こされ、今はスイカ、メロンがイノシシに食い荒らされている。
妙に雨ばっかり続いて日照時間も少ない。
トマトやナスの実がなかなか大きならへん。
おかちゃなんかは自分が食べる分だけ収穫できたら御の字やけど、産直店に出荷してる人達は困ってる。

我が家は雨漏りがまたあちこち始まり、天井の音に耳すます毎日。
けどねえ。
雨が止んだ後のこの村の景色。
なんか、稔り悪いのも雨漏りもまあええか、てな気になってくる。

支える

台風前、秘伝豆の摘芯と倒伏防止用の紐張りをしておいた。



麻紐はちょっと緩んでたけど、倒れてしもた株はなかった。

けど、金ごまの中には茎の根元から折れてるのが数本。
まだ小さいから大丈夫かもと後回しにしてて時間切れとなったもの。
ごめんね、ごめんねと、遅ればせながら紐を張る。



ゴマを育てるのは初めてなので、これでええのかどうか…。

台風の風雨に洗われた後、植物の色彩はくっきりと鮮やかになる。
サルスベリの花も、ほら。

台風通過中

台風11号が各地で猛威をふるっている。
被害を受けた方々には申し訳ないけど、おかちゃは台風がそれほど嫌いじゃない。
まず第一に、外をうろつく人間がほとんどおらへん。
雪の日が静かで心落ち着くのとおんなじやね。

うちのすぐ横の山は岩肌むき出しで、いつ崩れ落ちてもおかしない。
我が家は築後100年近い古家なので、なんぼ修理してもろてもあちこち雨漏りする。
その二つのことにさえ目ぇつむったら、台風も結構ええもんや。

けど、この台風が行ってしもたら、せないかんことがきっといっぱいある。
防獣ネットや支柱がなぎ倒されてるかもしれんし、ゴマや豆類もこけてるかも。
それに、アライグマ、ハクビシン対策として、台風直前に設置した竹酢ボトル。



雨が吹き込んで薄まってへんかなあ。

どこの子や

ムリムリの一件でかなり後悔し、とり急ぎ車を買うた。
買うなら電気自動車を、なんて最初は思うてたけど、あまりの高さにギブアップ。
安い中古のガソリン軽で手を打った。
なんせ２５年ぶりくらいで握るハンドル。
おっかなびっくり走り始め、３０ｋｍほど離れた獣医までの道順を調べ…と、やっているさ中。

猫が一匹、現れた。
夜中、うちの猫どもを誘い出すかのように啼く。
懐中電灯で照らしてみると、



割と大柄な茶トラ。
毛並みはきれいで、青い首輪もしてる。
えーっ、あんたどこの子や。どっから来てん。
人んちの猫やったら勝手に保護するわけにもいかず、かといってうっかり罠にかかったらまたムリムリみたいに殺されてまう。
もう三晩連続。
隣の婆ちゃんは生きもの大嫌いやねん。
しらんでぇ。村中で罠かけられるでぇ。
どないしたらええねん。

つんつるてん

村の人たちは草が大嫌い。
年寄りが増えて田んぼも畑も放りっぱなし、とか言いながら、毎日どこかで草刈り機の音が響いてる。
婆ちゃんたちは毎朝庭にしゃがみ込んで、目の敵のように草をむしり取ってる。

おかちゃに畑を貸してくれている婆ちゃんも、年一回、草刈りを人に頼む。
畑、自分ち、周辺の土手を、草刈り機で全部刈ってもらう。
トタンを使ってない私の畑は、足元の草が目隠し代わりやねんけどな。
てなこと言っても婆ちゃんには通じない。
畑を貸してもらってる手前、草刈り代は割り勘になる。





青々した夏らしい色が残ってるのは、自分の畑の中だけ。
この時期、畑に向かうのがちょっと気ぃ重い。

けど、ここ二、三日雨続き。
今週もぐずついた天気の日が多いとか。
こんだけ雨降ったら草もまたすぐ伸びてくるか。