あー、晩のうちに降ったんやなあ、
こないだの年末年始並みの雪になるて、
天気予報ゆうてたもんなあ。
で、左に首巡らせてみたら、
ん?
雪の上のあの筋はなんや ?
表に出てみた。
カーポート下に放ってた、脱穀した後の秘伝豆の枝。
その周りを何者かがぐるぐる歩いたらしい。
えーと、これは‥‥、
鹿さん ?
うん、鹿さんやわ、きっと。
カーポートの下通って、外の道へ。
鹿さんて、足あんまり上げんと歩くんか ?
夜の間に何頭かで連れもて来て、
残ってるお豆食べてんのかなあ。
夜中、窓の外で時々、ガサッとかコツンとか、
かすかな音することある。
あれ、鹿さんやったんか ?
まだ脱穀しきれてないお豆、
早よ脱穀して、残りの枝お出ししとかなあかんなあ。
天気悪い日ぃや、夜の間、洗濯もんは家の中に干す。
家の中ゆうても、納屋やらトイレやらをひと囲いにした通路みたいなとこ。
こういう造り、この辺ではよう見かける。
昔、トイレや納屋は、家から離れてポツンと外にあった。
それでは寒いし不便やし、ゆうんで簡単な壁と屋根取り付けて、家とひと続きにしたんやね。
ここに引っ越して来た時、
冬の夜中、布団の中で寝てて寒うて目ぇ覚めた。
なんでや思てよう見てみたら、壁と柱の間、窓枠と壁の間、そこらじゅう隙間ある。
家の中でさえこんなんやから、あとから囲うた通路なんか言わずでもがな。
裏口に通じるドアと屋根、
くっついてへんやん。
斜めになってる隙間、石やら木ぃやら詰めてふさごとしてるんやろけど、
どうせならもうちょっとうまいこと割りいや。
こないだの雨の日、干してあったタオル取ろと、梁に下げてあるタコ足に手ぇ伸ばしたら、
ドタドタドタッて音して、何かが梁伝いに走り抜けた。
へっ !
て思て、ついつい、
ごめんっ !
てゆうてもうたんやけど、
あれはなんやったんやろ。
羽音はせえへんかったし、かなり重量感のある音やった。
音が去った方向見ても、もうな~んもおらへん。
そう言や、この家の前の持ち主、この通路の中で狸が巣ぅ作っとった、て言うてはったなあ。
ほんまもう、「ご自由にお入りください」状態やなあ。
まったく、よう降るなあ。
降ってはやみ、降ってはやみ。
「秋の長雨」が、今年は8月に来てる。
最近は台風も6月頃から来たりするし、
季節が1/4周りくらい早めにずれてきてるみたい。
8月やゆうのに、朝晩寒い。
家の中でも長袖上着いるし、
靴下履いとかんと足ちびたい。
下手したらストーブ焚かんといかんかと思う朝あるくらいや。
長雨の湿気だけやのうて、低温も影響してるんか、夏野菜の実りが悪い。
毎年採れすぎてそこら中に送ったりもろてもうたりしてるオクラ、キュウリ、トマト、
今年は私一人でも足らんくらい。
こないだ畑行ったら、
あれえ ?
ありゃりゃりゃりゃ。
サツマイモの3畝、一株残らず掘り起こされてる。
今頃掘ったって、イモなんかほとんど太ってなかったやろに。
それでも食べ残しがあんまり見当たらん。
丁寧に丁寧に食べたんやねえ。
骨折り損のくたびれ儲けやったんちゃうか ?
どちらさんかしらんけど、
あんたらも、この雨で苦労してるんやねえ。
掘り上げた根っこ、また埋めといてみよか ?
もう一回くらい、お芋ついてくれへんやろか。
せめてあんたらのおやつ程度にでもなってくれたらええのになあ。
あとちょっと、あとちょっと、て見て見んふりしてるうちに、
畑と言うより、原野みたいになってきたからしょうない、草刈り開始。
で、これまた今まで見て見んふりしてたもんが気になってきた。
モグラさんの穴。
あっちこっち、いっぱいある。
モグラは、なんせ食べ続けてないと餓死してまうらしい。
ある意味気の毒な生き物かな。
穴に落ちてくるミミズとか虫とか食べて生きてるらしいから、そら、穴いっぱい開けとかんと。
けどねえ、土の中トンネル掘りまくるもんやから、野菜たちの根ぇ切れたり浮き上がったり、
見てみいな、ツタンカーメンちゃん、枯れてこけてもてるやん。
どうにか助かった子ぉは、ほら、
花つけ始めてるやろ ?
あたら若い命を、ほんま。
ほどほどにしといたってや。
今度また雪降るまでに、天窓部分の雪下ろししとこと思て、裏に回ってみた。
あら、誰か屋根の上通ってったんや。
これは、どちらさん ?
足揃うてるから、ウサギさんかと思うたけど、
調べてみたら、ウサギさんはこんなんやて。
左右の前足が前後にずれて着地して、その前足を後ろ足がかぶさるように追い越していくらしい。
この写真の場合、ウサギさんは画面右下から左上に走ってったんやって。
うちの屋根通ってったん、ウサギさんやないなあ。
ほな、ひょっとしてこれか ?
テンが、全力疾走の手前の、そこそこ走りくらいで通ってったんちゃうやろか。
ネズミさんやったらしっぽの跡がつくらしいし、
ハクビシンやったらもうちょっとドスドスパラバラゆう、ものものしい感じになるみたい。
そうかあ、昨日の晩、テンさんがうちの屋根の上、走ってったんかあ。
知らんけど。
ま、そう思とこ、思とこ。
(すみません、足跡の写真や図、勝手に使わせてもらいました)
うちの庭から見渡せる畑。
そこ借りて耕作してる男の人が、こないだ嘆いてはった。
「見たってや、あのカボチャ!」
「葉ぁもなんもかも食いつくしよって」
え? どれどれ。
一番左の黒マルチかけてあるのがカボチャ苗を定植した畝らしい。
ズーム、ズーム、ズーム。
おお、なるほど。
ずんべらぼんや。
右側の畝にぼこぼこあいてる穴。
大きいし、イノシシか? それとも熊の足跡か?
「鹿やがな」
男の人は言う。
「こないだ植えといたホウレンソウの苗も全部いかれてもた」
この畑から溝一つ越えたらうちの裏庭になる。
猫の額ほどの裏庭、
念のため確認してみたら、
あらら、フキの葉っぱ齧られてる。
あく強ないか?
なんでも食べんねんな、鹿。
ちょっと小学校行って、「好き嫌いはあきません」て、子供らに教えてきたったらどや?
朝、庭見たら、なんかおかしい。
ぼこぼこ穴あいてるんちゃう?
イノシシはこんなお上品な掘り方せえへんゃろし。
アナグマの類が両手で掘ったようにも思えん。
となると、
鹿さん?
うっそーーー。
会いたかったなあ。
朝、うちのすぐ下の畑見たら、
畝の上に点々と‥‥。
あれ、
誰か歩いた跡やよなあ。
鹿さんかしらん。
こんなそばまで来てたんやったら、
ひと声かけてくれたらよかったのに。
あれ以来、猿さん現われへん。(クリック)
無事、山へ帰ったんかな?
水が少ななった田んぼ。
あら、誰かここ歩いてったんや。
お猿やないなあ。
いっちょ前に肉球ついてるやん。
けど爪伸びてるんちゃう?
よかったら今度切ったげよか?
去年までは2羽やったこの村のカラス。
今年、もう2羽増えて、
いつの間にか6羽くらいが飛び回ってる。
あれは遊んでるんやない、いっつも小競り合いしてるみたいやな。
屋根が後ろの道とおんなじ高さになってる我が家なんか、格好の合戦場。
カラスって割と体重あるみたいで、ドスン、バリンって、天窓なんか破れそうや。
この子なんか、ほら、
朝からずうっとこの火の見櫓の上。
今までずっとおった子ぉとちゃうみたい。
あんた、なんか痩せてんなあ。
胸の毛ぇそばだってんのは、誰かに突っつかれたんか?
時々、あっちの方に向けて、必死で啼いてはります。
そんな大きな声出したら、余計お腹すくで。
干してある布団や洗濯もん、いったん取り入れとこ、
思て昼過ぎ、畑から戻った。
ほいほいほい、
なんも考えんと物干し台に近づいたら、
そばの柿の木がゆさゆさ揺れた。
え?
見上げたらなんと、
あれれ、お猿さん。
こんなすぐそばで野生の猿見ることあんまりない。
きれいな顔や、まだ若いお猿やねえ。
なんかこの子、やたらくつろいで、
木ぃの上で寝そべって、お尻掻きながらなんかもぐもぐ食べてる。
んで、時々遠くの方眺めたりしてる。
そのうち下に降りてきて (おいおい)、
こぼれてる大豆か何かポリポリ食べて、
人間にお尻向けてやたらゆったりモードにひたったり、
かと思うたら、急に物思いにふけったり、
屋根瓦の上、歩いてみたりもして、
結構満足そうに帰って行かれました。
けど、帰るて、どこへ?
気ぃつけて帰りや。
撃たれたりしいなや。
いっつもお腹しか見たことなかった。
それが、こないだ、
あ、あんた、お目め真っ黒なんや。
こないだから、屋根裏ドスドス歩き回ってる奴がおる。
イタチ類より大きいて、ちょっとどんくさそう。
なんやろ、なんやろ。
ゴソゴソ外に出て行く気配。
大急ぎで私も外に出てみたら、
あら、あんたやったんか?
男の子か? 女の子か?
もうおひとり、
しょっちゅう現れるお方。
お引き取り願っても、
お引き取り願っても、
懲りずにまたやって来られます。
これからいよいよ台風シーズン。
まあ、仲良うやりましょか。