電話は苦手。
苦手というより、嫌い、ゆうた方がええかも。
この村に越してきた時、婆ちゃんたちから電話番号聞かれた。
電話ありません、言いたいとこやけど、そしたら家に直接来られるだけの話。
しゃあない、町内だけでしかつながれへんケーブルの電話番号を教えた。
どうでもええ電話ばっかりかかってくる。
「明後日の掃除、行くんか?」
「灯油缶、家の中に入れてくれんか」
「白菜刈って畑に置いとるの、家ん中に入れといてや」
「ゆず、早よ獲らんと昼から雨やで」
「早よ来てーっ。今、餅ついとんや」
この辺の婆ちゃんは、人にもよるけど、目茶苦茶人使い荒い。
若手が後始末することを前提に事進める。
「してくれる」やない、「して当たり前」ゆう考え方。
風邪で熱っぽい、くらいでは許してもらわれへん。
「今はちょっと…」言うても、「なんでや?」婆ちゃんはそう返してくる。
電話が鳴ったらびくっとする。
今は通話料タダのケーブル電話。
今年やったか来年やったかに、廃止になるんやて。
ほんなら携帯の番号教えなあかんのか?
ぞっとしてたら、携帯の充電口のカバー、ちぎれ落ちてもた。
あんたも、いやなんか?