天気悪い日ぃや、夜の間、洗濯もんは家の中に干す。
家の中ゆうても、納屋やらトイレやらをひと囲いにした通路みたいなとこ。
こういう造り、この辺ではよう見かける。
昔、トイレや納屋は、家から離れてポツンと外にあった。
それでは寒いし不便やし、ゆうんで簡単な壁と屋根取り付けて、家とひと続きにしたんやね。
ここに引っ越して来た時、
冬の夜中、布団の中で寝てて寒うて目ぇ覚めた。
なんでや思てよう見てみたら、壁と柱の間、窓枠と壁の間、そこらじゅう隙間ある。
家の中でさえこんなんやから、あとから囲うた通路なんか言わずでもがな。
裏口に通じるドアと屋根、
くっついてへんやん。
斜めになってる隙間、石やら木ぃやら詰めてふさごとしてるんやろけど、
どうせならもうちょっとうまいこと割りいや。
こないだの雨の日、干してあったタオル取ろと、梁に下げてあるタコ足に手ぇ伸ばしたら、
ドタドタドタッて音して、何かが梁伝いに走り抜けた。
へっ !
て思て、ついつい、
ごめんっ !
てゆうてもうたんやけど、
あれはなんやったんやろ。
羽音はせえへんかったし、かなり重量感のある音やった。
音が去った方向見ても、もうな~んもおらへん。
そう言や、この家の前の持ち主、この通路の中で狸が巣ぅ作っとった、て言うてはったなあ。
ほんまもう、「ご自由にお入りください」状態やなあ。