若者に老木がささやく、
「わたしが見ています、さあ、行きなさい、新しい世界を開きなさい」
この老木だけが彼の唯一の味方、この木に抱かれて育ってきた。
いつも一緒だった、いつもいつも守ってくれた。
老木は母であり父であり祖父であった、そして、老木もこのサルを愛していた。
老木は、彼が少年の時、短い硬い枝をプレゼントしてくれた。
サルのキリストは、それを振り回す技術を磨いていた。
パッと放り投げるのではなく、上からタタク、数百回数千回数万回、もう何年も訓練してきた。
肩の肉の盛り上がった若者サルが、彼に近づき、背中に乗ろうとする、その瞬間、足をタタカレ、「キィッキィッキイッー」。
それをボスザルが、じっと見ていた。