日本橋の高島屋、その近くに「赤木屋カフェ」、昨年の秋、ここの本日のコーヒーを飲む、アフリカのコーヒー、これが尋常ではなかった。
店員が、
「酸味が強いですよ」
強いなんてもんじゃあない、口がひん曲がった、5時間ほど残る、キョーレツなんだな、この一杯に、
1、サバンナの熱い風
2、荒々しい赤い大地
3.象が「パオーン・パオーン」
4、マントヒヒのケツの鮮烈
5、ヒポポタマスの下品と重厚
突き抜ける味覚、
「来た、来た、来たー」
タイヘンなことになった、
「これが、これが、コーヒーなのか」
ハワイのコナがブルマンがゲイシャが、ハダシで逃げていく、
「なにが有機栽培だ、なにが自然農法だ」
こいつは、人間に媚びていない、口の中で、
「オレは、コーヒーだ、コーヒーだぞー、ギャギャーギャアッー、エッー、なんかモンクがあるか」
ブレンドとは一体なんだったのか、あれは逃げではないか、ゴマカシではないか、そんな思いにさせる、それにしても日本橋界隈(かいわい)のコーヒー・ファンのレベルが高いのだろうか、ところがである、ケータイで話し始めた男がいる、次第に声高になる、我が物顔だ、と、もう一人も・・・こりゃあダメだな。
「日本橋近辺のサラリーマンのレベルは、こんなもんだったのか」
すると、このコーヒーを支えているほどの趣味人ではないんだろう、その後、渋谷のFoodShowのKey Coffeeで中年の店員に出会い、あのトアルコ・トラジャについて話す機会があった、最近はちっともうまくない、
「あれは、錯覚だったんでしょうか」
最初に飲んだ時の鮮烈な感激、すると、この長身の婦人は、
「いいえ、当時は良かったんです」
「・・・」
「わたしが、この道に入ったのは、トアルコ・トラジャに出会ったからなのです」
こんなことがあるんだなあー、長年の疑問がヒョーカイ、
「それでも、わたしたちも変わったのかもしれませんね」
無上の大道を歩む者は、いつの間にか、ちょっとした地点にまで来ていたのかもしれない、それにしても、なんて美しい横顔なんだろう、ひさしぶりにトキメキが訪れている。
トウキョーには、まだ、こういう人がいたんだ、うれしいね、今日は、スキップでスクランブル交差点を渡ろうか。