天皇に即位するためには、三種の神器がヒツヨー、このうちの鏡は、出雲が本家・本元だろう、古代の日本では多くの豪族が所有していた。
当初は天皇家が日本の支配者であったが、やがて藤原氏や平氏が権力を簒奪(さんだつ)する、そして南北朝の争乱、ニッポンの政治が劇的に変化した、それは「権威の確立」、さらに権威の象徴としての「天皇の存在」、社会の中心に権威のシステムをセットする、それこそが、ニッポンのコア・パソナリーテイ(核性格・core personality)となる、下って20世紀の中頃、田中角栄が北京を訪れると、不倒翁・周恩来が、
「昭和天皇に よろしくお伝えください」
毛沢東の神格化に失敗した中国の政治家は、ニッポンのこの政治システムの絶妙さが痛切に理解できたんだろう、だから、思わず口に出た、
「権力の相対性 権威の絶対性」
このシステムの危機は、明治末年の大逆事件の裁判であろうか、大審院の法廷で裁判長が、
「今上陛下を弑(しい)し奉(たてまつ)らんとするは何事ぞ」
母親思いの幸徳秋水、
「あれは 正統な南朝をあざむき 三種の神器を奪い取った北朝の子孫だ」
「あれは」とは明治天皇だ。
満場、寂として声なし、当時の日本人はみな、知っていたからだ、
「おれは おれは 認めない」
この沈黙は深い、これが、日本史の深奥であり、「透明な秘密」であろうか。
南朝の後に後南朝があり、やがて、さびしい山村の木々の暗がりに、消えていった、いつの日か、紀州の山奥に詣(もう)でてみたいと思っている。